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1 異世界でも介護はじめました。

1ー11 工業ギルド

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 1ー11 工業ギルド
 
 工業ギルドは、フェブリウス領の領都クロイツの街の外れにある。
 入り口には、なぜか、商業ギルドの看板と一緒に酒場の看板も並んでいた。
 どうやら工業ギルドは、酒場もかねているようで昼間っからいかめしいほろ酔いダンディたちが集っていた。
 わたしは、ルゥを連れて入って行ったがアウェー感がハンパない。
 どうしたもんか。
 きょろきょろしていると、若い女の子の店員さんがまばゆい笑顔で声をかけてくれた。
 「いらっしゃいませ!今日は、どのようなご用で?」
 「その、仕事を頼みたくって」
 わたしがそう言うと、女の店員は、ノリノリで答える。
 「かしこまり!」
 かわいらしいミニスカートのメイドさん風の制服をきたその店員さんは、わたしを隅のカウンターへと案内した。
 「で?どんな仕事を頼みたいんですか?」
 わたしは、持ってきていた車イスの絵を描いた紙を見せながら店員さんに説明を始めた。
 「車がついていて押して動く足の不自由な人のための移動器具なんだけど」
 「それ、面白そうだね」
 不意に背後から手が伸びてきてわたしの持っていた紙を奪われる。
 振り向くと、そこには、ボンキュッボンの超絶破壊兵器を携えた金髪碧眼の背の高い美女が立っていた。
 妙に身体にぴったりと張り付いた衣装を着たそのゴージャスな美女は、わたしに壁ドンしてきた。
 「決めた!この仕事は、あたしが受けるよ!」
 はい?
 わたしがきょとんとしていると、ギルドの、というか酒場の店員さんは、笑顔でわたしに告げた。
 「よかったですね!ルイーズさんに引き受けて貰えるなんて運がいいですよ!」
 「はぁ・・・」
 わたしがまだ事態を飲み込めずにいるにも関わらずルイーズさんは、話をどんどんすすめていった。
 「これなら一週間もあれば完成できると思うよ。ところで、折り入って相談なんだけどさ」
 ルイーズさんが声をひそめる。
 「料金はまけとくから、これができたら1台、あたしに譲ってくれないかな?」
 どういうこと?
 ポッカーンなわたしにルゥがそっと囁く。
 「ようするにタダで作ってやるから1台よこせってことじゃないかな?」
 そうなの?
 わたしは、ルイーズさんに頷いた。
 「いいですよ」
 「よっしゃ!」
 ルイーズさんがガッツポーズをとる。
 「じゃ、一週間後にここで」
 嵐のように去っていくルイーズさんの後ろ姿を見送るわたしに店員さんが教えてくれた。
 「ルイーズさんの旦那さん、前の戦争で片足をやられてて歩けないんですよ」
 
 
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