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3 神のお使い

3ー2 誰が呼び出したんだ?

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 3ー2 誰が呼び出したんだ?

 数日後、クロムウェルが客を装って再度来店した。
 俺は、辺りをうかがいつつクロムウェルを自分の部屋へと連れ込んでドアを閉めた。
 「王城は、どうなってる?」
 俺が問うとクロムウェルが上着を脱いで壁際に置かれた椅子の背にかけながら応じた。
 「やはり『秤の悪魔』の仕業で間違いないようです。しかし、誰が、あいつを呼び出したのかがまだわからないんです」
 なんでも悪魔というのは、誰かが呼び出して契約をしなければこんな風に人間の世界に働きかけてくることはないのだそうだ。
 誰が、あいつを呼び出したんだ?
 俺は、首を傾げた。
 前の時は アイリス様が呼び出してたんだろうけど、今回は、誰が?
 「最初は、ライリス公爵が呼び出したのかと思ったのですが、どうも違うようなんです」
 クロムウェルが言うには、悪魔を呼び出して契約するためにはある程度の魔力量が必要になるらしい。
 その条件を満たす者は、このウィルゼンターナ王国では、限られてくる。
 「まあ、王族は、魔力量がバカほどあるので当然可能ですが・・しかし、現存している王家に連なる者の中には、アルバート国王をどうこうして得する者は、ほぼいませんし。まあ、王位を狙っているならリモーナ騎士団長とかは、怪しいんですが。そんなこともなさそうだし・・」
 クロムウェルが椅子に腰かけて俺を見つめた。
 「そういえば、ここ数日、リモーナ騎士団長の姿が王城から消えてて。何か、心当たりありませんか?ミコト様」
 「あるけど」
 俺が答えるとクロムウェルがうんうん、頷いていたのがぎょっとした表情になる。
 「まさか、リモーナ騎士団長に何かされたんじゃ?」
 いや。
 別にされてはいないけど。
 俺は、クロムウェルに話した。
 「実は・・」
 リムがこの娼館の常連だったこと。
 そして、何者かの術によって猫に変化したこと。
 今は、リムに心酔している男娼の手によって飼われていることを俺が話すとクロムウェルは、黙り込んでしまった。
 しばらく黙考してからクロムウェルが俺に告げた。
 「うーん・・やはり、変ですね」
 「何が?」
 「いえ、『秤の悪魔』にしては、おかしな術のかけ方だと思って。奴なら誰だってそのまま殺してしまうことが可能なのに、わざわざ猫に変化させているなんて」
 確かにな。
 猫になったとはいえ、ラーは、魔法が使えるし。
 たぶん、リムやレイモンドも戦うことができなくなってるわけじゃない。
 それに、あのカラスは、リムを殺す気満々だった筈だし。
 
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