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4 魔王様は、お年頃

4ー2 フランシス

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   美容クリニック『アフロディア』は、美の女神の名を冠した美のための施設だった。
   ここで1ヶ月暮らせば、誰でも美しくなれるというのをコンセプトにした施設だ。
   実は、ここの所長は、あのゴブリンのホブゴブだった。
   ホブゴブは、僕の化粧品開発に協力してくれているうちに美容に目覚めだのだった。
   「本当は、ゴブリンのための美容クリニックを作りたいんだけど、仕方ないね」
   ホブゴブは、アリシア・ホブエスという仮の名前で活動する美容の伝道師となった。
   といってもゴブリンのままではなく、人化の術で美しい金髪碧眼の美女の姿になっていた。
   これは、僕の言霊の力でホブゴブをゴブリンクィーンへと進化させた結果だった。
   オルガも言霊の力で人化の術が使えるようになっていた。
   彼女は、今、王都にある魔法学園に生徒として通っている。
   成人の儀で、魔導士の職を得たオルガのために、僕は、彼女が魔法学園に入学できるようにアゼリアさんに協力してもらったのだ。
   オルガは、すごく優秀で、特待生として学校に通っていた。
   実は、オルガのクラスメートには、フランシスがいた。
   フランシスは、騎士団長をつとめながら魔法学校で魔法を学んでいた。
   もちろん、男子生徒として、な。
   なぜ、男装させられているのかは、いまだに謎なんだが。
   とにかく、フランシスにとっては、僕のところでお茶を楽しむときだけは、ただの女の子になれるときだった。
     僕の家では、フランシスは、男装を解いて、普通の女の子の姿になって、オルガや僕と語らうことができるのだった。
   僕とオルガは、フランシスのために彼女に似合うドレスや、アクセサリーを用意してやっていた。
    ドレスを身に付け、淡い色のリップクリームを唇に塗って、くつろいでいるときが1番、彼女は、輝いていた。
    こんなにも可愛らしい少女なのに、なんで、男装させられているんだ?
   いくら訊ねても、これだけは、フランシスは、答えることはなかった。
    ただ、困ったような表情で言うのだ。
   「兄様の命令だから」
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