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3 冒険者になれなくたって、大丈夫!

3ー6 家を買いました。

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   ふわっとローリの葉のいい香りが溢れ出す。
   「うん。なかなかいい香りだが、これは?」
   「これは、肉と煮込むと肉が美味しくなるハーブというものです」
    僕は、またストレージから皿を取り出した。
   なんの変哲もないシチューの入ったお椀だ。
   テーブルに置くと、アゼリアさんは、香りを嗅いだ後、すぐに食べ始めた。
   「柔らかくてジューシーな肉、だ。これも同じポルクの肉なのか?」
   「はい」
    僕は、頷いた。アゼリアさんは、唸った。
   「こちらのはーぶ、とやらもあるだけ買おう」
    アゼリアさんは、僕に改まって言った。
   「どうだろうか、ユヅキくん。この商業ギルドの会員になってもらえないだろうか?」
   「でも、僕は、実は、無職なので・・」
    「はい?」
     アゼリアさんは、訝しげに僕を見つめた。
   「無職、だって?」
    僕は、冒険者ギルドでのことをアゼリアさんに話した。彼女は、黙ってきいていたが、やがて、僕に言った。
    「商業ギルドでは、神託には、こだわらんからな。大丈夫、だ」
    こうして、僕は、商業ギルドの一員になった。
   アゼリアさんは、胡椒とハーブを金貨500枚で買ってくれた。
   「これだけあれば、家を借りることができますか?」
   僕がきくとアゼリアさんは、笑いながら言った。
   「借りるどころか、家を買うことができるぞ。どんな物件を探しているんだ?」
   「実は、店を開きたくって」
    「店、か」
     アゼリアさんは、興味を持った様子できいてきた。
   「なんの店だ?」
     「いえ、その、ただの薬草の店です」
    「なら、ちょうどいい物件があるぞ」
     アゼリアさんがにっこり微笑んだ。
    「ユヅキになら、特別に格安で手配しよう」
    アゼリアさんが紹介してくれた店舗兼住居は、商業ギルドのすぐ近く、つまり王都  グリニッジの中央通りに面した最高の立地条件にあるものだった。
     緑の瓦屋根の小さな可愛らしい家で、2階が住居部分になっていた。
    小さいが台所もついているし、裏には畑も作れる庭があった。
    ちょっと掃除をしたりしなくてはいけないが、けっこういい物件だった。
    僕は、ここを買うことにした。
   即金で金貨300枚。
   僕は、相場を知らないから、高いのか安いのかは、よくわからない。
    でも、この家を気に入ったんだ。
   
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