上 下
26 / 63
3 ダンジョンと伴侶の交わり

3ー2 パーティーの絆

しおりを挟む
 3ー2 パーティーの絆

 今、グイードさんがルドの名誉の回復に動いているのだという。
 だけど、もう約束の期日まで時間がない。
 でも、ルドは、ぎりぎりまでグイードさんのことを待つつもりなのらしい。
 いわく、「私の背中を任せられるのは奴しかいない」のだという。
 グイードさんは、竜人族の剣士であり、族長の息子なのらしい。
 勇者として魔王討伐のための旅をしていた時にルドと出会ったのだという。
 それ以来、一緒に旅をしてきたのだ。
 勇者のパーティーの面々は、固い絆で結ばれている。
 この乱暴者のランクルだってルドにとっては、大切な仲間だった。
 そして、勇者のパーティーにはもう1人のメンバーがいるらしい。
 氷の貴公子と呼ばれているその魔導士は、僕の母様にかけられていた呪いを解いてくれた人だ。
 でも、いまだに僕たちの前に現れることがない。
 ずっとこの屋敷の地下室に引きこもっているのだという。
 「酷い人見知りでな。同じパーティーの仲間である俺たちの前にだってめったに姿を現さないんだよ」
 そう、ランクルが僕に耳打ちした。
 僕は、ランクルと一緒に台所でクイモという芋の皮を剥きながらその話をきいていた。
 やっぱり母様には料理は任せられないということで僕が調理を担当することにしたんだ。
 母様は、なんだか残念そうにしてたけど、みんなの健康のためには仕方がない。
 今日は、母様は、ルドと一緒に異界の魔女の森の下見に出掛けている。
 ついでに夕食の材料も調達してきてくれるらしい。
 僕は、空き時間でみんながちょっと小腹がすいたときに食べられるようなスナックを作ろうと思っているのだが、この屋敷には今、クイモという芋しかなかった。
 クイモは、僕が前世にいた世界のジャガイモによく似た野菜だ。
 うん。
 実は、やっぱり貧乏だったワイエス男爵家では、贅沢は敵なんだろうな。
 というわけで僕は、数日前からクイモを茹でたり煮たり蒸かしたり焼いたりといろいろ調理してみんなの食卓に提供していたんだけど、ちょっと飽きてきたので今度は、油であげてみようと思ったんだ。
 油は、食料蔵に残っていたマッドボアという魔物の肉からとった脂身を溶かして使えるし。
 幸いなことにこの家には、塩だけはあるし。
 こうなれば、もうあれを作るしかないでしょ、あれ。
 
 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

俺の悪役チートは獣人殿下には通じない

空飛ぶひよこ
BL
【女神の愛の呪い】  この世界の根源となる物語の悪役を割り当てられたエドワードに、女神が与えた独自スキル。  鍛錬を怠らなければ人類最強になれる剣術・魔法の才、運命を改変するにあたって優位になりそうな前世の記憶を思い出すことができる能力が、生まれながらに備わっている。(ただし前世の記憶をどこまで思い出せるかは、女神の判断による)  しかし、どれほど強くなっても、どれだけ前世の記憶を駆使しても、アストルディア・セネバを倒すことはできない。  性別・種族を問わず孕ませられるが故に、獣人が人間から忌み嫌われている世界。  獣人国セネーバとの国境に位置する辺境伯領嫡男エドワードは、八歳のある日、自分が生きる世界が近親相姦好き暗黒腐女子の前世妹が書いたBL小説の世界だと思い出す。  このままでは自分は戦争に敗れて[回避したい未来その①]性奴隷化後に闇堕ち[回避したい未来その②]、実子の主人公(受け)に性的虐待を加えて暗殺者として育てた末[回避したい未来その③]、かつての友でもある獣人王アストルディア(攻)に殺される[回避したい未来その④]虐待悪役親父と化してしまう……!  悲惨な未来を回避しようと、なぜか備わっている【女神の愛の呪い】スキルを駆使して戦争回避のために奔走した結果、受けが生まれる前に原作攻め様の番になる話。 ※悪役転生 男性妊娠 獣人 幼少期からの領政チートが書きたくて始めた話 ※近親相姦は原作のみで本編には回避要素としてしか出てきません(ブラコンはいる) 

夫が正室の子である妹と浮気していただけで、なんで私が悪者みたいに言われないといけないんですか?

ヘロディア
恋愛
側室の子である主人公は、正室の子である妹に比べ、あまり愛情を受けられなかったまま、高い身分の貴族の男性に嫁がされた。 妹はプライドが高く、自分を見下してばかりだった。 そこで夫を愛することに決めた矢先、夫の浮気現場に立ち会ってしまう。そしてその相手は他ならぬ妹であった…

ヤケになってドレスを脱いだら、なんだかえらい事になりました

杜野秋人
恋愛
「そなたとの婚約、今この場をもって破棄してくれる!」 王族専用の壇上から、立太子間近と言われる第一王子が、声高にそう叫んだ。それを、第一王子の婚約者アレクシアは黙って聞いていた。 第一王子は次々と、アレクシアの不行跡や不品行をあげつらい、容姿をけなし、彼女を責める。傍らに呼び寄せたアレクシアの異母妹が訴えるままに、鵜呑みにして信じ込んだのだろう。 確かに婚約してからの5年間、第一王子とは一度も会わなかったし手紙や贈り物のやり取りもしなかった。だがそれは「させてもらえなかった」が正しい。全ては母が死んだ後に乗り込んできた後妻と、その娘である異母妹の仕組んだことで、父がそれを許可したからこそそんな事がまかり通ったのだということに、第一王子は気付かないらしい。 唯一の味方だと信じていた第一王子までも、アレクシアの味方ではなくなった。 もう味方はいない。 誰への義理もない。 ならば、もうどうにでもなればいい。 アレクシアはスッと背筋を伸ばした。 そうして彼女が次に取った行動に、第一王子は驚愕することになる⸺! ◆虐げられてるドアマットヒロインって、見たら分かるじゃんね?って作品が最近多いので便乗してみました(笑)。 ◆虐待を窺わせる描写が少しだけあるのでR15で。 ◆ざまぁは二段階。いわゆるおまいう系のざまぁを含みます。 ◆全8話、最終話だけ少し長めです。 恋愛は後半で、メインディッシュはざまぁでどうぞ。 ◆片手間で書いたんで、主要人物以外の固有名詞はありません。どこの国とも設定してないんで悪しからず。 ◆この作品はアルファポリスのほか、小説家になろうでも公開します。 ◆過去作のヒロインと本作主人公の名前が丸被りしてたので、名前を変更しています。(2024/09/03) ◆9/2、HOTランキング11→7位!ありがとうございます! 9/3、HOTランキング5位→3位!ありがとうございます!

愛する彼には美しい愛人が居た…私と我が家を侮辱したからには、無事では済みませんよ?

coco
恋愛
私たちは仲の良い恋人同士。 そう思っていたのに、愛する彼には美しい愛人が…。 私と我が家を侮辱したからには、あなたは無事では済みませんよ─?

婚約破棄は十年前になされたでしょう?

こうやさい
恋愛
 王太子殿下は最愛の婚約者に向かい、求婚をした。  婚約者の返事は……。  「殿下ざまぁを書きたかったのにだんだんとかわいそうになってくる現象に名前をつけたい」「同情」「(ぽん)」的な話です(謎)。  ツンデレって冷静に考えるとうっとうしいだけって話かつまり。  本編以外はセルフパロディです。本編のイメージ及び設定を著しく損なう可能性があります。ご了承ください。  ただいま諸事情で出すべきか否か微妙なので棚上げしてたのとか自サイトの方に上げるべきかどうか悩んでたのとか大昔のとかを放出中です。見直しもあまり出来ないのでいつも以上に誤字脱字等も多いです。ご了承下さい。

幼馴染

ざっく
恋愛
私にはすごくよくできた幼馴染がいる。格好良くて優しくて。だけど、彼らはもう一人の幼馴染の女の子に夢中なのだ。私だって、もう彼らの世話をさせられるのはうんざりした。

味噌汁と2人の日々

濃子
BL
明兎には一緒に暮らす男性、立夏がいる。彼とは高校を出てから18年ともに生活をしているが、いまは仕事の関係で月の半分は家にいない。 家も生活費も立夏から出してもらっていて、明兎は自分の不甲斐なさに落ち込みながら生活している。いまの自分にできることは、この家で彼を待つこと。立夏が家にいるときは必ず飲みたいという味噌汁を作ることーー。 長い付き合いの男性2人の日常のお話です。

(完)そんなに妹が大事なの?と彼に言おうとしたら・・・

青空一夏
恋愛
デートのたびに、病弱な妹を優先する彼に文句を言おうとしたけれど・・・

処理中です...