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211.残念筆頭令嬢と慰謝料問題
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「そこの令嬢も含めてグレインビルを名乗る者は全て等しくそうだと心得、己の分をわきまえよ。
辺境領時代、いや、今でも嫌と言う程それを味わう私としては、可愛い従妹に引き際を誤ってもらいたくはないのだがな?」
「えっ····あっ、その····申し訳、ございませんでした」
途端に顔色を無くし、震えてか細い声で謝罪する。
けれど追随を止めるつもりはないらしい。
「その落とし前にこの国が巻き込まれてはかなわんからな、宰相?
私が何故伴っていたのか、わからぬわけではあるまい?」
誰を、とは敢えて言わないのは内々の会食で内々に済ませる為だろうね。
僕どんだけ危険人物なのかな?
これでも平和と怠惰を愛する深層の令嬢だよ?
「は。
グレインビル侯爵令嬢に正式に謝罪し、退出なさい、ビアンカ」
「え····お父、様?」
「この席は内々の席。
お前の醜聞もこの場限りとなろう」
いやいや、それとなくこっちにも口止めしてるんだけど?
「私は王家の血を引く筆頭公爵家令嬢で、お父様の娘ですのよ?」
その言葉に隣の王子が反応する。
あれ、優しげに微笑んだ?
「ご令嬢。
グレインビル侯爵家はわが国では公爵家の中位の家格なのだ。
かつ、これまで他国の侵略を許さなかった功臣。
わが国ではあり得ぬが、筆頭公爵家のご令嬢とはいえ他国の内情に疎いのは仕方あるまいな。
故にグレインビル嬢はわが国の交易の発展に貢献してくれた、わが国にとって必要な人材と認めている、とだけ申し上げておこう」
それとなくお前の国の侵略も防いでるぞ、そもそもお前筆頭公爵令嬢っつっても能無しかよ、うちの国じゃあり得ねえわアピールしてないかな?
令嬢だけじゃなく宰相さんのお顔も一瞬強張ったよ。
この国は少し前まで互いの辺境領で小競り合いしてた同盟国で、友好国じゃないものね。
力関係的に弱く見せる事はしちゃ駄目なんだ。
何か少しは王族らしいやり取りできるようになったんだねぇ。
彼が13才の時に会って約4年かあ。
思わずふんふんと彼の成長にしみじみしてれば、目が合った。
孫を見るように温かい眼差しを送ったら、何故か微妙な顔をされた。
解せない。
「それはこの国も同じ事だ。
愚かな娘よ。
グレインビル嬢がこの国に来て国益に一役買って下さった事は事実。
ご本人が望まれぬ故に周知はしておらぬだけの事。
誰に何を唆されたかは後で確認するが、これでお前の無能さは自覚できただろう。
この席にお前を出席させたのは親として、また国王陛下より従妹のお前に賜わった最後の情けであったが、無駄に終わったようだ。
沙汰は追って伝える故、お前達。
この場から此奴を連れ出せ」
「そんな、沙汰とは?!
お父様!
お父様~!!」
あーあ、連れ出されちゃったよ。
あれ、王子がなんかすっきりした顔してるね。
事前打ち合わせでもしてたのかな?
「改めてアドライド国の方々よ、申し訳無かった。
陛下、この場を騒がせた事をお許し下さい。
グレインビル嬢、わが国に参られた時より重ね重ね無礼を働いた事、深く謝罪する」
僕に改めて頭を下げる。
まあ確かに否定はしない。
僕一応は王の客人扱いのはずだけど、一部の貴族からは魔力0の養女としてよく経験した態度取られてたからね。
ちなみにつまみ出された彼女はそれこそ、そんな彼らの筆頭令嬢だったよ。
この国に来た時、僕のお話し相手の役割を自ら志願して好きなだけお話ししてくれた。
ほら、彼女の祖母が前国王の姉だったでしょ?
父親の宰相さんは王位継承権持ちだし、魔力量もそれなりにはあったからね。
僕にとってはありきたりな自慢話で、良い情報収集になったんだけど、義兄様達を紹介しろって言い出したから2日後には解任した。
そもそもレイヤード義兄様は僕の侍従みたいな格好で後ろに居たんだけどな。
お顔は認識阻害の魔法かけて誤魔化してたけど。
まあ彼女を取り巻く背後関係は色々と予想つくし、立場的に僕は餌にしやすかったんだろうね。
けど····。
「膿は出せたようですけれど、他国の私を餌に使われるのは気持ちの良いものではございませんわ」
「謝罪と望む物はいかようにも」
「では、帰り····」
「帰国以外だ!」
どこぞの国王が慌てて遮る。
つり目が大きく開かれてレモン色がよくわかる。
「ちっ」
あ、つい舌打ちしちゃった。
ちょっとこの国に来てから荒んだかもしれない。
僕の癒やしの家族成分が明らかに不足してるんだもの。
それとも思春期のホルモンの影響かな?
そろそろ身長伸びないかな?
「舌打ちしても何なら殴ってくれてもいいが、今は駄目だ!
宰相!
お前もいかようにもとか軽はずみに言うな!」
思わず舌打ちすれば、今度は宰相を注意する。
「失言でした。
さあ!
金品限定でおっしゃって下さい!」
「····ケチですわ」
金品限定とか、一国の宰相がケチくさいな。
何だか氷の宰相っぽいイメージが壊れていくんだけど····。
「魔物でもかまわ····」
魔物かあ····それなら····。
「魔物は駄目だ、アリー嬢!
国王よ、軽はずみに魔物とか口にすれば後悔しかねんぞ!」
え、何故に自国の王子が必死のお顔で止めに入るの?!
敬語忘れるくらい必死とか、何事?!
「そうでした!
陛下、以前彼女は慰謝料に大量のバリーフェを所望したとの情報が!
捕獲メンバーの半数は王族、そしてグレインビル兄弟が同行したと!」
「やべぇ、それしれっと殺されかねねえやつだろ」
「グレインビル嬢、金です!
1年から2年分の国庫くらいなら何とか捻出しますから!
それで手打ちにしていただきたい!」
え、別に大量なのはたまたまなんだけど、側近の君、どこ情報?!
相変わらず妙な所で情報収集力の高さアピールするのやめてくれないかな?!
そして国王、僕の義兄様達はしれっとは殺さないよ、多分。
宰相さん、金って····国庫1、2年て凄い金額じゃないの?!
個人資産から出すんだよね?
言葉そのまま娘のやらかし慰謝料を国庫から捻出しないよね?!
「····会話の内容についていけない。
これが世界というものだろうか?」
「コード様、何事も学びですね」
あ、下座の2人は完全に気配を消して慰め合ってる。
僕もそっち側に行きたい。
こっちの2人には事前説明してなかったの?
それよりやっぱり彼がコード伯爵の養子になった子か。
····あー、お腹すいた····。
チラッと人間観察に徹してる方のレモン色を見る。
あ、やっと動いてくれるっぽい。
「さ、皆さん。
この件はお腹を満たしてからにしてはいかがか?
せっかくの料理が冷めては本来の予定の歓迎の晩餐も台無しというものだ」
国王とは双子の大公が微笑んだ。
同じ顔だけど、雰囲気が柔らかいのは彼の方なんだよね。
青年になるまではずっと王城暮らしだったからかな?
本来の晩餐、て事はやっぱり事前打ち合わせで何かの餌に使われたのか。
慰謝料はお金····うーん····やっぱり帰りたい。
辺境領時代、いや、今でも嫌と言う程それを味わう私としては、可愛い従妹に引き際を誤ってもらいたくはないのだがな?」
「えっ····あっ、その····申し訳、ございませんでした」
途端に顔色を無くし、震えてか細い声で謝罪する。
けれど追随を止めるつもりはないらしい。
「その落とし前にこの国が巻き込まれてはかなわんからな、宰相?
私が何故伴っていたのか、わからぬわけではあるまい?」
誰を、とは敢えて言わないのは内々の会食で内々に済ませる為だろうね。
僕どんだけ危険人物なのかな?
これでも平和と怠惰を愛する深層の令嬢だよ?
「は。
グレインビル侯爵令嬢に正式に謝罪し、退出なさい、ビアンカ」
「え····お父、様?」
「この席は内々の席。
お前の醜聞もこの場限りとなろう」
いやいや、それとなくこっちにも口止めしてるんだけど?
「私は王家の血を引く筆頭公爵家令嬢で、お父様の娘ですのよ?」
その言葉に隣の王子が反応する。
あれ、優しげに微笑んだ?
「ご令嬢。
グレインビル侯爵家はわが国では公爵家の中位の家格なのだ。
かつ、これまで他国の侵略を許さなかった功臣。
わが国ではあり得ぬが、筆頭公爵家のご令嬢とはいえ他国の内情に疎いのは仕方あるまいな。
故にグレインビル嬢はわが国の交易の発展に貢献してくれた、わが国にとって必要な人材と認めている、とだけ申し上げておこう」
それとなくお前の国の侵略も防いでるぞ、そもそもお前筆頭公爵令嬢っつっても能無しかよ、うちの国じゃあり得ねえわアピールしてないかな?
令嬢だけじゃなく宰相さんのお顔も一瞬強張ったよ。
この国は少し前まで互いの辺境領で小競り合いしてた同盟国で、友好国じゃないものね。
力関係的に弱く見せる事はしちゃ駄目なんだ。
何か少しは王族らしいやり取りできるようになったんだねぇ。
彼が13才の時に会って約4年かあ。
思わずふんふんと彼の成長にしみじみしてれば、目が合った。
孫を見るように温かい眼差しを送ったら、何故か微妙な顔をされた。
解せない。
「それはこの国も同じ事だ。
愚かな娘よ。
グレインビル嬢がこの国に来て国益に一役買って下さった事は事実。
ご本人が望まれぬ故に周知はしておらぬだけの事。
誰に何を唆されたかは後で確認するが、これでお前の無能さは自覚できただろう。
この席にお前を出席させたのは親として、また国王陛下より従妹のお前に賜わった最後の情けであったが、無駄に終わったようだ。
沙汰は追って伝える故、お前達。
この場から此奴を連れ出せ」
「そんな、沙汰とは?!
お父様!
お父様~!!」
あーあ、連れ出されちゃったよ。
あれ、王子がなんかすっきりした顔してるね。
事前打ち合わせでもしてたのかな?
「改めてアドライド国の方々よ、申し訳無かった。
陛下、この場を騒がせた事をお許し下さい。
グレインビル嬢、わが国に参られた時より重ね重ね無礼を働いた事、深く謝罪する」
僕に改めて頭を下げる。
まあ確かに否定はしない。
僕一応は王の客人扱いのはずだけど、一部の貴族からは魔力0の養女としてよく経験した態度取られてたからね。
ちなみにつまみ出された彼女はそれこそ、そんな彼らの筆頭令嬢だったよ。
この国に来た時、僕のお話し相手の役割を自ら志願して好きなだけお話ししてくれた。
ほら、彼女の祖母が前国王の姉だったでしょ?
父親の宰相さんは王位継承権持ちだし、魔力量もそれなりにはあったからね。
僕にとってはありきたりな自慢話で、良い情報収集になったんだけど、義兄様達を紹介しろって言い出したから2日後には解任した。
そもそもレイヤード義兄様は僕の侍従みたいな格好で後ろに居たんだけどな。
お顔は認識阻害の魔法かけて誤魔化してたけど。
まあ彼女を取り巻く背後関係は色々と予想つくし、立場的に僕は餌にしやすかったんだろうね。
けど····。
「膿は出せたようですけれど、他国の私を餌に使われるのは気持ちの良いものではございませんわ」
「謝罪と望む物はいかようにも」
「では、帰り····」
「帰国以外だ!」
どこぞの国王が慌てて遮る。
つり目が大きく開かれてレモン色がよくわかる。
「ちっ」
あ、つい舌打ちしちゃった。
ちょっとこの国に来てから荒んだかもしれない。
僕の癒やしの家族成分が明らかに不足してるんだもの。
それとも思春期のホルモンの影響かな?
そろそろ身長伸びないかな?
「舌打ちしても何なら殴ってくれてもいいが、今は駄目だ!
宰相!
お前もいかようにもとか軽はずみに言うな!」
思わず舌打ちすれば、今度は宰相を注意する。
「失言でした。
さあ!
金品限定でおっしゃって下さい!」
「····ケチですわ」
金品限定とか、一国の宰相がケチくさいな。
何だか氷の宰相っぽいイメージが壊れていくんだけど····。
「魔物でもかまわ····」
魔物かあ····それなら····。
「魔物は駄目だ、アリー嬢!
国王よ、軽はずみに魔物とか口にすれば後悔しかねんぞ!」
え、何故に自国の王子が必死のお顔で止めに入るの?!
敬語忘れるくらい必死とか、何事?!
「そうでした!
陛下、以前彼女は慰謝料に大量のバリーフェを所望したとの情報が!
捕獲メンバーの半数は王族、そしてグレインビル兄弟が同行したと!」
「やべぇ、それしれっと殺されかねねえやつだろ」
「グレインビル嬢、金です!
1年から2年分の国庫くらいなら何とか捻出しますから!
それで手打ちにしていただきたい!」
え、別に大量なのはたまたまなんだけど、側近の君、どこ情報?!
相変わらず妙な所で情報収集力の高さアピールするのやめてくれないかな?!
そして国王、僕の義兄様達はしれっとは殺さないよ、多分。
宰相さん、金って····国庫1、2年て凄い金額じゃないの?!
個人資産から出すんだよね?
言葉そのまま娘のやらかし慰謝料を国庫から捻出しないよね?!
「····会話の内容についていけない。
これが世界というものだろうか?」
「コード様、何事も学びですね」
あ、下座の2人は完全に気配を消して慰め合ってる。
僕もそっち側に行きたい。
こっちの2人には事前説明してなかったの?
それよりやっぱり彼がコード伯爵の養子になった子か。
····あー、お腹すいた····。
チラッと人間観察に徹してる方のレモン色を見る。
あ、やっと動いてくれるっぽい。
「さ、皆さん。
この件はお腹を満たしてからにしてはいかがか?
せっかくの料理が冷めては本来の予定の歓迎の晩餐も台無しというものだ」
国王とは双子の大公が微笑んだ。
同じ顔だけど、雰囲気が柔らかいのは彼の方なんだよね。
青年になるまではずっと王城暮らしだったからかな?
本来の晩餐、て事はやっぱり事前打ち合わせで何かの餌に使われたのか。
慰謝料はお金····うーん····やっぱり帰りたい。
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