126 / 491
5
125.精霊石の複製品
しおりを挟む
「ひとまず簡易のベッドを用意しましたからお2人共横になって下さい。
まずはルーベンス。
貴方から調べましょうか」
「大人しく従うと?」
「今の貴方がそのご令嬢を庇って脱出する自信がおありならお好きに」
クスリと冷たい微笑みを見せる。
「彼女には手を出すな」
そう言ってささっとベッドに横になる。
僕もゆっくりベッドに降ろされた。
ひょろ長さんがシル様のお顔に手をかざすと、シル様の瞼が降りて眠り始める。
良かった。
これで腹パンの脅威からシル様のお腹は守られた。
「痛い事はしませんよ。
私は知りたいだけです。
何故あそこで時間の巻き戻りが止まってしまったのか、変質した魔力が残っているのか····楽しみですねえ。
ベルヌは予定通りにやって下さい。
そろそろ山でスタンピードが起こる頃でしょう。
それに紛れて王族を殺すも良し、魔獣達に蹂躙される様を見るも良し」
ん?
スタンピード、だと?
お山には僕の家族もいるのに、不穏な事を言うの止めてよね。
僕の機嫌は急転直下だよ。
とりあえず僕達2人の当面の危機はなさそうだからベッドにぽふりと倒れこんで静かに聞き入る事にした。
「スタンピードがそんな簡単に起こるもんか?」
思案げな渋熊さん、いいね。
子供好きだったらお耳と尻尾触らせてくれるかな。
さっきどさくさに紛れて触っておけば良かった。
「どうでしょうね?
まあ何事も実験ですよ。
その為にこの3年はアビニシア家に怪しまれない程度に段階的に中位クラスの魔獣の数を減らして下位クラスを増やしていきましたから。
辺境領だけあって定期的に間引きをしていますからねえ。
不自然にならない程度に狩るのは本当に面倒でしたよ」
やれやれとひょろ長さんは首を竦める。
「しかしお陰でそろそろ活動的になる下位クラスでも群れる為に厄介な火蜘蛛も山の中腹でそれなりに卵を産んで数を増やしてましたし、上位クラスの卵から孵った育ち盛りの氷竜や氷熊、上位クラスに近い氷蜥蜴や氷蛇も確認しました。
中位クラスの魔獣がいなければ下位クラスに手を出すでしょう。
念の為に集めやすい下位クラスの魔獣は大量に山の麓に落として魔獣寄せの香を炊いておきましたし、隣国はあまり間引きをしていませんから香に引かれる下位クラスと中位クラスも増えているでしょう」
「ま、そろそろわざと空腹にさせて放っておいた火狼の群れも麓の餌を追いかけ始めただろうな。
好物の火蜘蛛の幼虫を山の中腹まで等間隔に撒いといたし、うまくいけば転移魔具が使えねえで足止め食らった王族や貴族を襲うだろう」
····何となく····スタンピードは起きない気がしてきたぞ。
何か····うん····数年物の計画邪魔してごめんね?
「私はルーベンスを検査したら頃合いを見て船に戻ります」
船?
て事は彼らは普段海の向こうの隣国にいるのかな?
「その2人はどうすんだ?」
「そうですねえ。
ご令嬢は連れて行きますが、彼は····まあ不必要なら置いて行きましょう」
「どっちを連れていくのにも許可を得ていないだろう」
「おやおや?
私は貴方達のように復讐が目的ではありませんよ?
まあ貴方は復讐だけとも限りませんがねえ。
私があの方に手を貸すのも、魔法の研究があってこそ。
当然あの方は私の目的は知ってらっしゃいます。
そういう意味ではあの方から知識と魔石をいただいて作ったこの魔具に干渉したご令嬢の魔具も、体で何らかの反応がおきた彼も手放すのは惜しいですねえ」
ひょろ長さんがチラリと見やった先には魔石が無くなった《絶対ガード君·改》とあの懐中時計が置いてあった。
「ご令嬢は色々と調べたいところですが、今は体調を戻していただかないと、血液や少しばかり肉片を採取するだけで死んじゃいそうですから、今は何もしませんよ」
え、肉片なの?!
うわ、これはもしかして非人道的研究に使われる予感しかしないな。
狂科学者ならぬ狂魔法学者だよ。
めちゃくちゃ僕の事をうっとり眺めてくるのも変態感を醸し出してて怖すぎる。
「おい、怯えさすのはやめろ」
「おや、私はただうっとりしていただけですよ?」
「それが逆に怖えだろ。
幼児趣味のド変態野郎にしか見えねえ」
あ、ベルヌも引いてる。
奇遇だね、僕もだよ。
「仕方ありませんよ。
私は魔人属ですから、私からすればあなたも含めて殆どの生物は幼児みたいなものです。
ほら、さっさと行って下さい」
いや、何か違うよ?
ひょろ長さんはそう言って尚も何か言いたげな熊さんを追い出した。
とりあえずドナドナされるどこぞの子牛のような目で見つめておいた。
子供好きならきっと後々胸を痛めるはずだ。
こんなのと同じ空間に置き去りにした罰だ。
邪魔者がいなくなってからのひょろ長さんは本当に嬉しそうにシル様に向かってうっとりと微笑んでいる。
····え、何時間か前は乙女なラノベ物だったけど、若返って傷を負った狼少年を狙うBとLなやつになってないよね?!
ひょろ長さんのお顔が変態っぽくて絵面が悪すぎて挿し絵は無しの方向になるやつじゃないかな?!
「ふふふ、心配しなくとも傷つけませんよ。
体に私の魔力を通して中を鑑定していくだけですから」
うん、そっちの心配は正直してないよ。
まあ鑑定だけならいいのかな?
「ねえ、あの懐中時計触ってもいい?」
「おや、気になりますか?
でも魔力が無いと起動もできませんよ?」
シル様のお顔や腕を触ってるけど、今のところ手つきはいやらしくない。
「中の魔石がとっても綺麗だったから見たいなって思ってたの。
ダメ?」
「ふふふ、今は気分が良いからかまいませんよ。
ただ丁寧に扱って下さいね」
今はシル様に夢中で僕の方には見向きもしない。
好都合だね。
「わーい、ありがとう」
とりあえず子供っぽく言っておこう。
僕はそっと手に取って蓋を開ける。
蓋の内側に青の魔石、時計盤の真ん中には緑色の色褪せた石がはまってる。
やっぱり緑色の石は精霊石だ。
僕は後ろのひょろ長さんに注意しながら両眼とも発動させる。
時計盤のカバー硝子にそっと触れて石の波長を感じていく。
(もう嫌!
お願い、殺させないで!)
激しい感情が手から伝わる。
頭に響く声は幼い子供の物。
とても懐かしくて····だけど····。
ゆっくり眼を閉じてからもう1度目を開く。
体の角度を変えて死角を作ってからゆっくりポケットに手を入れた。
「ねえ、これはあといくつあるの?
誰が作ったの?」
「うん?
何か気になりましたか?」
鑑定に夢中だったみたいだね。
「これはあといくつあって、誰が作ったのかなって。
売ってくれるなら兄様にあげたいの」
「ああ、それは私が作ったんですよ。
青い石もなかなか貴重なんですけど、緑の石はこの世に2つとない石の欠片から復元しました。
残念ながら欠片は持ち主に返しましたし、その石の復元に成功したのはそれ1つだけなんですが、次に使えば石が砕けるでしょうね」
「そうなんだ。
持ち主はどんな人だったの?」
「それを聞いてどうするんです?」
「直接交渉できないかなって」
「何故です?」
「兄様が魔具を作るから、そういうのに興味があるの。
そういえば何年か前から王都で跡形もなく人が消えちゃう事件があったらしいんだけど、不思議な事に服だけはその場に残ってたんだって。
この懐中時計を使えば中身だけ若返られて最後は消失、なんてこともできそうだね」
ふつふつと、怒りが沸く。
僕の、なのに。
泣かせるなんて····許せない。
だけど僕のお顔はちゃんと微笑んでる。
せっかく見つけた手がかりだもの。
逃がしてあげない。
まずはルーベンス。
貴方から調べましょうか」
「大人しく従うと?」
「今の貴方がそのご令嬢を庇って脱出する自信がおありならお好きに」
クスリと冷たい微笑みを見せる。
「彼女には手を出すな」
そう言ってささっとベッドに横になる。
僕もゆっくりベッドに降ろされた。
ひょろ長さんがシル様のお顔に手をかざすと、シル様の瞼が降りて眠り始める。
良かった。
これで腹パンの脅威からシル様のお腹は守られた。
「痛い事はしませんよ。
私は知りたいだけです。
何故あそこで時間の巻き戻りが止まってしまったのか、変質した魔力が残っているのか····楽しみですねえ。
ベルヌは予定通りにやって下さい。
そろそろ山でスタンピードが起こる頃でしょう。
それに紛れて王族を殺すも良し、魔獣達に蹂躙される様を見るも良し」
ん?
スタンピード、だと?
お山には僕の家族もいるのに、不穏な事を言うの止めてよね。
僕の機嫌は急転直下だよ。
とりあえず僕達2人の当面の危機はなさそうだからベッドにぽふりと倒れこんで静かに聞き入る事にした。
「スタンピードがそんな簡単に起こるもんか?」
思案げな渋熊さん、いいね。
子供好きだったらお耳と尻尾触らせてくれるかな。
さっきどさくさに紛れて触っておけば良かった。
「どうでしょうね?
まあ何事も実験ですよ。
その為にこの3年はアビニシア家に怪しまれない程度に段階的に中位クラスの魔獣の数を減らして下位クラスを増やしていきましたから。
辺境領だけあって定期的に間引きをしていますからねえ。
不自然にならない程度に狩るのは本当に面倒でしたよ」
やれやれとひょろ長さんは首を竦める。
「しかしお陰でそろそろ活動的になる下位クラスでも群れる為に厄介な火蜘蛛も山の中腹でそれなりに卵を産んで数を増やしてましたし、上位クラスの卵から孵った育ち盛りの氷竜や氷熊、上位クラスに近い氷蜥蜴や氷蛇も確認しました。
中位クラスの魔獣がいなければ下位クラスに手を出すでしょう。
念の為に集めやすい下位クラスの魔獣は大量に山の麓に落として魔獣寄せの香を炊いておきましたし、隣国はあまり間引きをしていませんから香に引かれる下位クラスと中位クラスも増えているでしょう」
「ま、そろそろわざと空腹にさせて放っておいた火狼の群れも麓の餌を追いかけ始めただろうな。
好物の火蜘蛛の幼虫を山の中腹まで等間隔に撒いといたし、うまくいけば転移魔具が使えねえで足止め食らった王族や貴族を襲うだろう」
····何となく····スタンピードは起きない気がしてきたぞ。
何か····うん····数年物の計画邪魔してごめんね?
「私はルーベンスを検査したら頃合いを見て船に戻ります」
船?
て事は彼らは普段海の向こうの隣国にいるのかな?
「その2人はどうすんだ?」
「そうですねえ。
ご令嬢は連れて行きますが、彼は····まあ不必要なら置いて行きましょう」
「どっちを連れていくのにも許可を得ていないだろう」
「おやおや?
私は貴方達のように復讐が目的ではありませんよ?
まあ貴方は復讐だけとも限りませんがねえ。
私があの方に手を貸すのも、魔法の研究があってこそ。
当然あの方は私の目的は知ってらっしゃいます。
そういう意味ではあの方から知識と魔石をいただいて作ったこの魔具に干渉したご令嬢の魔具も、体で何らかの反応がおきた彼も手放すのは惜しいですねえ」
ひょろ長さんがチラリと見やった先には魔石が無くなった《絶対ガード君·改》とあの懐中時計が置いてあった。
「ご令嬢は色々と調べたいところですが、今は体調を戻していただかないと、血液や少しばかり肉片を採取するだけで死んじゃいそうですから、今は何もしませんよ」
え、肉片なの?!
うわ、これはもしかして非人道的研究に使われる予感しかしないな。
狂科学者ならぬ狂魔法学者だよ。
めちゃくちゃ僕の事をうっとり眺めてくるのも変態感を醸し出してて怖すぎる。
「おい、怯えさすのはやめろ」
「おや、私はただうっとりしていただけですよ?」
「それが逆に怖えだろ。
幼児趣味のド変態野郎にしか見えねえ」
あ、ベルヌも引いてる。
奇遇だね、僕もだよ。
「仕方ありませんよ。
私は魔人属ですから、私からすればあなたも含めて殆どの生物は幼児みたいなものです。
ほら、さっさと行って下さい」
いや、何か違うよ?
ひょろ長さんはそう言って尚も何か言いたげな熊さんを追い出した。
とりあえずドナドナされるどこぞの子牛のような目で見つめておいた。
子供好きならきっと後々胸を痛めるはずだ。
こんなのと同じ空間に置き去りにした罰だ。
邪魔者がいなくなってからのひょろ長さんは本当に嬉しそうにシル様に向かってうっとりと微笑んでいる。
····え、何時間か前は乙女なラノベ物だったけど、若返って傷を負った狼少年を狙うBとLなやつになってないよね?!
ひょろ長さんのお顔が変態っぽくて絵面が悪すぎて挿し絵は無しの方向になるやつじゃないかな?!
「ふふふ、心配しなくとも傷つけませんよ。
体に私の魔力を通して中を鑑定していくだけですから」
うん、そっちの心配は正直してないよ。
まあ鑑定だけならいいのかな?
「ねえ、あの懐中時計触ってもいい?」
「おや、気になりますか?
でも魔力が無いと起動もできませんよ?」
シル様のお顔や腕を触ってるけど、今のところ手つきはいやらしくない。
「中の魔石がとっても綺麗だったから見たいなって思ってたの。
ダメ?」
「ふふふ、今は気分が良いからかまいませんよ。
ただ丁寧に扱って下さいね」
今はシル様に夢中で僕の方には見向きもしない。
好都合だね。
「わーい、ありがとう」
とりあえず子供っぽく言っておこう。
僕はそっと手に取って蓋を開ける。
蓋の内側に青の魔石、時計盤の真ん中には緑色の色褪せた石がはまってる。
やっぱり緑色の石は精霊石だ。
僕は後ろのひょろ長さんに注意しながら両眼とも発動させる。
時計盤のカバー硝子にそっと触れて石の波長を感じていく。
(もう嫌!
お願い、殺させないで!)
激しい感情が手から伝わる。
頭に響く声は幼い子供の物。
とても懐かしくて····だけど····。
ゆっくり眼を閉じてからもう1度目を開く。
体の角度を変えて死角を作ってからゆっくりポケットに手を入れた。
「ねえ、これはあといくつあるの?
誰が作ったの?」
「うん?
何か気になりましたか?」
鑑定に夢中だったみたいだね。
「これはあといくつあって、誰が作ったのかなって。
売ってくれるなら兄様にあげたいの」
「ああ、それは私が作ったんですよ。
青い石もなかなか貴重なんですけど、緑の石はこの世に2つとない石の欠片から復元しました。
残念ながら欠片は持ち主に返しましたし、その石の復元に成功したのはそれ1つだけなんですが、次に使えば石が砕けるでしょうね」
「そうなんだ。
持ち主はどんな人だったの?」
「それを聞いてどうするんです?」
「直接交渉できないかなって」
「何故です?」
「兄様が魔具を作るから、そういうのに興味があるの。
そういえば何年か前から王都で跡形もなく人が消えちゃう事件があったらしいんだけど、不思議な事に服だけはその場に残ってたんだって。
この懐中時計を使えば中身だけ若返られて最後は消失、なんてこともできそうだね」
ふつふつと、怒りが沸く。
僕の、なのに。
泣かせるなんて····許せない。
だけど僕のお顔はちゃんと微笑んでる。
せっかく見つけた手がかりだもの。
逃がしてあげない。
7
お気に入りに追加
414
あなたにおすすめの小説
このやってられない世界で
みなせ
ファンタジー
筋肉馬鹿にビンタをくらって、前世を思い出した。
悪役令嬢・キーラになったらしいけど、
そのフラグは初っ端に折れてしまった。
主人公のヒロインをそっちのけの、
よく分からなくなった乙女ゲームの世界で、
王子様に捕まってしまったキーラは
楽しく生き残ることができるのか。
異世界のんびりワークライフ ~生産チートを貰ったので好き勝手生きることにします~
樋川カイト
ファンタジー
友人の借金を押し付けられて馬車馬のように働いていた青年、三上彰。
無理がたたって過労死してしまった彼は、神を自称する男から自分の不幸の理由を知らされる。
そのお詫びにとチートスキルとともに異世界へと転生させられた彰は、そこで出会った人々と交流しながら日々を過ごすこととなる。
そんな彼に訪れるのは平和な未来か、はたまた更なる困難か。
色々と吹っ切れてしまった彼にとってその全てはただ人生の彩りになる、のかも知れない……。
※この作品はカクヨム様でも掲載しています。
異世界母さん〜母は最強(つよし)!肝っ玉母さんの異世界で世直し無双する〜
トンコツマンビックボディ
ファンタジー
馬場香澄49歳 専業主婦
ある日、香澄は買い物をしようと町まで出向いたんだが
突然現れた暴走トラック(高齢者ドライバー)から子供を助けようとして
子供の身代わりに車にはねられてしまう
転生貴族のスローライフ
マツユキ
ファンタジー
現代の日本で、病気により若くして死んでしまった主人公。気づいたら異世界で貴族の三男として転生していた
しかし、生まれた家は力主義を掲げる辺境伯家。自分の力を上手く使えない主人公は、追放されてしまう事に。しかも、追放先は誰も足を踏み入れようとはしない場所だった
これは、転生者である主人公が最凶の地で、国よりも最強の街を起こす物語である
*基本は1日空けて更新したいと思っています。連日更新をする場合もありますので、よろしくお願いします
ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません
きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」
「正直なところ、不安を感じている」
久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー
激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。
アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。
第2幕、連載開始しました!
お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。
以下、1章のあらすじです。
アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。
表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。
常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。
それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。
サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。
しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。
盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。
アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる