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61.見守り隊~レイヤードside2
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「アボット先輩ではないか」
「確か魔術大会の優勝者だったね」
ルドとギディ様の声にふと視線をやる。
赤毛ギザ耳虎尻尾のアボット先輩がブースに入ったけど····アリー、わかってるよね····。
「レイヤード、敵か」
「····アリーなら、きっと約束を守るはずです。
でも約束破ってたら教えて下さいね。
赤虎消さないと」
兄上と顔を見合せ、頷き合う。
「兄上、グレインビル基準が怖すぎる」
「アリー····さすがグレインビルの悪魔使い」
後ろでボソボソ煩いよ。
「なるほど、売り子の黄虎も一緒に兄弟で商会を営んでるらしいな。
赤虎は冒険者になるのか?
アリー、約束は大事だぞ····うん、ちゃんと耐えてるな。
偉いぞ、帰ったらたくさんぎゅーしようじゃないか。
俺の天使は素晴らしい。
今度も調味料を買うみたいだ」
「そうなんですね。
アボット先輩は確かB級冒険者だったはずです。
冒険者ギルドも僕達と同じブレイバーですよ。
僕が先にぎゅーしますから、そのつもりでいて下さいね、兄上」
ちなみに僕はブレイバーという冒険者ギルドに所属しているA級冒険者だ。
兄上も冒険者としての所属はブレイバーだ。
ただ、学園の生徒は大体この近くのガナン冒険者ギルドに所属するんだ。
在学中の小遣い稼ぎに登録する生徒が多くて、薬草採取なんかの学生向けの依頼を多く扱う。
ギルドの入団試験も8割方は通るペーパーテスト。
対してブレイバーは王都の2つ隣町外れにあって実力主義で馴れ合いが少ないギルドだよ。
ハイクラス魔獣の討伐依頼とか、危険な依頼が多いけどその分稼ぎは良いんだ。
入団試験は合格者が1割にも満たない高難易度の実技試験だから、アボット先輩が大会で優勝したのは頷ける。
「チッ、赤虎め、東のブースまでついていく気だ。
さっさと凍らせるべきか?!」
「落ち着きなよ、バルトス。
見る限り護衛みたいなものじゃないの?
アリーについて行けば東のブースの商品も偵察できるだろうし、君が思うような下心はないはずだよ」
兄上の諫め役はギディ様になりつつある。
僕もそうだと思うけど、僕のアリーを良いように使おうとしてるのは苛っとする。
にしても、僕のアリーに近づき過ぎじゃない。
もっと離れなよ。
「なぁ、あれラルクじゃないか?」
後ろにいたルドが僕の肩に手を置いて呼びかける。
指差す方を見れば····あの金の耳と尻尾····。
「レイヤード、雷撃だ」
「ですね、兄上」
「「待て待て待て待て!」」
兄弟でハモるって、仲良いね。
ん、ラルクのやつ何を話しかけてるんだろう。
やっぱり真ん中レベルの雷撃かな。
「おい、あの狐は何してる?!」
「いや、明らかにアリーが自分から耳と尻尾を所望したんだよ!
バルトス、待て!」
「アリー、ラルクを殺す気か?!」
ちょっとアリー?!
僕との約束はどうなってるの?!
兄上はギディ様、僕はルドに後ろから羽交い締めにされる。
あー、この兄弟ウザい!
「ほら、アリーはちゃんと約束守ってるよ!
知らない人のは触ってないって!
レイヤード、君とは知らない人のは触らない約束なんでしょ!
ほら、アリーも君達が見守ってるって言ってるよ!
今殺ったらバレるよ!」
「そうだぞ、大体健気じゃないか!
ちゃんと我慢してたんだ!
次からは全部お触り禁止にすればいいだろう!
ここで出てったらせっかく我慢してたアリーだって可哀想だぞ!」
ふと、アリーの方を見ると····ん?
「僕の事イジワルって言ってるよね····狐触りながら、ふふ、イジワルって?」
「まさか読唇術····た、頼む····アリー····早く逃げてくれ····」
「ルド、そっちも頑張って。
バルトス、君の事は何も言ってない!
君の天使はちゃんと君を想ってる!」
ギディ様、支離滅裂だ。
にしても、ラルクのやつ!!
「よ、良かった····兄上、行きました!」
「ああ、平和はまもら···」
「あの狐!
俺の天使に触りやがったー!」
「守られてなかった!
バルトス、冷たい!
冷気止めるんだ!」
バリーンと兄上の周りに霜が張る。
ギディ様は火と風魔法で中和している。
「兄上、遊んでないで東のブースに追いかけましょう」
「····そうだな」
「グレインビル、恐ろしい」
「ルド····私は今、お忍びを後悔している」
ふん、だったら最初から来なければ良かったのに。
王族もこの程度でそんなになるなんて、情けないな。
僕達は足早に東のブースへと追いかけた。
「確か魔術大会の優勝者だったね」
ルドとギディ様の声にふと視線をやる。
赤毛ギザ耳虎尻尾のアボット先輩がブースに入ったけど····アリー、わかってるよね····。
「レイヤード、敵か」
「····アリーなら、きっと約束を守るはずです。
でも約束破ってたら教えて下さいね。
赤虎消さないと」
兄上と顔を見合せ、頷き合う。
「兄上、グレインビル基準が怖すぎる」
「アリー····さすがグレインビルの悪魔使い」
後ろでボソボソ煩いよ。
「なるほど、売り子の黄虎も一緒に兄弟で商会を営んでるらしいな。
赤虎は冒険者になるのか?
アリー、約束は大事だぞ····うん、ちゃんと耐えてるな。
偉いぞ、帰ったらたくさんぎゅーしようじゃないか。
俺の天使は素晴らしい。
今度も調味料を買うみたいだ」
「そうなんですね。
アボット先輩は確かB級冒険者だったはずです。
冒険者ギルドも僕達と同じブレイバーですよ。
僕が先にぎゅーしますから、そのつもりでいて下さいね、兄上」
ちなみに僕はブレイバーという冒険者ギルドに所属しているA級冒険者だ。
兄上も冒険者としての所属はブレイバーだ。
ただ、学園の生徒は大体この近くのガナン冒険者ギルドに所属するんだ。
在学中の小遣い稼ぎに登録する生徒が多くて、薬草採取なんかの学生向けの依頼を多く扱う。
ギルドの入団試験も8割方は通るペーパーテスト。
対してブレイバーは王都の2つ隣町外れにあって実力主義で馴れ合いが少ないギルドだよ。
ハイクラス魔獣の討伐依頼とか、危険な依頼が多いけどその分稼ぎは良いんだ。
入団試験は合格者が1割にも満たない高難易度の実技試験だから、アボット先輩が大会で優勝したのは頷ける。
「チッ、赤虎め、東のブースまでついていく気だ。
さっさと凍らせるべきか?!」
「落ち着きなよ、バルトス。
見る限り護衛みたいなものじゃないの?
アリーについて行けば東のブースの商品も偵察できるだろうし、君が思うような下心はないはずだよ」
兄上の諫め役はギディ様になりつつある。
僕もそうだと思うけど、僕のアリーを良いように使おうとしてるのは苛っとする。
にしても、僕のアリーに近づき過ぎじゃない。
もっと離れなよ。
「なぁ、あれラルクじゃないか?」
後ろにいたルドが僕の肩に手を置いて呼びかける。
指差す方を見れば····あの金の耳と尻尾····。
「レイヤード、雷撃だ」
「ですね、兄上」
「「待て待て待て待て!」」
兄弟でハモるって、仲良いね。
ん、ラルクのやつ何を話しかけてるんだろう。
やっぱり真ん中レベルの雷撃かな。
「おい、あの狐は何してる?!」
「いや、明らかにアリーが自分から耳と尻尾を所望したんだよ!
バルトス、待て!」
「アリー、ラルクを殺す気か?!」
ちょっとアリー?!
僕との約束はどうなってるの?!
兄上はギディ様、僕はルドに後ろから羽交い締めにされる。
あー、この兄弟ウザい!
「ほら、アリーはちゃんと約束守ってるよ!
知らない人のは触ってないって!
レイヤード、君とは知らない人のは触らない約束なんでしょ!
ほら、アリーも君達が見守ってるって言ってるよ!
今殺ったらバレるよ!」
「そうだぞ、大体健気じゃないか!
ちゃんと我慢してたんだ!
次からは全部お触り禁止にすればいいだろう!
ここで出てったらせっかく我慢してたアリーだって可哀想だぞ!」
ふと、アリーの方を見ると····ん?
「僕の事イジワルって言ってるよね····狐触りながら、ふふ、イジワルって?」
「まさか読唇術····た、頼む····アリー····早く逃げてくれ····」
「ルド、そっちも頑張って。
バルトス、君の事は何も言ってない!
君の天使はちゃんと君を想ってる!」
ギディ様、支離滅裂だ。
にしても、ラルクのやつ!!
「よ、良かった····兄上、行きました!」
「ああ、平和はまもら···」
「あの狐!
俺の天使に触りやがったー!」
「守られてなかった!
バルトス、冷たい!
冷気止めるんだ!」
バリーンと兄上の周りに霜が張る。
ギディ様は火と風魔法で中和している。
「兄上、遊んでないで東のブースに追いかけましょう」
「····そうだな」
「グレインビル、恐ろしい」
「ルド····私は今、お忍びを後悔している」
ふん、だったら最初から来なければ良かったのに。
王族もこの程度でそんなになるなんて、情けないな。
僕達は足早に東のブースへと追いかけた。
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