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17.商業祭~ルドルフside2
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「いませんね、白銀の美幼女」
「たまたま見かけたら、だと言っただろう!」
「またまたぁ、照れちゃって」
ぐぬぬ、アンのニヤニヤが腹立つ。
2人共探してくれているようで耳と尻尾を隠すのを止めている。
まぁ祭りの会場に入れば獣人もたくさんいるから目立つ事もない。
「あの商会のブースには入らなくてよかったのですか?」
「俺の知らない商品が多かった。
時間も惜しいから祭に出店する出店を回ってから商会の者と話してみたい」
「まずは美幼女を見つけたいんですね。
ところで、あの子がそうじゃないですか?
お茶会でお菓子を物色してた時と同じ顔してますよ。
可愛いですねぇ」
シルにもっともらしい事を言ってみたが、バレバレだった····もはや目的があの少女になってしまったのは隠せないようだ。
アンめ、ニヤニヤと····え?!本当にいたのか?!
慌ててアンの目線を追う····いた!
「行くぞ!」
数ヶ月ぶりに会う少女は抱き上げている義兄に時折視線を向けながらにこにこと楽しそうだ。
行き交う獣人にばかりキラキラした目を向けているのは気のせいだろうか。
ふと、俺達の方を見て義兄の肩に置いた手で彼の肩をポンポンと叩いて指差す。
まだ俺には気づいていないようだが、人混みをかき分けまっすぐ進む獣人の2人組を不審に思ったのだろう。
おい、遠目だがバルトス殿のやつ、舌打ちしなかったか。
俺、王子だぞ。
「茶会以来だな、アリアチェリーナ嬢。
バルトス殿も久々だが、元気だったか」
逃げられる前に何とか距離を詰めて話しかける。
うわ、何もそんな嫌そうな顔して嫌そうに言わなくてもいいだろう。
一緒に回るのをそんな拒絶しなくてもいいだろう!
え、しかも俺はレイの策略に乗せられたのか?!
何かもう色々と····傷つくぞ。
しかも何故だ····当のアリアチェリーナ嬢は護衛達にばかり視線を送っている。
おい!
アンは何故気安く手を振る?!
そしてアリアチェリーナ嬢は何故キラキラした目でアンを見る?!
あ、バルトス殿が顔を隠したと思ったら抱きついてる!
「くっ、妹いいなっ」
あ、つい本音がでてしまった。
そう、末っ子兄弟の俺としては妹という玩具がかねてより欲しい!
あんな風に甘えられたい!
ふと、アリアチェリーナ嬢がこちらを向く。
「護衛の人が抱っこしてお耳と尻尾触らせてくれるなら、あっちの端っこのブースまでご一緒しますよ?」
おぉ!
本人から誘われた!
ん?
それなら俺が抱えれば良いではないか。
自慢じゃないが、かなり鍛えているし小柄な彼女を抱えるなんて朝飯前だ。
しかし俺の提案は当然のように却下された。
話しかける前から獣人にばかり反応していた事といい、どうやら獣人達の耳と尻尾に触りたくて仕方なかったらしい。
人属の貴族令嬢は獣人に畏怖しやすいのだが、この子は違うようだ。
俺の事は全く興味がないようで、面白くない。
自発的に離れた事でショックを受けたバルトス殿には清々したが。
どうでもいいが、グレインビルの男達は魔術も頭脳もずば抜けたキレがあるのにこの養女が絡むとなぜここまで腑抜けになるのか謎すぎる。
優男風なアンを遮り強面のシルが抱き上げたのは意外だったが、特に本人を怖がりはしていないようだ。
地面との高さは怖いとか、そろりと豹と狼の耳と尻尾を触るとか、可愛い所もあるじゃないか。
妹いいなぁ····やはり父上と母上に頼んで妹を検討願おう。
そして俺が興味をもっていたジャガンダ国の商会のブースへ向かう。
串焼きのタレが気に入ったらしいが、率先して商会のブースへ足を運ぶ令嬢など聞いた事がない。
たどり着くまでに護衛2人とずいぶん打ち解けていたが、泣く子も黙る強面獣人シルとも普通に話している事といい、この後ブースでは身分がはるかに下である孤児に丁寧に話しかけ、商人と対等に会話するアリアチェリーナ嬢に俺は良い意味でショックを受けまくった。
あの喉にくる辛さやとにかく塩辛い調味料、見たことのない半白透明な穀物の衝動買いにも驚かされた。
余談だが、そんな義妹を陶酔の眼差しで見つめながら変態発言しまくりの美青年バルトス殿には大変大きなショックと共にドン引いた。
護衛達も同じ気持ちだったと後に語る。
王宮魔術師団副団長だよな、アレ。
義兄妹が普通に持ち歩いていた収納魔鞄はアンだけでなく俺も欲しくなったが、そうそう手に入らない。
まだ発売されて5年ほどでしかなく、高度な術式を施す必要があるので職人があまりいない。
基本的に品薄なのと今は王族御用達の商会しか職人と接触できないから個別に伝を頼って頼む事もできないらしい。
高名な魔術師家系のグレインビルに相応しい鞄だ。
あの穀物の大袋が5袋も入るとか、どんな構造だ。
あ、誰も見てないと思ってアリアチェリーナ嬢がこっそり欠伸しているな。
一瞬眠そうな顔が視界に映る。
昼前から来ていたらしいし、以前レイから昔よりはマシだが体も強くはないと聞いたことがある。
あの小柄な体躯で人混みの中ほぼ初対面の者達と触れ合えば、体力も気力もそろそろ限界なのだろう。
もう夕刻だ。
帰り際にひと悶着あったがアリアチェリーナ嬢、いや、アリーから条件付きとはいえ訪問の許しを得られた。
俺にはそもそも興味がないが、嫌ってもいないらしい。
まだ2回しか会ってないし、まともに話したのは今回が初めてだから嫌われてないならそれでいい。
グレインビル家特有の王家や諸貴族に関わりたくない症候群のようなのは気になるが、優秀な人材を多く輩出するが為に相当な注意を払わなければ貴族特有の悪意や嫉妬による足の引っ張り合いに巻き込まれるのだから、煩わされたくない気持ちはわかる。
特にこの少女は魔術師一家の中の魔力0令嬢なのだ。
家族の為にも表立って関わりたくないのだろうし、溺愛している家族も関わらせたくないだろう。
だからこそ俺だけでなく父上も兄上も中身を見て気安いながらも必要な線引きで付き合ってくれるこの一族に好意的かつ信頼を置いているのだ。
そして俺はご機嫌で王宮に戻り、父上達に妹を打診して頬を赤らめた母上と兄上に苦笑されつつ諌められてから寮に戻った。
父上はまんざらでもない顔だった。
「たまたま見かけたら、だと言っただろう!」
「またまたぁ、照れちゃって」
ぐぬぬ、アンのニヤニヤが腹立つ。
2人共探してくれているようで耳と尻尾を隠すのを止めている。
まぁ祭りの会場に入れば獣人もたくさんいるから目立つ事もない。
「あの商会のブースには入らなくてよかったのですか?」
「俺の知らない商品が多かった。
時間も惜しいから祭に出店する出店を回ってから商会の者と話してみたい」
「まずは美幼女を見つけたいんですね。
ところで、あの子がそうじゃないですか?
お茶会でお菓子を物色してた時と同じ顔してますよ。
可愛いですねぇ」
シルにもっともらしい事を言ってみたが、バレバレだった····もはや目的があの少女になってしまったのは隠せないようだ。
アンめ、ニヤニヤと····え?!本当にいたのか?!
慌ててアンの目線を追う····いた!
「行くぞ!」
数ヶ月ぶりに会う少女は抱き上げている義兄に時折視線を向けながらにこにこと楽しそうだ。
行き交う獣人にばかりキラキラした目を向けているのは気のせいだろうか。
ふと、俺達の方を見て義兄の肩に置いた手で彼の肩をポンポンと叩いて指差す。
まだ俺には気づいていないようだが、人混みをかき分けまっすぐ進む獣人の2人組を不審に思ったのだろう。
おい、遠目だがバルトス殿のやつ、舌打ちしなかったか。
俺、王子だぞ。
「茶会以来だな、アリアチェリーナ嬢。
バルトス殿も久々だが、元気だったか」
逃げられる前に何とか距離を詰めて話しかける。
うわ、何もそんな嫌そうな顔して嫌そうに言わなくてもいいだろう。
一緒に回るのをそんな拒絶しなくてもいいだろう!
え、しかも俺はレイの策略に乗せられたのか?!
何かもう色々と····傷つくぞ。
しかも何故だ····当のアリアチェリーナ嬢は護衛達にばかり視線を送っている。
おい!
アンは何故気安く手を振る?!
そしてアリアチェリーナ嬢は何故キラキラした目でアンを見る?!
あ、バルトス殿が顔を隠したと思ったら抱きついてる!
「くっ、妹いいなっ」
あ、つい本音がでてしまった。
そう、末っ子兄弟の俺としては妹という玩具がかねてより欲しい!
あんな風に甘えられたい!
ふと、アリアチェリーナ嬢がこちらを向く。
「護衛の人が抱っこしてお耳と尻尾触らせてくれるなら、あっちの端っこのブースまでご一緒しますよ?」
おぉ!
本人から誘われた!
ん?
それなら俺が抱えれば良いではないか。
自慢じゃないが、かなり鍛えているし小柄な彼女を抱えるなんて朝飯前だ。
しかし俺の提案は当然のように却下された。
話しかける前から獣人にばかり反応していた事といい、どうやら獣人達の耳と尻尾に触りたくて仕方なかったらしい。
人属の貴族令嬢は獣人に畏怖しやすいのだが、この子は違うようだ。
俺の事は全く興味がないようで、面白くない。
自発的に離れた事でショックを受けたバルトス殿には清々したが。
どうでもいいが、グレインビルの男達は魔術も頭脳もずば抜けたキレがあるのにこの養女が絡むとなぜここまで腑抜けになるのか謎すぎる。
優男風なアンを遮り強面のシルが抱き上げたのは意外だったが、特に本人を怖がりはしていないようだ。
地面との高さは怖いとか、そろりと豹と狼の耳と尻尾を触るとか、可愛い所もあるじゃないか。
妹いいなぁ····やはり父上と母上に頼んで妹を検討願おう。
そして俺が興味をもっていたジャガンダ国の商会のブースへ向かう。
串焼きのタレが気に入ったらしいが、率先して商会のブースへ足を運ぶ令嬢など聞いた事がない。
たどり着くまでに護衛2人とずいぶん打ち解けていたが、泣く子も黙る強面獣人シルとも普通に話している事といい、この後ブースでは身分がはるかに下である孤児に丁寧に話しかけ、商人と対等に会話するアリアチェリーナ嬢に俺は良い意味でショックを受けまくった。
あの喉にくる辛さやとにかく塩辛い調味料、見たことのない半白透明な穀物の衝動買いにも驚かされた。
余談だが、そんな義妹を陶酔の眼差しで見つめながら変態発言しまくりの美青年バルトス殿には大変大きなショックと共にドン引いた。
護衛達も同じ気持ちだったと後に語る。
王宮魔術師団副団長だよな、アレ。
義兄妹が普通に持ち歩いていた収納魔鞄はアンだけでなく俺も欲しくなったが、そうそう手に入らない。
まだ発売されて5年ほどでしかなく、高度な術式を施す必要があるので職人があまりいない。
基本的に品薄なのと今は王族御用達の商会しか職人と接触できないから個別に伝を頼って頼む事もできないらしい。
高名な魔術師家系のグレインビルに相応しい鞄だ。
あの穀物の大袋が5袋も入るとか、どんな構造だ。
あ、誰も見てないと思ってアリアチェリーナ嬢がこっそり欠伸しているな。
一瞬眠そうな顔が視界に映る。
昼前から来ていたらしいし、以前レイから昔よりはマシだが体も強くはないと聞いたことがある。
あの小柄な体躯で人混みの中ほぼ初対面の者達と触れ合えば、体力も気力もそろそろ限界なのだろう。
もう夕刻だ。
帰り際にひと悶着あったがアリアチェリーナ嬢、いや、アリーから条件付きとはいえ訪問の許しを得られた。
俺にはそもそも興味がないが、嫌ってもいないらしい。
まだ2回しか会ってないし、まともに話したのは今回が初めてだから嫌われてないならそれでいい。
グレインビル家特有の王家や諸貴族に関わりたくない症候群のようなのは気になるが、優秀な人材を多く輩出するが為に相当な注意を払わなければ貴族特有の悪意や嫉妬による足の引っ張り合いに巻き込まれるのだから、煩わされたくない気持ちはわかる。
特にこの少女は魔術師一家の中の魔力0令嬢なのだ。
家族の為にも表立って関わりたくないのだろうし、溺愛している家族も関わらせたくないだろう。
だからこそ俺だけでなく父上も兄上も中身を見て気安いながらも必要な線引きで付き合ってくれるこの一族に好意的かつ信頼を置いているのだ。
そして俺はご機嫌で王宮に戻り、父上達に妹を打診して頬を赤らめた母上と兄上に苦笑されつつ諌められてから寮に戻った。
父上はまんざらでもない顔だった。
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