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『君と見る桜?』
しおりを挟む「私、桜大好きなんだよね」
君がそう教えてくれたから、今日は2人で桜を見に来たんだ。
学校からの帰り道にある堤防に、帰宅した後にわざわざ待ち合わせてまで来たのはライトアップがされているから。
「ここ、いつ来てもライトアップされてる気がするけど、ちょっと寂しいよね」
「吊るす時期はイベントに合わせてると思うけど、いつもこの提灯だよな」
「春の桜、夏の盆踊りと花火大会、秋は神社のお祭りがあるし、冬は何かあったっけ?」
「梅祭りの時にも提灯下がってるくね?」
「あ、そうだそうだ!そんなに使うならもうずっと出しっぱでよくない?片付けも大変そう」
「そうだよなー、大体、こんなに寒いのに見に来る奴いるのか?」
「いないからいいんでしょ?2人きりで」
……たぶん顔が赤くなってると思うけど。
これだけ暗かったら見えてない、よな?
「ふふふっ」
小さく笑うちょっと上品な仕草が、可愛いんだってことを本人に言うつもりはない。
「クリスマスなんて、これよりもっと寒くてもっと人多いんだよ?」
「嫌いなのか?」
「ううん。すき」
「じゃあ、また今度行こうか」
「やったー!でもとりあえず今日は『桜』を楽しむんだ!」
そうはしゃぐ彼女の視線の先で、赤く色づいた桜の葉がひとひら舞い落ちた。
「まあ、桜が好きって、こういう意味じゃなかったんだけどね?」
「……春まで、待てなかったんだ」
「いーんだよー?春の桜より、好きになったから」
。
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