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6.はじめまして
しおりを挟むまず最初に、ベガさんが準備していない素材、つまり私の血液を採取しないといけない。
三滴の血液ってどうするの? と思ってたけど……
ちゃんと血液採る用の機械がありました。
リストバンドに四角い機械がついたものがあって、それを手首に嵌めたらスイッチを押すだけでチクッとして血を取ってくれた。すごい。
これで材料全部揃ったから、レッツトライ~!
大釜に人形を入れ、瓶のコルク栓をきゅぽんと引き抜いてピンク色のもやをかける。超カンタン。
飛んでいっちゃわないのかな、とも思ったけど、ドライアイスの煙みたいにちゃん釜の中に留まっている。
そして次に、血液をぽたぽたぽた。採取用の機械はそのままスポイトのように一滴づつ出すこともできるのだ。すごい。
最後に宝石みたいな《女賢者の涙》を入れると、自動でくるくる渦巻きになりながら回り始めた。
「おおー!」
めっちゃ魔女っぽくて感動しちゃう。
ベガさんのスキルが入ってるから私が何もしなくても大丈夫なんだろうね。
ピンク色だったモヤが赤色を経てゆっくりと紫に変わる。
ぽふん
気の抜けた音がして煙が立ち込め、それが晴れた時にはもう、
「かっわいい~!」
超かわいい妖精さんがそこにいた。
実写版ティンカーベルの髪をピンクに、瞳を紫にした感じで、ゆめかわな雰囲気がとっても私好み。
服がシンプルなリネンのワンピースなのがちょっと残念だから、いつか可愛い服を作ってあげたいな。
「初めまして、我があるじさま。
私はスピカ。これからどうぞ、よろしくお願い致しますわ」
「こちらこそ! よろしくお願いします!
妖精さんの名前って、最初から決まってるんだね?」
「あら、最初の質問がそれですか。あるじさまは研究熱心な方なのですね。
私はとても嬉しいです。
我々精霊や妖精と言われる存在は、核となるものや生成した人の影響を受けます。
例えば、髪色はベガさまに、瞳の色はアカリさまに影響されていますね。
それと同じように、名前もこの世に存在することが確定した時点で既に決まっているのです」
……うむ、むずかしい。
「ま、私や師匠に似てるってのは嬉しいよ。
それで、早速で申し訳ないんだけどさ、この家のことを色々教えて欲しいんだよ。
私、正直何も分かってなくて、困ってるんだ」
「何も分からない、と言えることは素敵な事だと思いますよ。
では、あるじさまの情報について、閲覧権限を貰えませんか? 家のことは分かりますが、何を知っていそうなのかが分かりませんので」
「閲覧権限って何?」
「メニュー画面の設定から操作できますよ」
「メニューって?」
「あらら? それすらご存知ないですか?」
かなり驚いた顔をされた。
「そんなに常識なの?」
「よほど幼い子どもでなければ皆知っている事だと思いますが」
「この世界での年齢を言うと、実はまだ一日目なんだよね……」
スピカちゃんにこれまでの経緯を説明し始めたけど、前途多難そうだなぁ……
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