天満堂へようこそ 4

浅井 ことは

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魔界城

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「え?だって、銭湯とか……えー!」

「王子?銭湯って何かしら?ニコル、浮気してないでしょうね?」

「浮気はしていません。皆様を公共の場へお連れしただけです」

「ふーん。ならいいけど……特に人間の女と浮気したらわかってるわよね?」

「エマ以外に素敵な女性なんていませんよ?愛しているのはあなただけです……が、また人間界へ行かないといけません」

「やだぁ。いつになったら結婚できるの?」

「バカ王子に聞いてください。ではまだ仕事があるので退いてください。邪魔です」

「邪魔って……久しぶりに会ったんだから少し話したら?エマさんだって寂しかっただろうし。荷物は自分で運べるから……ね?結月……さん?」

「あ、あぁ。そうしたらいい。私も城の事は良く知ってるし、ルーカスに案内して貰うから、ニコルゆっくりして来い」

「分かりました。エマ、皆さんに感謝しなさい」

分かってるわよと口を尖らせ、「本当にごめんなさい。ずっと人間界に行ってて会えなかったので……ついはしゃいでしまいました。ご無礼をお許しください」

「構わん。ニコルも婚約者が居るならいるで言え!」

「個人的なことでしたので。失礼しました」

「ダーリン行きましょ」と嬉しそうにニコルを引っ張っていく姿を見て一番驚いているのはノアだった。

「ノア?大丈夫?」

「へ?あ、はい。驚いただけです。では荷物を運びましょうか」

「兵が運んでくれるってさっき……」

「あ、そうでした。姫様のあの鍋は……」

「転移させたが……本当に大丈夫か?」

「平気です!」

「なら、お前は奏太を部屋に連れていったら、ちょっと手伝え」

「何するの?」

「お前は少し休め。あのびんの薬を捌くだけだ」

城に入り部屋まで行くと、普通の客室だったので安心した。

「とにかく風呂だな。私はひとまず隣にいるから、奏太の風呂が終わったら来てくれ」

「分かりました。奏太様、すぐ用意しますので」

そう言い風呂場へと行くノアはなにか落ち込んでいるようにも見えた。

風呂に入りながらそのことを聞くと、まさか婚約者がいるとは思ってもいなかったから驚いただけだと言う。

「他にもあるんじゃないの?」

「まぁ……兄も破談になったとはいえ婚約者がいましたし、私は剣ばかりでその様な話はひとつもなく……少し羨ましかったのだと」

「ノアかっこいいし、優しいから、絶対にいい人見つかるって!俺も彼女とか居たことないもん」

「ですよね。焦っても仕方がありませんから。それよりも、薬を捌くとか言ってましたが……」

「それ俺も行く!」

「ですが先程の頭痛といい、お疲れでしょう?」

「今平気だもん。ブランは置いてくけど」と湯船に浸かっているブランを見るとすぐにでも寝ていきそうだった。
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