天満堂へようこそ 4

浅井 ことは

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魔界城

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いつもの様に朝食を摂り、片付けをしてから出発する。
荷台にいるのは、ルーカス・ニコル・結月・ノア・そして俺とブラン。

「なんか臭いんだけど」

真ん中の囲炉裏のように作り替えられたところで、コトコトと薬を煮詰める結月に文句を言う。

「仕方ないだろう?文句があるならマー坊に言え」

「普通言えないでしょ?それにマー坊って……」

「あ、マー坊は可愛い物好きだからきっとブラン見たら喜ぶぞ?」

「あげないから!それに無理やり膝の上乗せないでよ!泣いてるじゃん」

「おー、ヨチヨチ。怖くなんかないよな?」

「は、はいぃぃぃ。グスッ」

「ブラン嫌だったら戻ってきていいんだぞ……」

「ん?首輪つけておいたぞ?」

「やめてよ本当に!これが姉だなんて俺、自分が可哀想だよ」

「好きで姉をやってるわけじゃない!たまたまだ!たまたま」

「結月、薬はありがたいんだがな、やはりその匂いは……」

「もう!細かい男どもだな!これでいいか?」

そう言って遮断の幕をはる。
最初からしてくれればいいのにと文句を言いながら、またブランを取り返すのに失敗したと思い落ち込む。

「後どのくらい?お城って幻界みたいな感じなの?」

「いや、多分お前の想像通りの城だ。暗いし見た目はホラー映画に出てきそうな……」

「中も?」

「中は幻界と変わらないかなぁ?あっちも廊下に絵がかかってるだろ?」

「うん。歴代の王様だって」

「こっちにもあるんだが、客用の寝室に、前に行った日本の土産ってのが置いてあったり、額に入って飾られてたりするんだが……」

「専用の部屋じゃないんだ」

「お前さ、髪の伸びる人形とか、幽霊の掛け軸とか知ってるか?」

「聞いたことはあるけど、見たことはないよ?」

「そんな物とか、木彫りの熊の置物とかな……正直やめて欲しいんだが、魔界で今それが流行ってるんだ」

「やだよ?俺そんな部屋は。気持ち悪い……」

「大丈夫です。姫様の隣の普通の部屋を用意しますので。ですが、シーサーと言う置物は面白い顔をしているのですね。我々は祓われることは無いですが」

「悪霊退散とか効かないの?」

「人間界で見たものでしたら、下級魔族でしょう。私たちにはなんの意味もありません」

「ですが、儀式で呼ばれるのでは?」

「本の中には本物もありますからね……たまに呼び出されてあげることもありますが、願いを叶えて魂を頂いて終わりです」

「前に見た映画なんだけどさ、四つ辻で呼び出すと10年後に魔犬が襲いに来て、魂持っていくのは?」

「下級がよく使う手です。我々はもっと大きな契約しかしませんので」

「映画は映画かぁ」

「奏太様がもし見たければ、いくらでも見せられますが?」

「いいよ。映画だけで。幻界はないの?」

「おとぎ話に出るくらいでしょうか?」

「だよね。俺は結月さんがもう魔女にしか見えない」

「聞こえてるぞ!」

ごめんなさいと素直に謝り、魔界のことを話してもらう。
話している間に着くとも言われていたから、暇つぶしと興味で聞いているのだが、自分が本や映画で知っているものとはかなり違うらしい。
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