54 / 71
地下洞窟
.
しおりを挟む
朝町を出るときには、何故かたくさんの女性が見送りに来ており、中にはルーカス様と呼ぶ声の中に、ニコル様・ノア様と黄色い声援が飛んでいる。
ノアの方を見ると知らん顔をしながらも顔を真っ赤にして横を向いている。
「なんでノアなの?俺とずっと一緒に……あ!」
思い当たるのは風の地。
まさかとは思ったが一応聞いてみると、追いかけられたのですと答えが帰ってくる。
きっと浴場のこともあるのかもしれない。
ニコルと二人で出てこない時間もあったから等と考えていると、何もありませんから!と答えが返ってくる。
「下らんことを言うな。ノアも男だ!あのユーリでさえ一度は結婚を断ってるんだぞ?」
「結婚?なんで断ったの?」
「私がその頃ヨーロッパにいて帰らなかったからだ。その、悪いとは思っているんだが、その話を聞いたのは日本についてからだし、戦争時に幻界に一度戻ってから母に聞いてだな……」
「可哀想……」
「だから戦後まではおとなしくしていたじゃないか!」
「そう言われても……」
「そんなことを言えばルーカス様もかなり逃げてますよね?」
「ニコルに聞いたのか?確かに逃げたと言えば逃げたが、王位を継ぐまでは結婚はしないって今は言ってあるからな」
「あのさ、お付きの者は結婚できないの?」
「いや、出来る。でないと爺の孫が二人もいるわけがないだろう?」
「あ、そっか!」
「ただ簡単にはいかない。お付きは必ずと言って良いほど主について来るから家を空けることが多い。理解の深い女性でないと無理だ。特に魔界は」
「まぁな。嫉妬深い女が多いから」とブルッとする。
どうかしたのか聞くと、一瞬背筋を何かが通ったような寒気を感じたと言うので、怖い話は嫌いだからといいながらも、何人かの女性は泣いているんだろうなと思うとその寒気も納得してしまう。
「たまにだがな……人間界の日本の丑三つ時にするやつあるだろう?」
「うん。夜中の2時に、白い着物かな?それを着て、頭に蝋燭差して……ってどうしたの?ノア」
「それ前に兄に見せられました。あの顔は魔界のものよりも怖く、木に藁で編んだ人形を釘で恨みながら打ち付けるものと、木の板にその者の名前を書き、洋服や髪、爪などを張り付けて釘で刺したりなどこの世のものとは思えない……」
「それ、俺の部屋にあったやつじゃん!レンタルで借りたんだよ。でもそういうのは見ると呪われるとか、見られた者は呪い返しがあるとかって……な、なに?」
話しているとキラキラした目で結月が覗き込んできていたので余計に心臓に悪い。
「私はその手の話は好きでな。昔、呪い返しや占い屋、巫女や術士など色々言われたものだ。ほとんどが嘘のものばかりだったがな」
「嘘?」
「そうだ。思い込みなどが多いな。そこで薬を売り出したら売れたんで薬屋の始まりとなるんだが、祓い屋は物凄く儲かった!」
ノアの方を見ると知らん顔をしながらも顔を真っ赤にして横を向いている。
「なんでノアなの?俺とずっと一緒に……あ!」
思い当たるのは風の地。
まさかとは思ったが一応聞いてみると、追いかけられたのですと答えが帰ってくる。
きっと浴場のこともあるのかもしれない。
ニコルと二人で出てこない時間もあったから等と考えていると、何もありませんから!と答えが返ってくる。
「下らんことを言うな。ノアも男だ!あのユーリでさえ一度は結婚を断ってるんだぞ?」
「結婚?なんで断ったの?」
「私がその頃ヨーロッパにいて帰らなかったからだ。その、悪いとは思っているんだが、その話を聞いたのは日本についてからだし、戦争時に幻界に一度戻ってから母に聞いてだな……」
「可哀想……」
「だから戦後まではおとなしくしていたじゃないか!」
「そう言われても……」
「そんなことを言えばルーカス様もかなり逃げてますよね?」
「ニコルに聞いたのか?確かに逃げたと言えば逃げたが、王位を継ぐまでは結婚はしないって今は言ってあるからな」
「あのさ、お付きの者は結婚できないの?」
「いや、出来る。でないと爺の孫が二人もいるわけがないだろう?」
「あ、そっか!」
「ただ簡単にはいかない。お付きは必ずと言って良いほど主について来るから家を空けることが多い。理解の深い女性でないと無理だ。特に魔界は」
「まぁな。嫉妬深い女が多いから」とブルッとする。
どうかしたのか聞くと、一瞬背筋を何かが通ったような寒気を感じたと言うので、怖い話は嫌いだからといいながらも、何人かの女性は泣いているんだろうなと思うとその寒気も納得してしまう。
「たまにだがな……人間界の日本の丑三つ時にするやつあるだろう?」
「うん。夜中の2時に、白い着物かな?それを着て、頭に蝋燭差して……ってどうしたの?ノア」
「それ前に兄に見せられました。あの顔は魔界のものよりも怖く、木に藁で編んだ人形を釘で恨みながら打ち付けるものと、木の板にその者の名前を書き、洋服や髪、爪などを張り付けて釘で刺したりなどこの世のものとは思えない……」
「それ、俺の部屋にあったやつじゃん!レンタルで借りたんだよ。でもそういうのは見ると呪われるとか、見られた者は呪い返しがあるとかって……な、なに?」
話しているとキラキラした目で結月が覗き込んできていたので余計に心臓に悪い。
「私はその手の話は好きでな。昔、呪い返しや占い屋、巫女や術士など色々言われたものだ。ほとんどが嘘のものばかりだったがな」
「嘘?」
「そうだ。思い込みなどが多いな。そこで薬を売り出したら売れたんで薬屋の始まりとなるんだが、祓い屋は物凄く儲かった!」
0
お気に入りに追加
29
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ナマズの器
螢宮よう
キャラ文芸
時は、多種多様な文化が溶け合いはじめた時代の赤い髪の少女の物語。
不遇な赤い髪の女の子が過去、神様、因縁に巻き込まれながらも前向きに頑張り大好きな人たちを守ろうと奔走する和風ファンタジー。
式鬼のはくは格下を蹴散らす
森羅秋
キャラ文芸
陰陽師と式鬼がタッグを組んだバトル対決。レベルの差がありすぎて大丈夫じゃないよね挑戦者。バトルを通して絆を深めるタイプのおはなしですが、カテゴリタイプとちょっとズレてるかな!っていう事に気づいたのは投稿後でした。それでも宜しければぜひに。
時は現代日本。生活の中に妖怪やあやかしや妖魔が蔓延り人々を影から脅かしていた。
陰陽師の末裔『鷹尾』は、鬼の末裔『魄』を従え、妖魔を倒す生業をしている。
とある日、鷹尾は分家であり従妹の雪絵から決闘を申し込まれた。
勝者が本家となり式鬼を得るための決闘、すなわち下剋上である。
この度は陰陽師ではなく式鬼の決闘にしようと提案され、鷹尾は承諾した。
分家の下剋上を阻止するため、魄は決闘に挑むことになる。
妖古書堂のグルメな店主
浅井 ことは
キャラ文芸
裏路地にある小汚い古本屋
店主はいつもテーブルに座って本を読んでいるだけ。
立ち読みにはいいかと寄ったのが運の尽き。突然「うちで働いてみませんか?」と声をかけられたのは良いものの、本の整理をするバイトだと思っていたら____
天満堂へようこそ 3
浅井 ことは
キャラ文芸
♪¨̮⑅*⋆。˚✩.*・゚
寂れた商店街から、住宅街のビルへと発展を遂げた天満堂。
相変わらずの賑やかな薬屋には問題が勃発していたが、やっと落ち着きを取り戻し始めた天満道で働く者達に新たなる試練が?
※どんなお薬でも作ります。
※材料高価買取。
※お支払いは日本円でお願い致します。
※その他応相談。
♪¨̮⑅*⋆。˚✩.*・゚
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる