44 / 71
氷の地
.
しおりを挟む
「なら、魔王と天界の王にだけはちゃんと挨拶してからになるな……こちらも落ち着いたら宴だろうし、天界のオッサンはお前に会いたがっていたから、そこでも宴になるだろうし……」
「何?嫌なの?」
「面倒くさいんだよ!ドレスとか着ないといけないし」
「お、俺もスーツとか?」
「真っ白な花婿みたいな格好させられるだろうな」
「ノアもだよね?」
「お付はそれなりの格好なだけだ!」
狡いとノアを見ると、幻界でもそうですと言われてしまう。
まだ、そんなパーティなんかに出たことがなかったので、テーブルマナーから一応と教えられるが、ベッドに横になったまま言われても説得力の欠けらも無い。
「あ!」
「出たな……」
風は強くなっているものの、来た時よりはまだ優しい。横の隙間から外を見ると、真っ白な狼の様な獣がぐるりと周りを囲んでいる。
「姫様と奏太様は中でお待ちください」と飛び出していくので、結月と二人して外の様子を見る。
「あ、ニコルさんも出てきたよ」
「あいつの強さは聞いているが……」
「すごく強いよ。ノアと2人だとあっという間に終わっちゃうし」
「そうか、ならお前も行け!」と見ていた隙間から押し出される。
「それが姉のすることか!」
「黙らんか!もしもの時は助けてやるから安心して行ってこい」
そんなことを言っている間に狼はどんどんと増えていき、犬車の周りまで近付いてきている。
仕方ないと思い、六台が囲めるかは分からなかったが白い盾を展開する。
かなり集中しても、三台囲むのが限界だったが、ルーカスや結月にブランの乗っている荷台はスッポリと覆われたので、ここから動けるのかが分からなかった。
出ていって鎌鼬で狼を薙ぎ払っても、殺すまでは行かない。盾の外に出て壊れても困る。
自分の能力がどれだけなのかがまだハッキリと分かっていない分、変な動きはしたくない。
クキョッ……
ツンツンとつつかれ、後ろにブランが居ることを確認する。
「お、お前なんで出てきてるの?中に戻れよ」
「結月さんから伝言……この盾は離れても大丈夫。僕の背中に乗って、真中から薙ぎ払え。後は兵がなんとかする。薙ぎ払ったら戻ってこいだって」
「はぁ!?馬鹿姉だな!ブラン怖かったらいいよ?俺遠くからなら出来ると思うし……」
「しないと丸焼きにするって……」と目に涙を貯めている。
「分かった。ブランも俺守るから背中に乗せてくれる?」
「クキョッ!」
足を曲げ、背に乗りやすいようにしてくれる。おまけに、しっかりと鞍まで着いていて準備がいい。
辺りを見回して、丁度いい感じに空いている場所があったのでそこに飛べるか聞くと、一飛びで行けると言うので、何とかブランにも盾を張り飛んでもらう。
うまく着地ができたので、そのまま手を刀状に変形させて思い切り鎌鼬を投げつけ、四方にも飛ばすと前の方にいた狼が倒れ、雪崩式に狼が倒れていく。
「何?嫌なの?」
「面倒くさいんだよ!ドレスとか着ないといけないし」
「お、俺もスーツとか?」
「真っ白な花婿みたいな格好させられるだろうな」
「ノアもだよね?」
「お付はそれなりの格好なだけだ!」
狡いとノアを見ると、幻界でもそうですと言われてしまう。
まだ、そんなパーティなんかに出たことがなかったので、テーブルマナーから一応と教えられるが、ベッドに横になったまま言われても説得力の欠けらも無い。
「あ!」
「出たな……」
風は強くなっているものの、来た時よりはまだ優しい。横の隙間から外を見ると、真っ白な狼の様な獣がぐるりと周りを囲んでいる。
「姫様と奏太様は中でお待ちください」と飛び出していくので、結月と二人して外の様子を見る。
「あ、ニコルさんも出てきたよ」
「あいつの強さは聞いているが……」
「すごく強いよ。ノアと2人だとあっという間に終わっちゃうし」
「そうか、ならお前も行け!」と見ていた隙間から押し出される。
「それが姉のすることか!」
「黙らんか!もしもの時は助けてやるから安心して行ってこい」
そんなことを言っている間に狼はどんどんと増えていき、犬車の周りまで近付いてきている。
仕方ないと思い、六台が囲めるかは分からなかったが白い盾を展開する。
かなり集中しても、三台囲むのが限界だったが、ルーカスや結月にブランの乗っている荷台はスッポリと覆われたので、ここから動けるのかが分からなかった。
出ていって鎌鼬で狼を薙ぎ払っても、殺すまでは行かない。盾の外に出て壊れても困る。
自分の能力がどれだけなのかがまだハッキリと分かっていない分、変な動きはしたくない。
クキョッ……
ツンツンとつつかれ、後ろにブランが居ることを確認する。
「お、お前なんで出てきてるの?中に戻れよ」
「結月さんから伝言……この盾は離れても大丈夫。僕の背中に乗って、真中から薙ぎ払え。後は兵がなんとかする。薙ぎ払ったら戻ってこいだって」
「はぁ!?馬鹿姉だな!ブラン怖かったらいいよ?俺遠くからなら出来ると思うし……」
「しないと丸焼きにするって……」と目に涙を貯めている。
「分かった。ブランも俺守るから背中に乗せてくれる?」
「クキョッ!」
足を曲げ、背に乗りやすいようにしてくれる。おまけに、しっかりと鞍まで着いていて準備がいい。
辺りを見回して、丁度いい感じに空いている場所があったのでそこに飛べるか聞くと、一飛びで行けると言うので、何とかブランにも盾を張り飛んでもらう。
うまく着地ができたので、そのまま手を刀状に変形させて思い切り鎌鼬を投げつけ、四方にも飛ばすと前の方にいた狼が倒れ、雪崩式に狼が倒れていく。
0
お気に入りに追加
28
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
あやかし旅籠 ちょっぴり不思議なお宿の広報担当になりました
水縞しま
キャラ文芸
旧題:あやかし旅籠~にぎやか動画とほっこり山菜ごはん~
第6回キャラ文芸大賞【奨励賞】作品です。
◇◇◇◇
廃墟系動画クリエーターとして生計を立てる私、御崎小夏(みさきこなつ)はある日、撮影で訪れた廃村でめずらしいものを見つける。つやつやとした草で編まれたそれは、強い力が宿る茅の輪だった。茅の輪に触れたことで、あやかしの姿が見えるようになってしまい……!
廃村で出会った糸引き女(おっとり美形男性)が営む旅籠屋は、どうやら経営が傾いているらしい。私は山菜料理をごちそうになったお礼も兼ねて、旅籠「紬屋」のCM制作を決意する。CMの効果はすぐにあらわれお客さんが来てくれたのだけど、客のひとりである三つ目小僧にねだられて、あやかし専門チャンネルを開設することに。
デパコスを愛するイマドキ女子の雪女、枕を返すことに執念を燃やす枕返し、お遍路さんスタイルの小豆婆。個性豊かなあやかしを撮影する日々は思いのほか楽しい。けれど、私には廃墟を撮影し続けている理由があって……。
愛が重い美形あやかし×少しクールなにんげん女子のお話。
ほっこりおいしい山菜レシピもあります。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
白い彼女は夜目が利く
とらお。
キャラ文芸
真夏の夜、涼しい風が吹くその場所で、彼女を見つけた。
何の変哲もない男子高校生、神埼仄は小学生の頃一目惚れした少女を忘れられずにいた。
そんなある日、一人の少女がクラスに転校してくる。
その少女は昔一目惚れしたその少女とそっくりで……。
それからだった。
彼の身の回りでおかしなことが起こり始めたのは。
◆ ◇ ◆ ◇
怪異に恋する現代和風ファンタジー。
貴方はそれでも、彼女を好きだと言えますか?
毎週水・土曜日、20時更新予定!
あなたの子ですが、内緒で育てます
椿蛍
恋愛
「本当にあなたの子ですか?」
突然現れた浮気相手、私の夫である国王陛下の子を身籠っているという。
夫、王妃の座、全て奪われ冷遇される日々――王宮から、追われた私のお腹には陛下の子が宿っていた。
私は強くなることを決意する。
「この子は私が育てます!」
お腹にいる子供は王の子。
王の子だけが不思議な力を持つ。
私は育った子供を連れて王宮へ戻る。
――そして、私を追い出したことを後悔してください。
※夫の後悔、浮気相手と虐げられからのざまあ
※他サイト様でも掲載しております。
※hotランキング1位&エールありがとうございます!
懐妊を告げずに家を出ます。最愛のあなた、どうかお幸せに。
梅雨の人
恋愛
最愛の夫、ブラッド。
あなたと共に、人生が終わるその時まで互いに慈しみ、愛情に溢れる時を過ごしていけると信じていた。
その時までは。
どうか、幸せになってね。
愛しい人。
さようなら。
【NL】花姫様を司る。※R-15
コウサカチヅル
キャラ文芸
神社の跡取りとして生まれた美しい青年と、その地を護る愛らしい女神の、許されざる物語。
✿✿✿✿✿
シリアスときどきギャグの現代ファンタジー短編作品です。基本的に愛が重すぎる男性主人公の視点でお話は展開してゆきます。少しでもお楽しみいただけましたら幸いです(*´ω`)💖
✿✿✿✿✿
※こちらの作品は『カクヨム』様にも投稿させていただいております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる