天満堂へようこそ 4

浅井 ことは

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氷の地

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「なら、魔王と天界の王にだけはちゃんと挨拶してからになるな……こちらも落ち着いたら宴だろうし、天界のオッサンはお前に会いたがっていたから、そこでも宴になるだろうし……」

「何?嫌なの?」

「面倒くさいんだよ!ドレスとか着ないといけないし」

「お、俺もスーツとか?」

「真っ白な花婿みたいな格好させられるだろうな」

「ノアもだよね?」

「お付はそれなりの格好なだけだ!」

狡いとノアを見ると、幻界でもそうですと言われてしまう。
まだ、そんなパーティなんかに出たことがなかったので、テーブルマナーから一応と教えられるが、ベッドに横になったまま言われても説得力の欠けらも無い。

「あ!」

「出たな……」

風は強くなっているものの、来た時よりはまだ優しい。横の隙間から外を見ると、真っ白な狼の様な獣がぐるりと周りを囲んでいる。

「姫様と奏太様は中でお待ちください」と飛び出していくので、結月と二人して外の様子を見る。

「あ、ニコルさんも出てきたよ」

「あいつの強さは聞いているが……」

「すごく強いよ。ノアと2人だとあっという間に終わっちゃうし」

「そうか、ならお前も行け!」と見ていた隙間から押し出される。

「それが姉のすることか!」

「黙らんか!もしもの時は助けてやるから安心して行ってこい」

そんなことを言っている間に狼はどんどんと増えていき、犬車の周りまで近付いてきている。
仕方ないと思い、六台が囲めるかは分からなかったが白い盾を展開する。
かなり集中しても、三台囲むのが限界だったが、ルーカスや結月にブランの乗っている荷台はスッポリと覆われたので、ここから動けるのかが分からなかった。

出ていって鎌鼬で狼を薙ぎ払っても、殺すまでは行かない。盾の外に出て壊れても困る。
自分の能力がどれだけなのかがまだハッキリと分かっていない分、変な動きはしたくない。

クキョッ……

ツンツンとつつかれ、後ろにブランが居ることを確認する。

「お、お前なんで出てきてるの?中に戻れよ」

「結月さんから伝言……この盾は離れても大丈夫。僕の背中に乗って、真中から薙ぎ払え。後は兵がなんとかする。薙ぎ払ったら戻ってこいだって」

「はぁ!?馬鹿姉だな!ブラン怖かったらいいよ?俺遠くからなら出来ると思うし……」

「しないと丸焼きにするって……」と目に涙を貯めている。

「分かった。ブランも俺守るから背中に乗せてくれる?」

「クキョッ!」

足を曲げ、背に乗りやすいようにしてくれる。おまけに、しっかりと鞍まで着いていて準備がいい。

辺りを見回して、丁度いい感じに空いている場所があったのでそこに飛べるか聞くと、一飛びで行けると言うので、何とかブランにも盾を張り飛んでもらう。
うまく着地ができたので、そのまま手を刀状に変形させて思い切り鎌鼬を投げつけ、四方にも飛ばすと前の方にいた狼が倒れ、雪崩式に狼が倒れていく。
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