天満堂へようこそ 4

浅井 ことは

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氷の地

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下へ降り荷台を見ると、しっかり火の前に毛布を敷いてもらって温まっているブランがいた。

犬車にはソリがついており、犬にも暖かそうな服が着せられている。一つの荷車に二頭。全部で6台の犬車が用意されていた。

「なんか凄い数だね……」

「一番前、二番目と最後尾の犬車には兵が乗る。三番目が俺とニコル。四番目が結月と奏太ノア、そしてブラン。五台目は食料が積んであるから荷番に兵が乗り、最後尾も兵が乗り込む。御者も兵がするから荷台で寛いでいれば良い」

「でも……」

「今回は一気に城に行くから、このぐらいでも不十分なくらいだが、最速だと思うぞ?それにみんな慣れてるからな」

「奏太、甘えておけ」

「うん……」

ルーカスが兵に指示を出すと、軍隊のようにみんな動きが素早く定位置につき、あっという間に準備が整った。

「出発します」との声が聞こえ、荷台の使っていたベッドは結月にしっかりと取られてしまった。

「奏太、街を出てからすぐに氷の地の最深部に入るが、入るまでの風の強さは来た時と全然違う。びっくりしても幌を開けるなよ?すべて吹き飛んでしまうからな」

「姫様は来られたことがあるのですか?」

「材料集めで来た時1人だったから、城から直接氷の地までは飛んだんだが、この街に来るまで散々な目に遭った……面白かったが」

「面白いって……」

「珍しい薬の材料が入るんだよ。だから魔法陣で呼び寄せて、必要な部分だけこう……」とジェスチャーするので辞めてもらう。

「洞窟でも魔獣など出た時は?」

「ノアが様子をみて、この荷台に寄るようなら倒しておいてくれ。私もあまり魔力は使いたくない」

「畏まりました」

段々風の音が中まで聞こえてきたので、出口はすぐなのだろうと、後ろから覗く。

「奏太、気になるか?」

「ならないって言ったら嘘になるけど……ここから人間界まで行って、人間界で今までどんな生活してきたのかは気になるよ?」

「それはおいおい思い出すだろう。今後の事だが……二つ道がある」

「二つ?」

「天界に行けたら、そこでも旅をしながら魔力制御に務めて落ち着いてから人間界に帰るか。
天界に行ってすぐに人間界に帰るかの二つだ」

「今向こうとの時間差は?」

「半年になるかならないかだな。会社はルーカスとニコル・ユーリと私で何とかなりはするが……」

「あのさ、一回帰ってから天界に行くのはダメなの?」

「構わんが……帰ったらまた熱や頭痛などが出るかもしれんし、前に少し変化した様に全体で変化してしまうと無理やり戻すよりも天界に送らないと行けなくなるそれでもいいのか?」

「うん……ムーにも会いたいし、一度帰りたい。昔住んでた婆ちゃんの家があったところも行きたいし……」
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