41 / 71
氷の地
.
しおりを挟む
「クキョッー!」
「ごめんな。たくさん食べたみたいだな?また真ん丸だ」
「お肉美味しかったよ。みんなが嘴も拭いてくれた」
「いつも見たいにバシャバシャって洗わなかったんだ」
「うん」
頭を撫で、話していた部屋にブランを連れていくと、結月を見てビクッとしながら後に隠れる。
「だから!食わないって!」
こっちに来いと言う結月に恐る恐る近づき、大きな岩のように真ん丸に丸くなる。
「何なんだこいつは!私は食わないと言ってるだろうが!」
「怒った言い方するから怖いんだって」
「これに慣れろ!」
「はいいい!」
「よし、お手!」
「犬じゃないんだからさ……」
「どうにも動物に好かれた試しがない」
そうだろうね……と心の中で呟き、ブランに怖くないからと何度も言い聞かせる。
「ブラン、お前は人なら何人乗せられる?」
「あの、男の人なら2人……ノアさんとニコルさんと荷物も少しなら」
「女もか?」
「はい。1人なら、沢山荷物があっても大丈夫です」
「奏太を乗せて飛べるか?」
「高くは飛べないんですけど……」
「この屋敷の上までは?」
「飛び乗るくらいなら簡単です」
「ふーん」
「ふーんて何だよ?」
「いや、ケリー種はもっと大きいからな。たまたま大きくならなかっただけだろうと思って、能力だけは聞いたってところだ」
「後、私の声ももちろん頭に聞こえるな?」
「はい。ちょっと前からお団子とかお萩とか聞こえてました」
「奏太を頼んだぞ」
「はい!」
嬉しかったのか、暖炉の前で寛ぎ始めたので、上に毛布をかけ、テーブルにつくとルーカスがやって来た。
「準備は出来たのか?」
「後は奏太を乗せるだけだが」
「今、少し話してたんだが……奏太の記憶が少し戻ってる。後、この石なんだが」
手のひらに乗せられた石を一つずつ確認し、結月に返し、「俺に魔法陣は聞くな」と一言。
「バカ王子は何を学んでこられたのか……」
「バカって言うな!こんな複雑なもの見たこともない……いや、ある!」
「やっぱりゲートか?」
「一部が似ている程度にしかわからんが、緑の石もオレンジの石も一部同じ文字があるだろう?一つは魔界の門に刻まれている印と同じだ。後はわからん!」
「馬鹿ではなかったようですね?」
「あのなぁ、何回あのゲートから人間界に行ってると思ってるんだ?嫌でも覚えるだろう?」
「隅々まで覚えてます?」
「そこまで見てないが……」
「あのさ、そのゲートってのは、そこら中にあるの?」
「奏太は知らないか。王宮の中に各界への門がある。中心の街に一つ。街のゲート……門を通るには許可証が入って、管理人と兵が常駐してるんだ。だから、勝手な出入りは……あ!」
「遅いわ!ルーカス!」
「まさか、石?」
「ごめんな。たくさん食べたみたいだな?また真ん丸だ」
「お肉美味しかったよ。みんなが嘴も拭いてくれた」
「いつも見たいにバシャバシャって洗わなかったんだ」
「うん」
頭を撫で、話していた部屋にブランを連れていくと、結月を見てビクッとしながら後に隠れる。
「だから!食わないって!」
こっちに来いと言う結月に恐る恐る近づき、大きな岩のように真ん丸に丸くなる。
「何なんだこいつは!私は食わないと言ってるだろうが!」
「怒った言い方するから怖いんだって」
「これに慣れろ!」
「はいいい!」
「よし、お手!」
「犬じゃないんだからさ……」
「どうにも動物に好かれた試しがない」
そうだろうね……と心の中で呟き、ブランに怖くないからと何度も言い聞かせる。
「ブラン、お前は人なら何人乗せられる?」
「あの、男の人なら2人……ノアさんとニコルさんと荷物も少しなら」
「女もか?」
「はい。1人なら、沢山荷物があっても大丈夫です」
「奏太を乗せて飛べるか?」
「高くは飛べないんですけど……」
「この屋敷の上までは?」
「飛び乗るくらいなら簡単です」
「ふーん」
「ふーんて何だよ?」
「いや、ケリー種はもっと大きいからな。たまたま大きくならなかっただけだろうと思って、能力だけは聞いたってところだ」
「後、私の声ももちろん頭に聞こえるな?」
「はい。ちょっと前からお団子とかお萩とか聞こえてました」
「奏太を頼んだぞ」
「はい!」
嬉しかったのか、暖炉の前で寛ぎ始めたので、上に毛布をかけ、テーブルにつくとルーカスがやって来た。
「準備は出来たのか?」
「後は奏太を乗せるだけだが」
「今、少し話してたんだが……奏太の記憶が少し戻ってる。後、この石なんだが」
手のひらに乗せられた石を一つずつ確認し、結月に返し、「俺に魔法陣は聞くな」と一言。
「バカ王子は何を学んでこられたのか……」
「バカって言うな!こんな複雑なもの見たこともない……いや、ある!」
「やっぱりゲートか?」
「一部が似ている程度にしかわからんが、緑の石もオレンジの石も一部同じ文字があるだろう?一つは魔界の門に刻まれている印と同じだ。後はわからん!」
「馬鹿ではなかったようですね?」
「あのなぁ、何回あのゲートから人間界に行ってると思ってるんだ?嫌でも覚えるだろう?」
「隅々まで覚えてます?」
「そこまで見てないが……」
「あのさ、そのゲートってのは、そこら中にあるの?」
「奏太は知らないか。王宮の中に各界への門がある。中心の街に一つ。街のゲート……門を通るには許可証が入って、管理人と兵が常駐してるんだ。だから、勝手な出入りは……あ!」
「遅いわ!ルーカス!」
「まさか、石?」
0
お気に入りに追加
28
あなたにおすすめの小説
御神楽《怪奇》探偵事務所
姫宮未調
キャラ文芸
女探偵?・御神楽菖蒲と助手にされた男子高校生・咲良優多のハチャメチャ怪奇コメディ
※変態イケメン執事がもれなくついてきます※
怪奇×ホラー×コメディ×16禁×ラブコメ
主人公は優多(* ̄∇ ̄)ノ
アイドル⇔スパイ
AQUA☆STAR
キャラ文芸
【現在、更新停止中】
アイドルとスパイの日常が入れ替わる⁉︎
ソロアイドルとして人気絶好調の凛花(天然、超幸運体質)、表は普通の女子高校生『白波瀬凛花』として生活していた彼女は、校内で『自分と瓜二つの人間が現れる』という都市伝説を耳にする。
その日、いつもの様に学校から自宅へと帰宅していたリンカは、黒ずくめの怪しい男たちに襲われる。そんな彼女を助けたのは、自分と瓜二つの顔をするカリンと名乗る少女だった。
「私は通りすがりのスパイよ」
アイドルに憧れる凄腕スパイ。
非日常に刺激を求める天然アイドル。
混ぜるな危険。二人の少女による華麗な輪舞曲、『アイドル』と『スパイ』略して『アイスパ』ここに開演。
ガダンの寛ぎお食事処
蒼緋 玲
キャラ文芸
**********************************************
とある屋敷の料理人ガダンは、
元魔術師団の魔術師で現在は
使用人として働いている。
日々の生活の中で欠かせない
三大欲求の一つ『食欲』
時には住人の心に寄り添った食事
時には酒と共に彩りある肴を提供
時には美味しさを求めて自ら買い付けへ
時には住人同士のメニュー論争まで
国有数の料理人として名を馳せても過言では
ないくらい(住人談)、元魔術師の料理人が
織り成す美味なる心の籠もったお届けもの。
その先にある安らぎと癒やしのひとときを
ご提供致します。
今日も今日とて
食堂と厨房の間にあるカウンターで
肘をつき住人の食事風景を楽しみながら眺める
ガダンとその住人のちょっとした日常のお話。
**********************************************
【一日5秒を私にください】
からの、ガダンのご飯物語です。
単独で読めますが原作を読んでいただけると、
登場キャラの人となりもわかって
味に深みが出るかもしれません(宣伝)
外部サイトにも投稿しています。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
あの世とこの世の狭間にて!
みーやん
キャラ文芸
「狭間店」というカフェがあるのをご存知でしょうか。
そのカフェではあの世とこの世どちらの悩み相談を受け付けているという…
時には彷徨う霊、ある時にはこの世の人、
またある時には動物…
そのカフェには悩みを持つものにしか辿り着けないという。
このお話はそんなカフェの物語である…
天満堂へようこそ 6
浅井 ことは
キャラ文芸
♪¨̮⑅*⋆。˚✩.*・゚
寂れた商店街から発展を遂げ、今やTVでCMも流れるほどに有名になった天満堂薬店。
その薬は人間のお客様は、天満堂薬店まで。
人外の方はご予約の日に、本社横「BAR TENMAN」までお越しください。
どんなお薬でもお作りします。
※材料高価買取
※口外禁止
※現金のみ取り扱い(日本円のみ可)
※その他診察も致します
天界で王子のお披露目の最中に起こった出来事。
新王子奏太が襲われ、犯人は過去に捕えられ狭間の世界へと送りこまれたリアムだったが……
天満堂へようこそ5の続編となります。
♪¨̮⑅*⋆。˚✩.*・゚
孤独な銀弾は、冷たい陽だまりに焦がれて
霖しのぐ
キャラ文芸
ある目的を果たすためにだけ生きていた主人公〈空木櫂人/うつぎ・かいと〉は、毎日通うスーパーで顔を合わせる女性〈伊吹澪/いぶき・みお〉のことをなんとなく気にしていた。
ある日の夜、暗がりで男性と揉めていた澪を助けた櫂人は、その礼にと彼女の家に招かれ、彼女のとんでもない秘密を知ってしまう。しかし、櫂人もまた澪には話すことのできない秘密を持っていた。
人を喰らう吸血鬼と、それを討つ処刑人。決して交わってはならない二人が、お互いに正体を隠したまま絆を深め、しだいに惹かれあっていく。
しかし、とうとうその関係も限界を迎える時が来た。追い詰められてしまった中で、気持ちが通じ合った二人が迎える結末とは?
いたずら妖狐の目付け役
ススキ荻経
キャラ文芸
【京都×動物妖怪のお仕事小説!】
「目付け役」――。それは、平時から妖怪が悪さをしないように見張る役目を任された者たち。
しかし、妖狐を専門とする目付け役「狐番」の京都担当は、まさかのサボり魔だった!?
京の平和を全力で守ろうとする新米陰陽師の賀茂紬は、ひねくれものの狐番の手を(半ば強引に)借り、今日も動物妖怪たちが引き起こすトラブルを解決するために奔走する!
これは京都に潜むもふもふなあやかしたちの物語。
エブリスタにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる