天満堂へようこそ 4

浅井 ことは

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風の地

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護衛全員で剥いだ皮と牙は、売却の時に均等に分けられると言われた。

夜中の交代を終えて眠り、朝食を気に入ってくれていた根菜の味噌汁とご飯に、魔鳥の卵で目玉焼きを作る。

「奏太、これが最後の食事と思うと寂しいね……また、こちらに来た時には作ってちょうだい」

「はい!」

「もうすぐ街だし、後はいいから荷車の準備をして来ていいわよ。後は誰かに任せるから」

ありがとうと言い、ノアに声をかけ街に行く前の準備を済ませる。

「ニコルさん、もう野菜とか無いけど……」

「街で買いましょう。姫様とも連絡を取ってませんし……肉は魔象の肉があるので、後はパンの粉くらいですね」

「うん。後はこっちの準備でいいって言われたけど」

「後ろでゆっくり休んでいてください。夜魔力を使ったのでまだ疲れもあるでしょうから」

「ありがとう。次の街ってどんな所?」

「とにかく氷だらけです。前に言っていたつららも沢山あります」

「ノア、道路で見てたけど、前の街ではあんまり思い出せなかったんだ。次の街で思い出せるかな?」

「風と氷ですから、何か分かるといいのですが……焦らなくとも良いのでは?」

「やっぱり気になってさ……」

ゆっくり思い出せばいいと言われ、出発からベッドに横になり、ウトウトとする。

ぐっすりとまでは行かなかったが、体を横にしてたので、大分と体はマシになったが、頭痛が酷い。

幌を捲り外をみると、一面雪と氷だらけで、木も凍っていた……

「ブラン、見てみろよ。外すごいぞ?」

「何あれ?」

「氷柱っていうんだ。見た事ない?」

「無い。痛い?」

「落ちてきて当たったら痛いと思うけど」

「幻界にはないよ?」

「雪はあったけど、ここまで凍ってなかったもんな……」

「やっぱりここは寒いよ」

火に当たっててと火鉢の近くにブランを置き、マントの上から毛布を被るが、頭痛はだんだんとひどくなっていく。

「ニコルさん、前に貰った頭痛薬ない?」

「痛みますか?」

「うん。だんだん酷くなってきて……頭割れそう」

薬を貰い、白湯で飲んでからまた横になるが、いつもなら効いて来るはずの天満堂特製頭痛薬が全く効かない。

「奏太様?」

「前にいなくていいの?」

「街まではすぐだそうなので様子を見に。いつから痛みますか?」

「戦った後から少し。でも、氷見てからだんだん酷くなってきて、薬飲んだけど治らなくて」

「ちょっと失礼致します」

そう言って熱を計られ、ベッドにちゃんと寝ていろと言われ、布団をかけられる。

「姫様と連絡が付けばいいのですが……」

「すぐ治るよ」

暫く眠り、起こされた時には大きな街についていて、全て終わった後だった。

「俺、アグナさんにお別れ言ってないや……」

「気にするなとの伝言です。宿の方取りましたので今から行きます。医者もいると思いますので、ノアさんと奏太様は宿の方で待っていてください」
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