天満堂へようこそ 4

浅井 ことは

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魔界

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「あの後ろは?」

「幌を張る骨組みは出来てますが、下に段差をつけ、荷物がしまえる様になってますので、中は広くなり、座ったりそこで寝ることも可能です。御者台の真後ろに小さいですがベッドが作られています」

「よく考えられていますね」

「魔界は盗賊のようなものも出ますし、温暖差も激しく、氷の地ではあの位してもまだ足りないくらいです」

「あんなに大きくして犬二匹で平気?」

「あの大きさならば一頭でも充分引けます」

あっという間に組み立てられたので、食事を終わらせて新たな荷馬車……荷犬車の中に乗る。

下の板を外せば十分なほど荷物が入るので、中はがらんとしていた。

「奏太様はベッドをお使い下さい」

「でも……」

「あの力はやはり魔力もあると思います。かなり眠られてたので」

寝転んでみろと言われ寝転ぶと、横幅一杯でもゆっくり横になれた。

ブランに頑張ってもらって宿まで運び、店主が使ってないと言う布団を貰ってベッドに敷く。枕も毛布もあり、家で寝るのとさほど変わらず、ノア達の布団は床下に収納された。
一部下の蓋を外せば、金属で出来た四角い鍋のようなものが挟まっており、そこで火を焚くことも可能だという。

「風の抜け道もあるので煙もこもりません」

ニコルはそう言うが、見るからに寒い。
今から行くところはそんなに寒いのかと思うと、体が冷えるような感覚に襲われる。

「あ……」

「何か?足りないものでも?」

「こんなに豪華な犬車になったら、余計襲われるんじゃないの?」

「旗は立てて行きますので、まず襲われることはないかと思います。まぁ、来たものは二人で始末しますが……」

「始末って……」

残りのランプや火の道具などをさらに買い足しに行き取り付けると、前の荷馬車より大きくて踏み台がないと登れない高さになっていた。階段も横にかけられていて、御者台も三人で乗っても余裕だった。

「明日は早いですからゆっくりしましょう。浴場に行きますか?」

いい!と部屋の風呂に入り、食堂で夕飯を食べて早々に眠る。

朝市のような所で肉を買い、ブランに引いてもらい犬のところまで行く。

来たのがわかったのか、二匹がワンワンと吠え駆け寄って来る。

犬を繋ぎ車輪を見ると、昨日は気づかなかったが、車輪が二重になっていた。

「宜しくな」と頭を撫で、出発する。

最初の休憩地まで3人で御者台に乗り進むが、段々と風が強くなってくる。

膝にいたブランもポケットに逃げ込み、どうしたのかと聞くと、小さいから飛んでしまうと言われてしまった。

「境目はまだ?」

「あの大木から向こうが風の地です。中心はもっと風がきつくなるので、注意してください」

所々魔物は出たが、サッと2人が掛けていき、すぐに倒してしまうので出番さえない。
休憩にすると言われ、皮を剥いで薬の材料になるものをとってから食事にするが、魔法で火がつけられるようになったので、風で消えることもなく、米と共に材料と水・調味料を入れ煮込む。
具沢山のおじやを作るが、これからは寒くなるのでこの料理が主だと言われた。
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