14 / 71
魔界
.
しおりを挟む
「あの後ろは?」
「幌を張る骨組みは出来てますが、下に段差をつけ、荷物がしまえる様になってますので、中は広くなり、座ったりそこで寝ることも可能です。御者台の真後ろに小さいですがベッドが作られています」
「よく考えられていますね」
「魔界は盗賊のようなものも出ますし、温暖差も激しく、氷の地ではあの位してもまだ足りないくらいです」
「あんなに大きくして犬二匹で平気?」
「あの大きさならば一頭でも充分引けます」
あっという間に組み立てられたので、食事を終わらせて新たな荷馬車……荷犬車の中に乗る。
下の板を外せば十分なほど荷物が入るので、中はがらんとしていた。
「奏太様はベッドをお使い下さい」
「でも……」
「あの力はやはり魔力もあると思います。かなり眠られてたので」
寝転んでみろと言われ寝転ぶと、横幅一杯でもゆっくり横になれた。
ブランに頑張ってもらって宿まで運び、店主が使ってないと言う布団を貰ってベッドに敷く。枕も毛布もあり、家で寝るのとさほど変わらず、ノア達の布団は床下に収納された。
一部下の蓋を外せば、金属で出来た四角い鍋のようなものが挟まっており、そこで火を焚くことも可能だという。
「風の抜け道もあるので煙もこもりません」
ニコルはそう言うが、見るからに寒い。
今から行くところはそんなに寒いのかと思うと、体が冷えるような感覚に襲われる。
「あ……」
「何か?足りないものでも?」
「こんなに豪華な犬車になったら、余計襲われるんじゃないの?」
「旗は立てて行きますので、まず襲われることはないかと思います。まぁ、来たものは二人で始末しますが……」
「始末って……」
残りのランプや火の道具などをさらに買い足しに行き取り付けると、前の荷馬車より大きくて踏み台がないと登れない高さになっていた。階段も横にかけられていて、御者台も三人で乗っても余裕だった。
「明日は早いですからゆっくりしましょう。浴場に行きますか?」
いい!と部屋の風呂に入り、食堂で夕飯を食べて早々に眠る。
朝市のような所で肉を買い、ブランに引いてもらい犬のところまで行く。
来たのがわかったのか、二匹がワンワンと吠え駆け寄って来る。
犬を繋ぎ車輪を見ると、昨日は気づかなかったが、車輪が二重になっていた。
「宜しくな」と頭を撫で、出発する。
最初の休憩地まで3人で御者台に乗り進むが、段々と風が強くなってくる。
膝にいたブランもポケットに逃げ込み、どうしたのかと聞くと、小さいから飛んでしまうと言われてしまった。
「境目はまだ?」
「あの大木から向こうが風の地です。中心はもっと風がきつくなるので、注意してください」
所々魔物は出たが、サッと2人が掛けていき、すぐに倒してしまうので出番さえない。
休憩にすると言われ、皮を剥いで薬の材料になるものをとってから食事にするが、魔法で火がつけられるようになったので、風で消えることもなく、米と共に材料と水・調味料を入れ煮込む。
具沢山のおじやを作るが、これからは寒くなるのでこの料理が主だと言われた。
「幌を張る骨組みは出来てますが、下に段差をつけ、荷物がしまえる様になってますので、中は広くなり、座ったりそこで寝ることも可能です。御者台の真後ろに小さいですがベッドが作られています」
「よく考えられていますね」
「魔界は盗賊のようなものも出ますし、温暖差も激しく、氷の地ではあの位してもまだ足りないくらいです」
「あんなに大きくして犬二匹で平気?」
「あの大きさならば一頭でも充分引けます」
あっという間に組み立てられたので、食事を終わらせて新たな荷馬車……荷犬車の中に乗る。
下の板を外せば十分なほど荷物が入るので、中はがらんとしていた。
「奏太様はベッドをお使い下さい」
「でも……」
「あの力はやはり魔力もあると思います。かなり眠られてたので」
寝転んでみろと言われ寝転ぶと、横幅一杯でもゆっくり横になれた。
ブランに頑張ってもらって宿まで運び、店主が使ってないと言う布団を貰ってベッドに敷く。枕も毛布もあり、家で寝るのとさほど変わらず、ノア達の布団は床下に収納された。
一部下の蓋を外せば、金属で出来た四角い鍋のようなものが挟まっており、そこで火を焚くことも可能だという。
「風の抜け道もあるので煙もこもりません」
ニコルはそう言うが、見るからに寒い。
今から行くところはそんなに寒いのかと思うと、体が冷えるような感覚に襲われる。
「あ……」
「何か?足りないものでも?」
「こんなに豪華な犬車になったら、余計襲われるんじゃないの?」
「旗は立てて行きますので、まず襲われることはないかと思います。まぁ、来たものは二人で始末しますが……」
「始末って……」
残りのランプや火の道具などをさらに買い足しに行き取り付けると、前の荷馬車より大きくて踏み台がないと登れない高さになっていた。階段も横にかけられていて、御者台も三人で乗っても余裕だった。
「明日は早いですからゆっくりしましょう。浴場に行きますか?」
いい!と部屋の風呂に入り、食堂で夕飯を食べて早々に眠る。
朝市のような所で肉を買い、ブランに引いてもらい犬のところまで行く。
来たのがわかったのか、二匹がワンワンと吠え駆け寄って来る。
犬を繋ぎ車輪を見ると、昨日は気づかなかったが、車輪が二重になっていた。
「宜しくな」と頭を撫で、出発する。
最初の休憩地まで3人で御者台に乗り進むが、段々と風が強くなってくる。
膝にいたブランもポケットに逃げ込み、どうしたのかと聞くと、小さいから飛んでしまうと言われてしまった。
「境目はまだ?」
「あの大木から向こうが風の地です。中心はもっと風がきつくなるので、注意してください」
所々魔物は出たが、サッと2人が掛けていき、すぐに倒してしまうので出番さえない。
休憩にすると言われ、皮を剥いで薬の材料になるものをとってから食事にするが、魔法で火がつけられるようになったので、風で消えることもなく、米と共に材料と水・調味料を入れ煮込む。
具沢山のおじやを作るが、これからは寒くなるのでこの料理が主だと言われた。
0
お気に入りに追加
28
あなたにおすすめの小説
【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
アルバートの屈辱
プラネットプラント
恋愛
妻の姉に恋をして妻を蔑ろにするアルバートとそんな夫を愛するのを諦めてしまった妻の話。
『詰んでる不憫系悪役令嬢はチャラ男騎士として生活しています』の10年ほど前の話ですが、ほぼ無関係なので単体で読めます。
王妃そっちのけの王様は二人目の側室を娶る
家紋武範
恋愛
王妃は自分の人生を憂いていた。国王が王子の時代、彼が六歳、自分は五歳で婚約したものの、顔合わせする度に喧嘩。
しかし王妃はひそかに彼を愛していたのだ。
仲が最悪のまま二人は結婚し、結婚生活が始まるが当然国王は王妃の部屋に来ることはない。
そればかりか国王は側室を持ち、さらに二人目の側室を王宮に迎え入れたのだった。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる