2 / 71
魔界
.
しおりを挟む
「あのさ、転移で行ったらどう?」
「場所を知らなければいけないんです……」
「そうなんだ……俺もできるようになるかな?」
「なると思います。でもまずは……先程から近ずいてきている狼を何とかしませんと……」
「分かった」
荷馬車の左右に分かれて降りる。
狼に似てはいるが、きっと幻獣のようになにか名前があるのだろう……
飛びかかってきたものから次々と剣でなぎ倒していく。
飛び出る血は紫。赤くないだけなんだかマシな気がしないでもないが、手に伝わる感触は慣れるものでは無い。
ノアの方を見ると後方の狼も倒し終えている。
「やっぱり凄い……」
「いえ、弱かったので。奏太様も力が付いたようで何よりです。しかし、これは皮を剥いでも売り物にはならないでしょうね……」
「そうなの?」
「確か薬の材料に狼の毛とあったので取っておきましょうか。姫様の役に立つかも知れません」
「分かった。何の位?」
「この小さな袋一つ分でいいかと。何故かその袋が大量に入っていたので」
「完全に取ってこいじゃん!」
「ですね。取っておきましょう」
二人で毛をむしり、袋につめてまた出発する。
しばらく進むと村らしきものが見えてきた。
門も木の柵だけで、家も小屋のような建物ばかりだったので大丈夫だろうかとも思ったが、すぐに目当ての雑貨屋のような店を見つけて中に入る。
「すいません、このあたりの地図は売っていますか?」
「あるよ。こんな時に旅かい?」
出てきた店主は背の曲がった小さな老人で、耳が尖っている。指も長く、幻界とは全然違っていた。
地図を渡され、100魔通貨支払い、現在地を教えてもらう。
「この村はここだ。城はここ」
「かなり離れてない?」
「そうですね。この間に村はありますか?」
「城に行くんだったら、この村からまっすぐ進めばいいが、城に近くなれば焼け野原かもなぁ……」そう言いつつ印をいくつかつけてくれる。
大きい街が二つあり、間に小さな町があるとの事だった。
お礼を言いすぐに村を出る。
「あと何買ったの?」
「コンパスと筆記用具です。入ってなかったので……」
「地図のこのマークが北って事かな?」
「だと思うのですが、魔界と幻界では表記の仕方も言葉や文字も違いますから」
「読める?」
「会話も可能ですし読み書きも習いましたので。ですが、1週間ではつかないかと……魔界のことで教わったことも来て通じないと分かりましたし……」
「そうなんだ」
ブランを休ませてあげたかったが、仕方なく移動を始める。
普通の川と大木があったので、前と同じ様に天幕を張り、食事の用意をする。
ブランを連れて川に行き、水を汲んでブランにも桶で水を飲ませる。
「疲れただろ?休んでなよ。ご飯できたら言うからさ」
「クキョッ!いいの?」
「いいよ」
天幕のそばで丸まっている姿はやはりお萩にしか見えない。
「場所を知らなければいけないんです……」
「そうなんだ……俺もできるようになるかな?」
「なると思います。でもまずは……先程から近ずいてきている狼を何とかしませんと……」
「分かった」
荷馬車の左右に分かれて降りる。
狼に似てはいるが、きっと幻獣のようになにか名前があるのだろう……
飛びかかってきたものから次々と剣でなぎ倒していく。
飛び出る血は紫。赤くないだけなんだかマシな気がしないでもないが、手に伝わる感触は慣れるものでは無い。
ノアの方を見ると後方の狼も倒し終えている。
「やっぱり凄い……」
「いえ、弱かったので。奏太様も力が付いたようで何よりです。しかし、これは皮を剥いでも売り物にはならないでしょうね……」
「そうなの?」
「確か薬の材料に狼の毛とあったので取っておきましょうか。姫様の役に立つかも知れません」
「分かった。何の位?」
「この小さな袋一つ分でいいかと。何故かその袋が大量に入っていたので」
「完全に取ってこいじゃん!」
「ですね。取っておきましょう」
二人で毛をむしり、袋につめてまた出発する。
しばらく進むと村らしきものが見えてきた。
門も木の柵だけで、家も小屋のような建物ばかりだったので大丈夫だろうかとも思ったが、すぐに目当ての雑貨屋のような店を見つけて中に入る。
「すいません、このあたりの地図は売っていますか?」
「あるよ。こんな時に旅かい?」
出てきた店主は背の曲がった小さな老人で、耳が尖っている。指も長く、幻界とは全然違っていた。
地図を渡され、100魔通貨支払い、現在地を教えてもらう。
「この村はここだ。城はここ」
「かなり離れてない?」
「そうですね。この間に村はありますか?」
「城に行くんだったら、この村からまっすぐ進めばいいが、城に近くなれば焼け野原かもなぁ……」そう言いつつ印をいくつかつけてくれる。
大きい街が二つあり、間に小さな町があるとの事だった。
お礼を言いすぐに村を出る。
「あと何買ったの?」
「コンパスと筆記用具です。入ってなかったので……」
「地図のこのマークが北って事かな?」
「だと思うのですが、魔界と幻界では表記の仕方も言葉や文字も違いますから」
「読める?」
「会話も可能ですし読み書きも習いましたので。ですが、1週間ではつかないかと……魔界のことで教わったことも来て通じないと分かりましたし……」
「そうなんだ」
ブランを休ませてあげたかったが、仕方なく移動を始める。
普通の川と大木があったので、前と同じ様に天幕を張り、食事の用意をする。
ブランを連れて川に行き、水を汲んでブランにも桶で水を飲ませる。
「疲れただろ?休んでなよ。ご飯できたら言うからさ」
「クキョッ!いいの?」
「いいよ」
天幕のそばで丸まっている姿はやはりお萩にしか見えない。
0
お気に入りに追加
28
あなたにおすすめの小説
御神楽《怪奇》探偵事務所
姫宮未調
キャラ文芸
女探偵?・御神楽菖蒲と助手にされた男子高校生・咲良優多のハチャメチャ怪奇コメディ
※変態イケメン執事がもれなくついてきます※
怪奇×ホラー×コメディ×16禁×ラブコメ
主人公は優多(* ̄∇ ̄)ノ
ガダンの寛ぎお食事処
蒼緋 玲
キャラ文芸
**********************************************
とある屋敷の料理人ガダンは、
元魔術師団の魔術師で現在は
使用人として働いている。
日々の生活の中で欠かせない
三大欲求の一つ『食欲』
時には住人の心に寄り添った食事
時には酒と共に彩りある肴を提供
時には美味しさを求めて自ら買い付けへ
時には住人同士のメニュー論争まで
国有数の料理人として名を馳せても過言では
ないくらい(住人談)、元魔術師の料理人が
織り成す美味なる心の籠もったお届けもの。
その先にある安らぎと癒やしのひとときを
ご提供致します。
今日も今日とて
食堂と厨房の間にあるカウンターで
肘をつき住人の食事風景を楽しみながら眺める
ガダンとその住人のちょっとした日常のお話。
**********************************************
【一日5秒を私にください】
からの、ガダンのご飯物語です。
単独で読めますが原作を読んでいただけると、
登場キャラの人となりもわかって
味に深みが出るかもしれません(宣伝)
外部サイトにも投稿しています。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
あの世とこの世の狭間にて!
みーやん
キャラ文芸
「狭間店」というカフェがあるのをご存知でしょうか。
そのカフェではあの世とこの世どちらの悩み相談を受け付けているという…
時には彷徨う霊、ある時にはこの世の人、
またある時には動物…
そのカフェには悩みを持つものにしか辿り着けないという。
このお話はそんなカフェの物語である…
孤独な銀弾は、冷たい陽だまりに焦がれて
霖しのぐ
キャラ文芸
ある目的を果たすためにだけ生きていた主人公〈空木櫂人/うつぎ・かいと〉は、毎日通うスーパーで顔を合わせる女性〈伊吹澪/いぶき・みお〉のことをなんとなく気にしていた。
ある日の夜、暗がりで男性と揉めていた澪を助けた櫂人は、その礼にと彼女の家に招かれ、彼女のとんでもない秘密を知ってしまう。しかし、櫂人もまた澪には話すことのできない秘密を持っていた。
人を喰らう吸血鬼と、それを討つ処刑人。決して交わってはならない二人が、お互いに正体を隠したまま絆を深め、しだいに惹かれあっていく。
しかし、とうとうその関係も限界を迎える時が来た。追い詰められてしまった中で、気持ちが通じ合った二人が迎える結末とは?
天満堂へようこそ 6
浅井 ことは
キャラ文芸
♪¨̮⑅*⋆。˚✩.*・゚
寂れた商店街から発展を遂げ、今やTVでCMも流れるほどに有名になった天満堂薬店。
その薬は人間のお客様は、天満堂薬店まで。
人外の方はご予約の日に、本社横「BAR TENMAN」までお越しください。
どんなお薬でもお作りします。
※材料高価買取
※口外禁止
※現金のみ取り扱い(日本円のみ可)
※その他診察も致します
天界で王子のお披露目の最中に起こった出来事。
新王子奏太が襲われ、犯人は過去に捕えられ狭間の世界へと送りこまれたリアムだったが……
天満堂へようこそ5の続編となります。
♪¨̮⑅*⋆。˚✩.*・゚
いたずら妖狐の目付け役
ススキ荻経
キャラ文芸
【京都×動物妖怪のお仕事小説!】
「目付け役」――。それは、平時から妖怪が悪さをしないように見張る役目を任された者たち。
しかし、妖狐を専門とする目付け役「狐番」の京都担当は、まさかのサボり魔だった!?
京の平和を全力で守ろうとする新米陰陽師の賀茂紬は、ひねくれものの狐番の手を(半ば強引に)借り、今日も動物妖怪たちが引き起こすトラブルを解決するために奔走する!
これは京都に潜むもふもふなあやかしたちの物語。
エブリスタにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる