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翔平の旅
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金峯山寺に着いたのは夕方過ぎ。
寺の裏の方に行くと、ゾワッとした感覚があり、何度か通った神様の結界を通った感覚とおなじ感覚がした。
しかも山の中なのに、家が建っている。
「今日はここに泊まる。明日はゆっくりと寺でも見て回ればいい」
「はい」
とは言っても、周りにいる使用人のような人と言っていいのか、みんな手足の生えたカラスが修験者のような格好をしていて、忙しなく宙に浮いて飛び回っている。
「あの、ここは……」
「ああ、儂の同族の暮らす家と思ってくれたらいい。裏にも温泉があるから今日は疲れをゆっくりと取って……って何をしておる?」
「えっと、お風呂の支度?」
「俺も」
「お前達話を聞くってことを知らんのか?」
「いや、飯の時に聞く。とにかく体を洗いたいんだ俺は」
「俺も頭洗いたいです……温泉て聞いたら背中とか足とかもう痒くって」
そう言うとガクッと肩を落とす大天狗さん。
八咫烏は着いてくるというので案内してもらい、体をこれでもかという程洗ってから温泉に浸かる。
お風呂で足を伸ばしながら、「修験者の人達だっけ?みんなあんなに険しい山に登ってるのかな?」と聞くと、「知らん」と迦具土らしい言葉が返ってくる。
「俺達神と、天狗達人神や道祖神などとはまた違うからな。しかも、昔は天狗といえば悪だ。だから隠れ里に住んでいたりしたが……ここも多分そのひとつなんだろう」
「悪い人に見えないけど」
「人の捉え方の違いだ。何かがあれば、天狗の仕業、海が荒れれば海神、山関係は山神とかな……他にも火の神は沢山いるが、昔は刀を作るのに金屋子神に死体を捧げるとか……色々と悪く言われる神は沢山いる。本来は違う意味の神でも、今の人たちの伝承というのでそうなったとも聞くし……」
「なんか、テレビで見たことあるかも。でも、本当のことは伝承だけではわからないってことなんだよね?」
「意味の無い神はいないからな」
いつもはそんなに長風呂はしないのだが、岩場に腰掛けて足だけ浸けながら、手で揉みほぐしていると、「まさか登りきるとは思わなかった」と迦具土に言われる。
「俺もそう思うよ……正直怖かったし」
「普通はそうだろう」
「でも……色々と気づいたこともあったし、来てよかったよ俺」
「お前がそう言うなら良いんだが。ま、何にせよ今日は飯食ったら寝るぞ」
「明日は観光になるのかな?」
「午前中くらいだろう。その後にまた出ると思うから」
「歩きなのかなぁ?」
「そーいや、聞いてねーな。明日にでも話あるだろうし、俺も流石に疲れた」
風呂を出て、食事を済ませて布団に入ると、あっという間に寝てしまい、気がつくと既に日は昇っており、慌てて支度をすませる。
「すいません、寝坊しちゃって」
日向でお茶を飲んでいた大天狗さんが、「よいよい」と言うので、朝ごはんが来るのを待って、食事をとる。
「あ、魚だ」
「近くの川で捕れる魚だが、美味いぞ」
身を解してひと口食べると、ゆっくりと寝た事と、レトルト食品ばかりだったこともあって、すごく美味しく感じる。
熱いお味噌汁も冷ましながら飲むと、体中に温かさが染み渡る感じがして、質素な食事なのに、すごく豪勢な食事をしている気分になる。
寺の裏の方に行くと、ゾワッとした感覚があり、何度か通った神様の結界を通った感覚とおなじ感覚がした。
しかも山の中なのに、家が建っている。
「今日はここに泊まる。明日はゆっくりと寺でも見て回ればいい」
「はい」
とは言っても、周りにいる使用人のような人と言っていいのか、みんな手足の生えたカラスが修験者のような格好をしていて、忙しなく宙に浮いて飛び回っている。
「あの、ここは……」
「ああ、儂の同族の暮らす家と思ってくれたらいい。裏にも温泉があるから今日は疲れをゆっくりと取って……って何をしておる?」
「えっと、お風呂の支度?」
「俺も」
「お前達話を聞くってことを知らんのか?」
「いや、飯の時に聞く。とにかく体を洗いたいんだ俺は」
「俺も頭洗いたいです……温泉て聞いたら背中とか足とかもう痒くって」
そう言うとガクッと肩を落とす大天狗さん。
八咫烏は着いてくるというので案内してもらい、体をこれでもかという程洗ってから温泉に浸かる。
お風呂で足を伸ばしながら、「修験者の人達だっけ?みんなあんなに険しい山に登ってるのかな?」と聞くと、「知らん」と迦具土らしい言葉が返ってくる。
「俺達神と、天狗達人神や道祖神などとはまた違うからな。しかも、昔は天狗といえば悪だ。だから隠れ里に住んでいたりしたが……ここも多分そのひとつなんだろう」
「悪い人に見えないけど」
「人の捉え方の違いだ。何かがあれば、天狗の仕業、海が荒れれば海神、山関係は山神とかな……他にも火の神は沢山いるが、昔は刀を作るのに金屋子神に死体を捧げるとか……色々と悪く言われる神は沢山いる。本来は違う意味の神でも、今の人たちの伝承というのでそうなったとも聞くし……」
「なんか、テレビで見たことあるかも。でも、本当のことは伝承だけではわからないってことなんだよね?」
「意味の無い神はいないからな」
いつもはそんなに長風呂はしないのだが、岩場に腰掛けて足だけ浸けながら、手で揉みほぐしていると、「まさか登りきるとは思わなかった」と迦具土に言われる。
「俺もそう思うよ……正直怖かったし」
「普通はそうだろう」
「でも……色々と気づいたこともあったし、来てよかったよ俺」
「お前がそう言うなら良いんだが。ま、何にせよ今日は飯食ったら寝るぞ」
「明日は観光になるのかな?」
「午前中くらいだろう。その後にまた出ると思うから」
「歩きなのかなぁ?」
「そーいや、聞いてねーな。明日にでも話あるだろうし、俺も流石に疲れた」
風呂を出て、食事を済ませて布団に入ると、あっという間に寝てしまい、気がつくと既に日は昇っており、慌てて支度をすませる。
「すいません、寝坊しちゃって」
日向でお茶を飲んでいた大天狗さんが、「よいよい」と言うので、朝ごはんが来るのを待って、食事をとる。
「あ、魚だ」
「近くの川で捕れる魚だが、美味いぞ」
身を解してひと口食べると、ゆっくりと寝た事と、レトルト食品ばかりだったこともあって、すごく美味しく感じる。
熱いお味噌汁も冷ましながら飲むと、体中に温かさが染み渡る感じがして、質素な食事なのに、すごく豪勢な食事をしている気分になる。
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