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神気と力
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「俺、今日はもう寝るわ。明日図書館に朝から行ってくるから」
「俺は大国様のところに行ってくる」
おやすみと言って部屋に戻り、気休めにと本を読む。
いつの間にか寝ていたようで、朝ごはんを食べたあとに、「図書館行ってくる」と祖父母に言うと、お昼は?と聞かれたので、近くのハンバーガー屋さんにでも行くからと言って荷物を持って自転車で図書館まで行く。
「あれ?重春?お前塾は?」
「おお、なんか久しぶり。今日塾休みなんだよ」
「あいつは?」
「和敏はこの休みの間にっておばさんの実家に行ってる」
「お盆じゃないのに珍しいな」
「具合が良くないらしい。ま、こればっかりは俺達にはなんとも言ってやれないしなぁ」
少し話した後に、塾の参考書を見せてもらい、自分の問題集を解きながら、時折答え合わせをする。
お昼は二人でハンバーガーを食べて、また図書館に戻り、帰りに借りていこうと思っていた本を探して席に戻ると、「お前余裕だな」と言われる。
「これ爺ちゃんのだよ」と誤魔化したが、神話や神様の事の書いてある本なので疑われはしないだろう。
「そう言えばさ、あの神社に居た巫女さん。全然見れないんだよなぁ。バイトなのかな?」
お前達、まだ探してたのか!?
「あー、あの巫女さんな……」
そういうしか出来ないじゃないか!
「あの後俺たち何回か行ったけど会えなくてさー。女運ないのかなー?って思ってたわけ」
「ん?思ってたって会ったのか?」
「いや、あの子そうじゃね?」
重春が指さした方を見ると、確かによく似た……よく似たぁ?と二度見すると、こちらを見てニッコリと笑って小さく手を振ってくる。
何しに来たんだ大国さん!
「お前知り合いだったのか?」
「いや、知り合いっていうか、爺ちゃんと神社に行った時に何度かあっただけ」
俺の誤魔化しはこれ以上効かないぞ?
「こんにちは」
話しかけるなー!
「こんにちは、良かったら座って」
重春ー!
図書館なので、小声で話してはいるが、とっても今叫びたい俺!
「神社でお会いしましたよね?」
「最近バイトしてないの?」
「はい。忙しい時だけ手伝う感じで」
「そうなんだ、高校生?」
「はい。一年生です」
どんな設定してくれてるんだよ!
重春を見ると、少し頬を赤らめながらも一生懸命話しているのが不憫になってきた。
一通り重春が満足したのがわかったのか、「じゃあ、私はこれで」と席を離れる大国さん。
気が気でなかった……
夕方まで重春と勉強したあと一緒に帰り、家に着くと玄関には小さな靴。
手を洗い、うがいをしてから、「大国さん!」と部屋に入る。
「おお、遅かったな。今日は冷やし中華だぞ?」
「婆ちゃん、大国さんの麺だけでいいから!」
「しょぉへぇー!」
「何しに来たんですか?重春が恋したらどうするんですか?って多分してると思いますけどっ」
「お、俺はお前を元気づけようと思ってだなー」
「余計に悩み事が増えるからやめてください」
言い合ってると、具なしの麺だけ冷やし中華が大国さんの目の前に置かれ、迦具土と俺の麺の上には多分大国さんのに乗るはずだったであろう具がいっぱい乗っている。
「祖母殿ー、具を具を!」
「ほほほ、神様とて可愛い孫の邪魔をしたらおかずは無しですよ」
「そ、祖母殿!」
よく言った婆ちゃん!
「俺は大国様のところに行ってくる」
おやすみと言って部屋に戻り、気休めにと本を読む。
いつの間にか寝ていたようで、朝ごはんを食べたあとに、「図書館行ってくる」と祖父母に言うと、お昼は?と聞かれたので、近くのハンバーガー屋さんにでも行くからと言って荷物を持って自転車で図書館まで行く。
「あれ?重春?お前塾は?」
「おお、なんか久しぶり。今日塾休みなんだよ」
「あいつは?」
「和敏はこの休みの間にっておばさんの実家に行ってる」
「お盆じゃないのに珍しいな」
「具合が良くないらしい。ま、こればっかりは俺達にはなんとも言ってやれないしなぁ」
少し話した後に、塾の参考書を見せてもらい、自分の問題集を解きながら、時折答え合わせをする。
お昼は二人でハンバーガーを食べて、また図書館に戻り、帰りに借りていこうと思っていた本を探して席に戻ると、「お前余裕だな」と言われる。
「これ爺ちゃんのだよ」と誤魔化したが、神話や神様の事の書いてある本なので疑われはしないだろう。
「そう言えばさ、あの神社に居た巫女さん。全然見れないんだよなぁ。バイトなのかな?」
お前達、まだ探してたのか!?
「あー、あの巫女さんな……」
そういうしか出来ないじゃないか!
「あの後俺たち何回か行ったけど会えなくてさー。女運ないのかなー?って思ってたわけ」
「ん?思ってたって会ったのか?」
「いや、あの子そうじゃね?」
重春が指さした方を見ると、確かによく似た……よく似たぁ?と二度見すると、こちらを見てニッコリと笑って小さく手を振ってくる。
何しに来たんだ大国さん!
「お前知り合いだったのか?」
「いや、知り合いっていうか、爺ちゃんと神社に行った時に何度かあっただけ」
俺の誤魔化しはこれ以上効かないぞ?
「こんにちは」
話しかけるなー!
「こんにちは、良かったら座って」
重春ー!
図書館なので、小声で話してはいるが、とっても今叫びたい俺!
「神社でお会いしましたよね?」
「最近バイトしてないの?」
「はい。忙しい時だけ手伝う感じで」
「そうなんだ、高校生?」
「はい。一年生です」
どんな設定してくれてるんだよ!
重春を見ると、少し頬を赤らめながらも一生懸命話しているのが不憫になってきた。
一通り重春が満足したのがわかったのか、「じゃあ、私はこれで」と席を離れる大国さん。
気が気でなかった……
夕方まで重春と勉強したあと一緒に帰り、家に着くと玄関には小さな靴。
手を洗い、うがいをしてから、「大国さん!」と部屋に入る。
「おお、遅かったな。今日は冷やし中華だぞ?」
「婆ちゃん、大国さんの麺だけでいいから!」
「しょぉへぇー!」
「何しに来たんですか?重春が恋したらどうするんですか?って多分してると思いますけどっ」
「お、俺はお前を元気づけようと思ってだなー」
「余計に悩み事が増えるからやめてください」
言い合ってると、具なしの麺だけ冷やし中華が大国さんの目の前に置かれ、迦具土と俺の麺の上には多分大国さんのに乗るはずだったであろう具がいっぱい乗っている。
「祖母殿ー、具を具を!」
「ほほほ、神様とて可愛い孫の邪魔をしたらおかずは無しですよ」
「そ、祖母殿!」
よく言った婆ちゃん!
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