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お盆祭り

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「何で……?俺?」

「ちょっと待て」

その後もぐにゃぐにゃとテチ、うずめ、迦具土、兄と顔が変わり、最後には大国さんの顔から素戔嗚尊の顔に変わる。

「どういう事?迦具土……」

「お前も見た事があると思うんだが、話では前は爺さんだっただろう?こいつは、最初に見たやつの顔になる。が、こんなのは俺も見た事がない」

「倒せないのか?」

「攻撃は効いてる。でも、学校の時もそうだったが、俺の火と相性がかなり悪いんだ。だから気を纏わせて戦ってたんだが……」

「じゃあ、逃げようよ」

「翔平、純平、大国様を呼んで来てくれ。こいつは俺が食い止めておく」

「そんな、一人でなんて無理だよ」

「翔平、お前残れ。俺が行ってくる」

「兄貴!」

「お前、十七代目当主なんだろう?だったら、迦具土の補佐して逃げるな」

兄に言われ、そうだよな……と思った時、「馬鹿か、俺が翔平の補佐やってんだろーが」との迦具土の言葉に、色んなことが思い出され、「兄貴行って!」と迦具土の邪魔にならない位置に移動する。

大国さんが儀式の間の護衛だとすると、素戔嗚尊一人で社の中を守らなければならなくなるが、その間兄がかわりを務めててくれたら少しは素戔嗚尊も楽なのではないかと思いつつ、早く来てくれと真面目に願ったのは久しぶりのことかもしれない。

「待たせた。またこいつか……こうもワラワラと出てくると腹立つのを通り越して笑えるわ!」

「大国さん、こいつ顔が何度も変わってて気持ち悪いんですけど。みんなの顔にもなったし……」

「あっちにも出てた。って事はこいつが本体なのかもな」

「悠長な事言ってねーで倒せよ」

「迦具土……俺は疲れてる」

「知らんわ!!!」

「弱点とかないんですか?」

「あっちに来たものは掌底だけで消えてったし……こいつも腹を狙えればと思うんだが」

「じゃあ、俺足止めします」

「いや、腹狙え。俺は頭だ。迦具土は火であいつを囲んでくれ」

ジリジリと近づき、迦具土が日を放ったのと同時に矢を打つ。

お腹にはなかなか当たらずに脇腹に刺さっていくが、顔が変形しだしているので苦しんでいるのだろうか?

「翔平、もっと強く打て!」

「はい!」

大国さんに言われた通りに、思いっきり弓を引き、お腹に向けて狙いをつけるが、かなり力を奪われていく感覚がして、弓を引く力が弱まる……

そう思った時に、後ろからグイッと一緒に弓を引いてくれる迦具土。

「しっかり持て」

「う、うん」

二人で思いっきり引いて、狙いは上手く迦具土が腹に当たるように支えてくれていたので、一緒に弓を離す。

ゴォッと今まで聞いたことの無い、風を切るような音とともに、弓が妖に向かって飛んでいき、真っ直ぐ胸の真ん中に当たる。

「あ、当たった……」

ふらっとしそうになるのを、迦具土が肩を支えてくれたので、大国さんが頭を上手く狙ってくれるようにと祈りながら見ると、手に大きな気の塊を纏わせて高く飛び上がり、その勢いと体重を掛けて妖に突っ込む大国さん。

ちょっとヒーローっぽくてカッコイイなんて絶対に言うもんか!
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