76 / 103
お盆祭り
.
しおりを挟む
朝、起きろと起こされて支度をして一階へと行くと、祖母が時間が無いだろうとおにぎりを持たせてくれた。
「純平、あなたお兄ちゃんなんだから翔平のこと頼んだわよ?」
「大丈夫だって。わかんなくなったらタクシー使うから」
「翔平、お宿代と交通費。今回は多く入れておいたから無くさないようにね」
「うん。兄貴達の買い食いに注意する」
そのあと散々文句を言われながら、バスと電車に乗って新幹線の車内へ着いた時には、兄はもうお腹が壊れるんじゃないだろうか?と言うくらい、迦具土の改札での出入りに笑い通し。
「これでも慣れたんだ!」
最初の頃の話をすると更に笑いだし、姿を消して通り過ぎたいという迦具土に、可愛いを連呼している。
これで良く怒らないもんだ……
大人になったな迦具土!
そう思ったのも束の間。
いつもの言い合いが始まったので、「煩い!」と言って、自販機で買ったお茶と祖母のおにぎりで朝ごはんを食べてしまう。
まだまだ先は長いのにちゃんと着けるのだろうか?
京都駅からバスに乗ろうと思うものの、流石の兄も車でしか来たことがないからとバス乗り場の前でウロウロ。
仕方なく地元の方であろう人に行き方を聞き、やっとたどり着いた時にはかなりヘトヘトだったが、鳥居の前で迦具土が「鈴を用意しておけ」と言うのでポケットにちゃんと入っていることを確認する。
入ってから本当にすぐ右手にまた鳥居。
その右奥に御札が山のようについた物があり、目の前には社務所。
着くまでにネットに書いてあった書き込みを見たからか、ものすごく気持ち悪い感じがするのに、海外から来ている観光客は絵馬の写真やムービーを撮っていた。
「書いてあることわからないから怖くないんだよねきっと」
「だろうな。俺、ちらっと見たけど流石は縁切り寺って言われてるだけあると思うよ。あの鳥居の前になんか書く場所あったぞ」
「あ、兄貴。俺、パンフと御朱印もらってくる」
兄はいいと言うので御朱印をもらい、小さな絵馬も二つ買う。
迦具土は神様だからきっと要らないだろう。
「兄貴、はい、絵馬」
「マジで?」
「うん。あのお札の貼ってあるのは元々この絵馬の形なんだって。えっと、下の穴を通れなければ一周する形で貼ってきたらいいって言ってた」
「俺のは?」
「迦具土、神様じゃん」
「チッ!俺も札だけ貼る!」
貼るのはいいが何を書くんだろう?と机の置いてあるところに行って、良縁と縁切りの所に書いていると、横ではジジイとの縁を切ってやる!と神様にお願いするのに神様の名前を書いている。
いいのか?
「書けたか?」
「うん。兄貴何書いた?」
「秘密!迦具土はバレバレ」
「いいんだよ。みんなが知ってることだし。お前ら拝むなら拝んでこい。俺はとっとと貼ってくる」
「拝まないんだ……」
「拝むか!それに、うずめの気がしてるから直ぐに合流だぞ?」
「じゃあ早くしないと」
ゆっくりと拝んでのんびり見ていたいのだが、どんな格好で来るのかと思うだけで急がされる俺たちって何なんだろう?
「純平、あなたお兄ちゃんなんだから翔平のこと頼んだわよ?」
「大丈夫だって。わかんなくなったらタクシー使うから」
「翔平、お宿代と交通費。今回は多く入れておいたから無くさないようにね」
「うん。兄貴達の買い食いに注意する」
そのあと散々文句を言われながら、バスと電車に乗って新幹線の車内へ着いた時には、兄はもうお腹が壊れるんじゃないだろうか?と言うくらい、迦具土の改札での出入りに笑い通し。
「これでも慣れたんだ!」
最初の頃の話をすると更に笑いだし、姿を消して通り過ぎたいという迦具土に、可愛いを連呼している。
これで良く怒らないもんだ……
大人になったな迦具土!
そう思ったのも束の間。
いつもの言い合いが始まったので、「煩い!」と言って、自販機で買ったお茶と祖母のおにぎりで朝ごはんを食べてしまう。
まだまだ先は長いのにちゃんと着けるのだろうか?
京都駅からバスに乗ろうと思うものの、流石の兄も車でしか来たことがないからとバス乗り場の前でウロウロ。
仕方なく地元の方であろう人に行き方を聞き、やっとたどり着いた時にはかなりヘトヘトだったが、鳥居の前で迦具土が「鈴を用意しておけ」と言うのでポケットにちゃんと入っていることを確認する。
入ってから本当にすぐ右手にまた鳥居。
その右奥に御札が山のようについた物があり、目の前には社務所。
着くまでにネットに書いてあった書き込みを見たからか、ものすごく気持ち悪い感じがするのに、海外から来ている観光客は絵馬の写真やムービーを撮っていた。
「書いてあることわからないから怖くないんだよねきっと」
「だろうな。俺、ちらっと見たけど流石は縁切り寺って言われてるだけあると思うよ。あの鳥居の前になんか書く場所あったぞ」
「あ、兄貴。俺、パンフと御朱印もらってくる」
兄はいいと言うので御朱印をもらい、小さな絵馬も二つ買う。
迦具土は神様だからきっと要らないだろう。
「兄貴、はい、絵馬」
「マジで?」
「うん。あのお札の貼ってあるのは元々この絵馬の形なんだって。えっと、下の穴を通れなければ一周する形で貼ってきたらいいって言ってた」
「俺のは?」
「迦具土、神様じゃん」
「チッ!俺も札だけ貼る!」
貼るのはいいが何を書くんだろう?と机の置いてあるところに行って、良縁と縁切りの所に書いていると、横ではジジイとの縁を切ってやる!と神様にお願いするのに神様の名前を書いている。
いいのか?
「書けたか?」
「うん。兄貴何書いた?」
「秘密!迦具土はバレバレ」
「いいんだよ。みんなが知ってることだし。お前ら拝むなら拝んでこい。俺はとっとと貼ってくる」
「拝まないんだ……」
「拝むか!それに、うずめの気がしてるから直ぐに合流だぞ?」
「じゃあ早くしないと」
ゆっくりと拝んでのんびり見ていたいのだが、どんな格好で来るのかと思うだけで急がされる俺たちって何なんだろう?
0
お気に入りに追加
93
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
下宿屋 東風荘 4
浅井 ことは
キャラ文芸
下宿屋 東風荘4
☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆*:..
大きくなった下宿に総勢20人の高校生と大学生が入ることになり、それを手伝いながら夜間の学校に通うようになった雪翔。
天狐の義父に社狐の継母、叔父の社狐の那智に祖父母の溺愛を受け、どんどん甘やかされていくがついに反抗期____!?
ほのぼの美味しいファンタジー。
☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆*:..
表紙・挿絵:深月くるみ様
イラストの無断転用は固くお断りさせて頂いております。
☆マークの話は挿絵入りです。
YESか農家
ノイア異音
キャラ文芸
中学1年生の東 伊奈子(あずま いなこ)は、お年玉を全て農機具に投資する変わり者だった。
彼女は多くは語らないが、農作業をするときは饒舌にそして熱く自分の思想を語る。そんな彼女に巻き込まれた僕らの物語。
幽閉された花嫁は地下ノ國の用心棒に食されたい
森原すみれ@薬膳おおかみ①②③刊行
キャラ文芸
【完結・2万8000字前後の物語です】
──どうせ食べられるなら、美しく凜々しい殿方がよかった──
養父母により望まぬ結婚を強いられた朱莉は、挙式直前に命からがら逃走する。追い詰められた先で身を投げた湖の底には、懐かしくも美しい街並みが広がるあやかしたちの世界があった。
龍海という男に救われた朱莉は、その凛とした美しさに人生初の恋をする。
あやかしの世界唯一の人間らしい龍海は、真っ直ぐな好意を向ける朱莉にも素っ気ない。それでも、あやかしの世界に巻き起こる事件が徐々に彼らの距離を縮めていき──。
世間知らずのお転婆お嬢様と堅物な用心棒の、ノスタルジックな恋の物語。
※小説家になろう、ノベマ!に同作掲載しております。
こちら夢守市役所あやかしよろず相談課
木原あざみ
キャラ文芸
異動先はまさかのあやかしよろず相談課!? 変人ばかりの職場で始まるほっこりお役所コメディ
✳︎✳︎
三崎はな。夢守市役所に入庁して三年目。はじめての異動先は「旧館のもじゃおさん」と呼ばれる変人が在籍しているよろず相談課。一度配属されたら最後、二度と異動はないと噂されている夢守市役所の墓場でした。 けれど、このよろず相談課、本当の名称は●●よろず相談課で――。それっていったいどういうこと? みたいな話です。
第7回キャラ文芸大賞奨励賞ありがとうございました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる