71 / 103
お盆祭り
.
しおりを挟む
祖父とスーパーへ行き、メモに書いてある通りに買い物を済ませて家に戻ると、熱があるのに居間でお茶を飲みながらテレビを見ている石長さん。
「大丈夫なの?」
「寝てばかりで体が痛くて……風邪でもないから、祖母殿がここで見ていて良いと」
「だるくない?」
「平気なのだけれど……私はみんなに迷惑ばかりかけて。それが情けなくて」
「そんな事ないよ。きっと、いろんなことあって疲れただけだから、のんびりしてて。でも、座ってるの疲れたらちゃんと横になってよね?」
「そうする。それと、じ、じ、純平さんにこのことは……」
「言ってないから。何か食べる?今買い物行ってきたんだけど、アイスもあるよ?」
「良いのだろうか……熱があるのに……」
「食べれる時に食べないと。何味がいい?えーと、紫芋と、バニラと、抹茶とラムレーズン」
「では、ラムレーズンを。食べたことがなくて」
土のものは沢山食べているからなのか、洋風の物が最近気に入っていると前に兄に聞いたことがある。
パンケーキのフルーツと生クリームにはかなり驚いていたようだし。
益々神様って不思議だなぁと思う。
祖父が後はやってくれると言うので、ラムレーズンを石長さんに渡し、自分も抹茶を開けて食べる。
「うまっ!ほら、石長さんも食べないと溶けちゃうよ?」
「そ、そうであるな」
蓋を外して一口。
相当美味しかったのか、いつもと違いふわっと笑ってニコニコしている石長さん。
さりげなく甘党?
「石長さんて、今までアイスとか食べなかったんですか?」
「祭りの時に人に混じってかき氷は食したことが……昔はいちごとレモン。メロンもあったと思うけど、最近は抹茶とか、青い液体のものとかとてもカラフルなかき氷になっておるのを見かけた位で……滅多に買って食べたりはしなかったのと、やはり、その頃は顔を気にしていたから……」
「もしかして、カラフルって全部掛けたやつのこと?」
「そう、氷の上が虹のようになっていてとても綺麗だなと記憶している」
「んー、それ確かに綺麗なんだけど、味が混ざるから、かけた分がなくなったら新しいのを掛けるってしないと、溶けたあとの色凄いんだよ?
俺の友達、全部かけたことあったんだけど、最後に溶けた色がなんとも言えない色で……思いだしちゃった」
「そんなに汚い色に?」
「うん、あれ、最後にみんなよく飲めるなーとか思う」
「翔平は祭りはすきなのか?……いや、これから人のよ、よ、よ、嫁になるんだから、もっと普通に話しても構わぬか?」
「え?普通でいいよ。俺ももう普通に話してるし」
「時間は少し欲しいけど……祭りは?」
「好きだよ?屋台とかあるところは特に。祭りと言っても、神社でする祭りが好きかな?」
「屋台か?」
「そう。普段食べないものも売ってるし、楽しいし。でも、公園でやる祭りも好きだよ」
「私の神社を見たであろ?あそこではここまで大きな祭りが無くて。やはり羨ましいというか……」
「石長さんは石長さん。他は他だよ。気にすることないって」
「でも、ずっと思っていたことで。だからと言って今後変わることは無いのだけれど……」
「あ、神社のしめ縄とかの取り換えの時って何かしないの?」
「するにはするけど、そんなお祭りのようなことは無いから」
「そうなんだ」
気にしているからなんとかしてあげたいとは思っても、そればかりはどうにもならない。
きっと昔から気にはしていたんだろうなぁ。
「大丈夫なの?」
「寝てばかりで体が痛くて……風邪でもないから、祖母殿がここで見ていて良いと」
「だるくない?」
「平気なのだけれど……私はみんなに迷惑ばかりかけて。それが情けなくて」
「そんな事ないよ。きっと、いろんなことあって疲れただけだから、のんびりしてて。でも、座ってるの疲れたらちゃんと横になってよね?」
「そうする。それと、じ、じ、純平さんにこのことは……」
「言ってないから。何か食べる?今買い物行ってきたんだけど、アイスもあるよ?」
「良いのだろうか……熱があるのに……」
「食べれる時に食べないと。何味がいい?えーと、紫芋と、バニラと、抹茶とラムレーズン」
「では、ラムレーズンを。食べたことがなくて」
土のものは沢山食べているからなのか、洋風の物が最近気に入っていると前に兄に聞いたことがある。
パンケーキのフルーツと生クリームにはかなり驚いていたようだし。
益々神様って不思議だなぁと思う。
祖父が後はやってくれると言うので、ラムレーズンを石長さんに渡し、自分も抹茶を開けて食べる。
「うまっ!ほら、石長さんも食べないと溶けちゃうよ?」
「そ、そうであるな」
蓋を外して一口。
相当美味しかったのか、いつもと違いふわっと笑ってニコニコしている石長さん。
さりげなく甘党?
「石長さんて、今までアイスとか食べなかったんですか?」
「祭りの時に人に混じってかき氷は食したことが……昔はいちごとレモン。メロンもあったと思うけど、最近は抹茶とか、青い液体のものとかとてもカラフルなかき氷になっておるのを見かけた位で……滅多に買って食べたりはしなかったのと、やはり、その頃は顔を気にしていたから……」
「もしかして、カラフルって全部掛けたやつのこと?」
「そう、氷の上が虹のようになっていてとても綺麗だなと記憶している」
「んー、それ確かに綺麗なんだけど、味が混ざるから、かけた分がなくなったら新しいのを掛けるってしないと、溶けたあとの色凄いんだよ?
俺の友達、全部かけたことあったんだけど、最後に溶けた色がなんとも言えない色で……思いだしちゃった」
「そんなに汚い色に?」
「うん、あれ、最後にみんなよく飲めるなーとか思う」
「翔平は祭りはすきなのか?……いや、これから人のよ、よ、よ、嫁になるんだから、もっと普通に話しても構わぬか?」
「え?普通でいいよ。俺ももう普通に話してるし」
「時間は少し欲しいけど……祭りは?」
「好きだよ?屋台とかあるところは特に。祭りと言っても、神社でする祭りが好きかな?」
「屋台か?」
「そう。普段食べないものも売ってるし、楽しいし。でも、公園でやる祭りも好きだよ」
「私の神社を見たであろ?あそこではここまで大きな祭りが無くて。やはり羨ましいというか……」
「石長さんは石長さん。他は他だよ。気にすることないって」
「でも、ずっと思っていたことで。だからと言って今後変わることは無いのだけれど……」
「あ、神社のしめ縄とかの取り換えの時って何かしないの?」
「するにはするけど、そんなお祭りのようなことは無いから」
「そうなんだ」
気にしているからなんとかしてあげたいとは思っても、そればかりはどうにもならない。
きっと昔から気にはしていたんだろうなぁ。
0
お気に入りに追加
93
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
幼なじみとセックスごっこを始めて、10年がたった。
スタジオ.T
青春
幼なじみの鞠川春姫(まりかわはるひめ)は、学校内でも屈指の美少女だ。
そんな春姫と俺は、毎週水曜日にセックスごっこをする約束をしている。
ゆるいイチャラブ、そしてエッチなラブストーリー。
後宮の記録女官は真実を記す
悠井すみれ
キャラ文芸
【第7回キャラ文大賞参加作品です。お楽しみいただけましたら投票お願いいたします。】
中華後宮を舞台にしたライトな謎解きものです。全16話。
「──嫌、でございます」
男装の女官・碧燿《へきよう》は、皇帝・藍熾《らんし》の命令を即座に断った。
彼女は後宮の記録を司る彤史《とうし》。何ものにも屈さず真実を記すのが務めだというのに、藍熾はこともあろうに彼女に妃の夜伽の記録を偽れと命じたのだ。職務に忠実に真実を求め、かつ権力者を嫌う碧燿。どこまでも傲慢に強引に我が意を通そうとする藍熾。相性最悪のふたりは反発し合うが──
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる