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境界を越えて
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「待たせたな、まず天界に行く前に薬を作る。まぁ、相手に姿が見えなくなる薬だが。効果は行く前の調査で調整する」
「調査?何するんだ?」
まぁ待ってろと、屋敷の中にある作業部屋に入ったきり出てこないので、戻ってきたユーリに頼み、屋敷の回りを案内してもらう。
城には何度も行った事があったが、この屋敷ははじめてきたし、まず城からでる事がないので、実質歩いて見て回るのは今回が初めてだ。
外に出てもただ周りが草原だと言うことしか分からない。
「ここって何もないのな」
「そうでもありません、この庭の裏のここ。穴があるでしょう?」
言われてみると壁の隙間に小指一本程の穴が開いている。
「これが?」
「これは、妖精の巣穴です。妖精と言ってもかなりの種族がいまして、この巣穴は土族種です」
「なんだそれは……」
「主に庭の木等を綺麗にする妖精ですね。恥ずかしがり屋で家の真下に巣穴を作り、誰もいないときに床などを掃除したりしてます。なので、必ずこの近くに好物の砂糖を置いておくのですが、もう持っていった後のようですね」
「そして、その辺りを飛んでいるのが花の妖精です。蜜などが好みで、小さな集落に住んでいます。川の近くの草むらによくいます」
「幻界は妖精だらけか?魔界なんて魔獣やらマグマの川やらそんなんばっかだぞ?虫も可愛くないしな」
「空の色はここは中間と行ったところでしょうか?」
「だな。だが魔界の奥の方は月の明かりも届かないほどに暗い。天界は俺から見たら明るいぐらいだ。分かりやすいのはやはり人間界だが」
「そうですね。幻界も月に一度明るい月の日があります。それは人間界の影響とも聞きますが実のところ証明されておりません。姫ならばかなりの書物をお読みですので知っているかもしれませんが」
「あいつは歩く禁書だからな。一つ聞きたい。ユーリ、お前の魔力はどの程度だ?」
「そうですね……ルーカス様や姫には到底及びませんが、主に保護魔法は得意です」
「攻撃は?」
「無いものと考えてください。恥ずかしながら身を守る程度ですし、使えばすぐに魔力が無くなってしまいます」
「天界には行くんだろう?」
「はい、足手まといにはならないようにします」
そう言い広い庭の片隅にいる妖精や動物などの説明をしてくれるが、
王家の所有地との事でほとんど誰も来ないとの事だった。
来るのは野菜や肉など必要なものを持ってくる者だけだと言う。
「今日はゆっくりなさってください。姫も薬を作り終えたら少し休まれると思いますので」
「あぁ、だが奏太が気になってな」
「私もです。姫は3倍の速さでと申しておりましたが、実際食事など摂っているかどうかもわかりませんし、この二日だけでも、ここと天界の時間差はありますので」
「だよなぁ……結月が起きたら呼んでくれ」そういい、使用人に案内してもらい部屋で休むことにした。
実際は許可が降りたものだから良いものの、ない状態で他の界に行くと魔力が半分以下に抑えられる。
何事もなく済めば良いのだが。
「調査?何するんだ?」
まぁ待ってろと、屋敷の中にある作業部屋に入ったきり出てこないので、戻ってきたユーリに頼み、屋敷の回りを案内してもらう。
城には何度も行った事があったが、この屋敷ははじめてきたし、まず城からでる事がないので、実質歩いて見て回るのは今回が初めてだ。
外に出てもただ周りが草原だと言うことしか分からない。
「ここって何もないのな」
「そうでもありません、この庭の裏のここ。穴があるでしょう?」
言われてみると壁の隙間に小指一本程の穴が開いている。
「これが?」
「これは、妖精の巣穴です。妖精と言ってもかなりの種族がいまして、この巣穴は土族種です」
「なんだそれは……」
「主に庭の木等を綺麗にする妖精ですね。恥ずかしがり屋で家の真下に巣穴を作り、誰もいないときに床などを掃除したりしてます。なので、必ずこの近くに好物の砂糖を置いておくのですが、もう持っていった後のようですね」
「そして、その辺りを飛んでいるのが花の妖精です。蜜などが好みで、小さな集落に住んでいます。川の近くの草むらによくいます」
「幻界は妖精だらけか?魔界なんて魔獣やらマグマの川やらそんなんばっかだぞ?虫も可愛くないしな」
「空の色はここは中間と行ったところでしょうか?」
「だな。だが魔界の奥の方は月の明かりも届かないほどに暗い。天界は俺から見たら明るいぐらいだ。分かりやすいのはやはり人間界だが」
「そうですね。幻界も月に一度明るい月の日があります。それは人間界の影響とも聞きますが実のところ証明されておりません。姫ならばかなりの書物をお読みですので知っているかもしれませんが」
「あいつは歩く禁書だからな。一つ聞きたい。ユーリ、お前の魔力はどの程度だ?」
「そうですね……ルーカス様や姫には到底及びませんが、主に保護魔法は得意です」
「攻撃は?」
「無いものと考えてください。恥ずかしながら身を守る程度ですし、使えばすぐに魔力が無くなってしまいます」
「天界には行くんだろう?」
「はい、足手まといにはならないようにします」
そう言い広い庭の片隅にいる妖精や動物などの説明をしてくれるが、
王家の所有地との事でほとんど誰も来ないとの事だった。
来るのは野菜や肉など必要なものを持ってくる者だけだと言う。
「今日はゆっくりなさってください。姫も薬を作り終えたら少し休まれると思いますので」
「あぁ、だが奏太が気になってな」
「私もです。姫は3倍の速さでと申しておりましたが、実際食事など摂っているかどうかもわかりませんし、この二日だけでも、ここと天界の時間差はありますので」
「だよなぁ……結月が起きたら呼んでくれ」そういい、使用人に案内してもらい部屋で休むことにした。
実際は許可が降りたものだから良いものの、ない状態で他の界に行くと魔力が半分以下に抑えられる。
何事もなく済めば良いのだが。
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