天満堂へようこそ 2

浅井 ことは

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境界を越えて

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余りにも煩かったのか、ガチャりと扉が開くと兵が外に出してくれた。

部屋をでてすぐは壁。
片側だけに部屋がある様で、あかりがポツポツ付いている薄暗い廊下を進むと上り階段があり、上へ上へと登っていく。
かなり登った所は屋上。
城の一角と言った所か、広さはそんなに無いものの、外からかなり奥の方まで一望できる。
初めて見る天界の景色は、思っていたのと全く違い、ただただ草原が広がっているだけだった。

「これが天界?」

兵は話したらいけないのか、決まりがあるのか全く話さない。

「天界ってお花畑がいっぱいだと思ったんだけどなー?外歩きたいなー」と塔の端から落ちるふりをする。

「危ない!」と一人の兵が支えに来て声を発する。

「喋れるんじゃん」とニヤッと笑う。

「本来は許可が無いと話すことはできません。今は緊急事態でしたので」

「誰の?」

「王子様のでございます」

「リアムさん?」

「いえ、あなた様です」

「俺が王子?ばかな事言わないでよ。認めてないし証拠もない」

「いずれ、リアム様が解明なさるでしょう。それまではここにてお過ごしいただきたいとの事です」

そう言い、すぐにまた地下の部屋に戻される。
鍵の閉まる音はしなかったから、すぐにリアムが来るのだろう。

「お待たせいたしました」

「待ってない」

「そう言わずに。奏太さんが眠っていらっしゃる間に、少々血を頂きました」

「__何?」

「そこの機械の中で、今分析をしておりまして、もう結果が出ていると思います」

「何の?」

少しお待ちを、と言い機械の方で何かやっている。
血だと?傷口も何もないし痛みもない。
あぁ、魔法か……と納得はするものの、分析とはまた天国に似つかわしくないものが置いてある。

「この機械が珍しいですか?姫が人間界に行ってから色々なものを見ました。幻界の者だけが人間界に混じって居るわけではないのですよ?天界のものも、魔界の者もいます。ただ、人間と同じ暮らしをしているだけなので分からないだけで……その中の医療に関わるものにこの機械を譲ってもらいました。もちろん、天界に持ち込むのは容易ではありませんでしたし、使い方も何度も練習……いえ、研究しました」

「なんでそこまでするんだよ……」

「話を聞きたくないと言ったのは奏太さんです。私は、姫と同じぐらいは生きてます。もちろんルーカスも。でも、600年前の事は本当に極秘だったのでしょう、つい最近私も知りましたので。色々と調べ物にも時間がかかってしまいましたが、これが結果です」

そう言ってフラスコのようなものを二つ目の前に出される。
薄い水色と黄色がきれいな二重層になっているが、なにかの飲み物なのだろうか?
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