天満堂へようこそ 2

浅井 ことは

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天満堂再開!

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レジ側に回ると結月がのんびりと見物してたので、何事か聞くと、「前と同じだ。噂が噂を呼びってな。だが、あの神崎。顔色も変えずによくやるもんだ」

「感心してる場合ではないでしょ?フレッドさんは?」

「もう終わったからな、ほらあそこ」と指差す方を見ると、高い位置にある商品を取らされ、荷物もち状態だがにこやかに対応している。
テレビでよく見る神対応というやつだ。

「手伝ってきます」

「いやいい。倉庫の商品補充の方に回ってくれ。私が発注するから」

「わかりました」

それから夕方過ぎまで店はごった返し、閉店前にはまた空っぽ状態に。

品だしを終え、やっと終わったところで焼肉屋に行くことに。

「ここってあの……」

「また無料券もらったんでな」

「知りませんよ?」

「何が?」

「誘われても」

「あぁ、何とかする。無料のが惜しいからな」

店が終わってから焼肉屋へとみんなで行き、それぞれに好きなものを頼み焼いていくが、vampire側は神崎さんが焼き係。幻界側はユーリが焼き係。

珍しくユーリさんも肉に箸をつけている。
神崎さんもものすごい勢いで食べながら焼いている。ポカンとその様子を見ていたらどんどん肉が減っていくので、急いで食べるが、二人に間に合わず、お皿もどんどん積み上がっていくのには流石の結月も「落ち着かんか!」と言って止めるほどだった。

「神崎とフレッドのこんな姿初めて見た」

「俺も」

「僕もー。まだなにも僕食べれてない。みんな忘れてるんだもん」

「あ、ごめん。ウインナー食べるか?」

「うん。お肉もふーってして」

冷ませたウインナーと肉をムーにあげ二人を見ると、お腹も満足したのか普通に焼き始めている。

やっとご飯が食べれると思ったのもつかの間。

焼きながらさりげに食べている三人を見て、唖然としてしまっていた。あの結月までもが……。

食事中なんだが聞いてくれと結月に言われる。

「この食事が終わったら、ローズ達はホテルへ帰るそうだ。今後仕入れ的なものも含めて、vampire側と取引をすることにした。と言っても薬に関してはフレッドがメインになるが。でだ、情報もある程度お互い話せるところまで共有もする。
日本の屋敷も近いそうだから、vampire諸君もまた遊びに来てくれ。」

「有り難うございます」とこっちを見る。

ムーにも良かったなと言うと、嬉しそうにしている。

「奏太、まだ暫くは私は腕も治さないといかん。薬も作らんとな。店は任せるが、お前やはり臭い消し飲め!」

「また不味いんでしょ?」

「ごちゃごちゃ言うな。vampireは気づいてると思うが、店内に2匹、外に5匹。獣がいるな?」

「います。黒の一族だと。匂いと私達を狙ってきてるのかと。暫くはお店や奏太君の護衛に数人つけます」

「護衛……」

「外も綺麗にしていきますので」と神崎さんまで物騒なことを言い出す。

「大丈夫だよ。vampireの護衛って言っても姿は出さないようにするから」

「俺には話が難しすぎて……」

「ドンと構えておれ。ユーリ、私の肉を早く焼け!」

「畏まりました」とまた肉のいい匂いがしてくる。

「何があったのかわかんないけど、普通にしてたらいいんだよな?」

「まぁな。声かけられたら店まで誘導しろ。そしたらユーリも片付けに行く」

何が話し合われたりしたのかわからないが、これから沢山の人外に会うことは確定したようだ。
天満堂再開してから初めての注意なので、聞いておくが、ただの高校生の間はまだ、そっとしておいて欲しかった。
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