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秋・冬の場
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___一方。
「地図の通りですね。転移……」
荷馬車と共に着いた街の奥にある、フランシス家の別宅に荷馬車と荷物をおき、湯船に浸かって身支度を整えてから、城の方に転移し、陛下に経過を報告する。
「そう、やはり頼りきっていたのですね。それにしてもあなたも甘やかしすぎですよ?コロシアムは奏太さんに出させる予定だったでしょう?」
「申し訳ありません。そこまでまだ戦いになれていなかったものですから」
「ですが、今は一人。心細くとても寒いなか、幻獣でも出たら……」
「それは大丈夫だと思います。もう何頭も倒していますし、火が使えるので食事もとれるでしょう。あの洞窟はそのまま進めば三日もあれば、街の入り口前の大岩に出ます。進んでくれていたらですが」
「ノア、あなたの予想は?」
「五日」
「何故?」
「奏太様は体力がかなりあります。食料のことを考え、節約しながら進むのであれば、真ん中にある池で体力の回復と水などの補充をするはずです。そこまで行くのに二日。一日休んで歩き続けて五日と考えております」
「でもそれでは休む暇がないわ?」
「暗闇とのこともあり、時間の感覚もないでしょうから、早く出たいとの気持ちが強ければいいと思っています。ここで食料の確保、水の調達など自分でし、街についてからの宿探しなど一人ですべて出来れば、今まで人間界でのんびりと暮らしていた甘さが少しは抜けるのではないかと。それに次に行く魔界でも役に立ちます」
「それなんだけれど、今回は幻界止まりになったわ。魔界の方で何と言ったかしら?将軍が王座を奪いにとかなんとか。今から結月の方に行くのでしょう?詳しく聞くといいわ」
「はい。では失礼致します」
そのまま外に出てから人間界に行き、屋敷まで転移する。
作業部屋にいるだろうと思い、ノックをしてなかにはいる。
「姫様」
「お、来たってことは洞窟か?」
「はい。報告だけしに参りました」
「で、どうだ?」
「魔法の方はもしかしたら補助系かもしれません」
「そうか……性格にもよるから仕方無いが、他は?」
「この洞窟次第で変わると思います。しかしながら、魔界が行けなくなったというのは?」
「また揉めてるらしい。魔界はいつももめてるが、今回は将軍が城に向かったとのことで、あちらでは軽い戦争だ。そこに行かせると、干渉したことになるから今回は中止だ」
「わかりました。引き続き私はあちらの別宅で待ちますが……」
「バレるなよ?」
「は、はい……」
「なんだ?」
「奏太様が心配でして」
「一人でなんでもやるからこその、魔力の制御だ。今、自分が何が出来るのか、どのぐらいの力があるのか。それは自分にしかわからない。まだまだだと言うのなら、それは今の時期ではないだけかもしれんが、奏太にはいい勉強になるだろう。これであのままの性格ならばそれが奴の良いところでもあり、漬け込まれるところでもあるというわけだ」
「それはわかっていますし、精神修行に良く旅にいかされることもあったので分かっていますが、初めての時はまずだれかが付き添って……」
「地図の通りですね。転移……」
荷馬車と共に着いた街の奥にある、フランシス家の別宅に荷馬車と荷物をおき、湯船に浸かって身支度を整えてから、城の方に転移し、陛下に経過を報告する。
「そう、やはり頼りきっていたのですね。それにしてもあなたも甘やかしすぎですよ?コロシアムは奏太さんに出させる予定だったでしょう?」
「申し訳ありません。そこまでまだ戦いになれていなかったものですから」
「ですが、今は一人。心細くとても寒いなか、幻獣でも出たら……」
「それは大丈夫だと思います。もう何頭も倒していますし、火が使えるので食事もとれるでしょう。あの洞窟はそのまま進めば三日もあれば、街の入り口前の大岩に出ます。進んでくれていたらですが」
「ノア、あなたの予想は?」
「五日」
「何故?」
「奏太様は体力がかなりあります。食料のことを考え、節約しながら進むのであれば、真ん中にある池で体力の回復と水などの補充をするはずです。そこまで行くのに二日。一日休んで歩き続けて五日と考えております」
「でもそれでは休む暇がないわ?」
「暗闇とのこともあり、時間の感覚もないでしょうから、早く出たいとの気持ちが強ければいいと思っています。ここで食料の確保、水の調達など自分でし、街についてからの宿探しなど一人ですべて出来れば、今まで人間界でのんびりと暮らしていた甘さが少しは抜けるのではないかと。それに次に行く魔界でも役に立ちます」
「それなんだけれど、今回は幻界止まりになったわ。魔界の方で何と言ったかしら?将軍が王座を奪いにとかなんとか。今から結月の方に行くのでしょう?詳しく聞くといいわ」
「はい。では失礼致します」
そのまま外に出てから人間界に行き、屋敷まで転移する。
作業部屋にいるだろうと思い、ノックをしてなかにはいる。
「姫様」
「お、来たってことは洞窟か?」
「はい。報告だけしに参りました」
「で、どうだ?」
「魔法の方はもしかしたら補助系かもしれません」
「そうか……性格にもよるから仕方無いが、他は?」
「この洞窟次第で変わると思います。しかしながら、魔界が行けなくなったというのは?」
「また揉めてるらしい。魔界はいつももめてるが、今回は将軍が城に向かったとのことで、あちらでは軽い戦争だ。そこに行かせると、干渉したことになるから今回は中止だ」
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「それはわかっていますし、精神修行に良く旅にいかされることもあったので分かっていますが、初めての時はまずだれかが付き添って……」
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