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秋・冬の場
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「あ、あっち行けよ!白蜥蜴!」そう言ってまわりにある石を投げるが、相手からしたら小さなものだから痛くも痒くもないかもしれない。それに、ノアの方に逃げたら、ノアにも危険があるかもしれない。
それでも徐々に川の方へと追い込まれていく。
もうあと一歩で川に落ちると思ったとき、「奏太様!」と声が聞こえてきた。
白蜥蜴の体のせいでどこにいるのかは分からなかったが、目の前の敵が後ろを振り返ったので、そのまま走りノアの方へと急ぐ。
横に並んだときすぐに剣が渡されたので、鞘から抜き構える。
「あれは下級ですが魔幻獣です。盾はそのままに。私は頭の方を狙いますので奏太様は足を!」
「わかった」
「では!」
ノアが走って白蜥蜴の背の上に乗り、頭の方に走っていく。その間に自分が出来ること。足を切っていくことだ。それだけだから集中しなければいけない。力を込めて全力で足を切っていく。一本一本の足がかなり太く、切っても切っても致命傷にもならず、暴れさせるだけになってしまった。
「ノア!」
「大丈夫です。もうすぐ頭に届きます。こいつは外皮が固いんです。続けてください!」
「わかった」
ノアは大丈夫だと、そう言い聞かせて片方の後ろ足に集中して攻撃する。何度目かの攻撃でついに足はつかせたがその痛みからなのかかなり暴れてものすごい咆哮をあげている。
もう片方、そう思って腹側から潜り込んだとき、中心に光るものが見えたのでそこまで移動する。
思いきって剣でそこを切りつけたらひっくり返ってしまったので、その隙にと腹の上に乗り、その光るものに向かって剣を刺した。
グワァァァァと咆哮をあげたあと、ピクリとも動かなくなったので、ノアを呼ぶ。
「大丈夫ですか?」
「うん。あれ見て?」
「これは……」
「腹側に潜り込んだら光るものが見えて、それでそこを切ったら痛がったから切ったんだ」
「そうでしたか。下級とは言いましたが、これは長く生きたようですね」
「何でわかるの?」
「下級の魔物とはいっても、長くいきればそれだけ知恵もつきなかには中級になる魔物もいます」
「この光るやつがそうなの?」
「そうです。どの魔物にもあるのですが、これだけ大きくなっているのは初めて見ました」
「だったらこれも中級になったってこと?」
「まだ白いので下級ではありますが、もし青ければ中級、灰色であれば上級です。これは川にしか生息しません。寒さにも強い生き物です。残念ながら食べられるかどうかは不明です」
「この光ってるのだけとってもいい?」
構わないと言われたので、それを切り取るがかなり大きい。食べられないのであれば仕方がないし売るところもないのであれば燃やすしかない。
手に集中して大きな火をイメージする。
うまく火がついたのでそれを白蜥蜴に向けて投げ、燃やす。
「自然と消えると思いますので、行きましょうか」
「うん」そう言って天幕の方まで行くが、この光る石がなぜか気になって仕方なかった。
それでも徐々に川の方へと追い込まれていく。
もうあと一歩で川に落ちると思ったとき、「奏太様!」と声が聞こえてきた。
白蜥蜴の体のせいでどこにいるのかは分からなかったが、目の前の敵が後ろを振り返ったので、そのまま走りノアの方へと急ぐ。
横に並んだときすぐに剣が渡されたので、鞘から抜き構える。
「あれは下級ですが魔幻獣です。盾はそのままに。私は頭の方を狙いますので奏太様は足を!」
「わかった」
「では!」
ノアが走って白蜥蜴の背の上に乗り、頭の方に走っていく。その間に自分が出来ること。足を切っていくことだ。それだけだから集中しなければいけない。力を込めて全力で足を切っていく。一本一本の足がかなり太く、切っても切っても致命傷にもならず、暴れさせるだけになってしまった。
「ノア!」
「大丈夫です。もうすぐ頭に届きます。こいつは外皮が固いんです。続けてください!」
「わかった」
ノアは大丈夫だと、そう言い聞かせて片方の後ろ足に集中して攻撃する。何度目かの攻撃でついに足はつかせたがその痛みからなのかかなり暴れてものすごい咆哮をあげている。
もう片方、そう思って腹側から潜り込んだとき、中心に光るものが見えたのでそこまで移動する。
思いきって剣でそこを切りつけたらひっくり返ってしまったので、その隙にと腹の上に乗り、その光るものに向かって剣を刺した。
グワァァァァと咆哮をあげたあと、ピクリとも動かなくなったので、ノアを呼ぶ。
「大丈夫ですか?」
「うん。あれ見て?」
「これは……」
「腹側に潜り込んだら光るものが見えて、それでそこを切ったら痛がったから切ったんだ」
「そうでしたか。下級とは言いましたが、これは長く生きたようですね」
「何でわかるの?」
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「この光るやつがそうなの?」
「そうです。どの魔物にもあるのですが、これだけ大きくなっているのは初めて見ました」
「だったらこれも中級になったってこと?」
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「この光ってるのだけとってもいい?」
構わないと言われたので、それを切り取るがかなり大きい。食べられないのであれば仕方がないし売るところもないのであれば燃やすしかない。
手に集中して大きな火をイメージする。
うまく火がついたのでそれを白蜥蜴に向けて投げ、燃やす。
「自然と消えると思いますので、行きましょうか」
「うん」そう言って天幕の方まで行くが、この光る石がなぜか気になって仕方なかった。
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