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秋・冬の場
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街を出てから一週間が過ぎ、幻虎や幻牛・幻兎等は血もほとんど浴びることなく倒せるようになっていた。
気温も秋に入ってから、春の場のように涼しくなったが、景色が緑の草原ではなく、金色と言っていいほど、田園が広がっている。
「このあたりは農家が多いのかな?」
「夏と秋・秋と冬の境では取引が行われるほど、秋の場は農業、特に麦や根菜類・果物の産地です。しかし、街が少なく、中心に大きな街が一つあるくらいで、小さな町が殆どです。後は村ばかりですが、このあたりは潤っているので、宿泊も可能です」
「春も夏も果物はあったけど……」
「種類が多いのですよ。それになんと言ってもキノコが美味しいんです。ここの秋の場は川が多いので橋で街を繋いでいるのですが、茂みの奥には幻獣もいますので……」
「どこに行っても出るんだ」
そのまま地図にしたがって秋から冬の場へ北の方に方向転換して進んでいく。このまま行けば中心に近くなるので帰りの城までの道が近くなる。
川が見えてきて、そこで夜営をする事にしたがかなり寒くなってきた。
「もうすぐ冬?」
「境目ですので。川も所々凍り始めてますし……明日、冬の場に入りますが、一面雪なのでマントを着ていった方がいいかと。降ってないといいのですが……」
「天気予報も何もないもんね」
「大体ここまで来ればわかるものと思ったのですが、今回は読めないです」
「でも、中心に近いんだよね?だったら大きな町もあると思うんだけど」
「あるにはあるのですが、雪が降ってなければ地図の目印のまま進めるのですが、もし吹雪にでもなっていれば視界が悪く、迷子になることもあります。それにここから三日はかかります」
「降って無いといいのにね。川で魚釣っとく?」
「いますか?」
「さっき見えたような気がしたんだけど。俺見てくる!」
いつまでもノアの重荷になるのは嫌だとの思いもあった。魚ぐらいかなり捕ってきているとの自負もあった。だから川を覗いて魚を探すぐらい訳がないと思っていたが、近づいてみると思ったよりも薄い氷が張っている。
釣り竿は持っていたので、薄い氷を竿で割る。
「いた!」
そう思い周りの氷も砕いていく。
バシャァァァと水から何かが出たと思ったら、すぐ横の陸地に水の中に入っていたものが飛び出てきた。
「うわぁぁぁぁぁ!」
真っ白な体で蜥蜴のような体つきをしている。足は四本。立っているだけで自分の倍は高さがある。
ドシン__
威嚇なのだろうが、尻餅をついた状態では逃げるのにも時間がかかる。それに剣は荷馬車のなかだ……
「ノアーーーーーー!」
そう言ったときまた自分の前に白い盾のようなものが出きる。
前足を振り上げて攻撃してきてはいるが、盾があるので当たりはしない。今のうちに逃げないと……そう思い振り返るが、ノアは風の音が強いせいか聞こえていないようだ。
気温も秋に入ってから、春の場のように涼しくなったが、景色が緑の草原ではなく、金色と言っていいほど、田園が広がっている。
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「夏と秋・秋と冬の境では取引が行われるほど、秋の場は農業、特に麦や根菜類・果物の産地です。しかし、街が少なく、中心に大きな街が一つあるくらいで、小さな町が殆どです。後は村ばかりですが、このあたりは潤っているので、宿泊も可能です」
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「種類が多いのですよ。それになんと言ってもキノコが美味しいんです。ここの秋の場は川が多いので橋で街を繋いでいるのですが、茂みの奥には幻獣もいますので……」
「どこに行っても出るんだ」
そのまま地図にしたがって秋から冬の場へ北の方に方向転換して進んでいく。このまま行けば中心に近くなるので帰りの城までの道が近くなる。
川が見えてきて、そこで夜営をする事にしたがかなり寒くなってきた。
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「あるにはあるのですが、雪が降ってなければ地図の目印のまま進めるのですが、もし吹雪にでもなっていれば視界が悪く、迷子になることもあります。それにここから三日はかかります」
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「いますか?」
「さっき見えたような気がしたんだけど。俺見てくる!」
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「いた!」
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