天満堂へようこそ 3

浅井 ことは

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「目移りしちゃうね。あれはお菓子?」

「はい。ですが、今回はやめておきましょう。まずは目的を優先に」

「わかった。あのたくさん並んでる瓶につまったのは?」

しばらく考えているようだったが、「通常袋に入れて持ち歩くのですが、瓶の買いますか?」

「袋のが安いんでしょ?だったら袋のでいいけど、雨とか降ったら瓶のがいいのかも?」

「そうなんです。なので最初の選択は大事なのです。瓶のものを買い、買い足しは袋で買うのが良いと思います」

「お店はまた選ばないといけないの?」

「市場では値段は固定されていますから、どこでも構いませんが、人相の悪いところ・子供が売っているところはやめた方が無難です」

「じゃぁ、あのおじさんが売ってるところは?人もたくさんいるし」

「行ってみましょう」

並んで待っている間に値段の相場を聞く。一瓶300幻。高くても350幻通貨で買えるのを基準に選べばいいらしい。袋の場合はその半分。

今回はノアに任せ必要なものを揃えてもらう。

「次はどうするの?」

「荷物の確認をしましょうか……」

「塩と胡椒に……あれ?砂糖はないの?」

「調味料で砂糖はここでは使いません。芋の甘さで補う感じです」

「甘いんだ?」

「甘くないものもありますが、出汁も肉や魚から出るもので補うのが一般的ですので。必ず塩は携帯してください。荷の中にはできる限り一週間分は確保。秋や冬の場などでは馬の草も買わないといけませんから、お金も大切に……と、まぁこれが基本です。あ、村では物々交換が基本なので」

「わかった。ノアのお姉さんから貰ったマントもあるし、毛布もあるし……今は肉や魚の干物もあるから一週間以上は持ちそうだよ?」

「はい。では、この街をでて先に進みましょう」

「見て回らないの?」

「してもいいのですが、この街には特に見るようなところもないですし」

そう言われたので馬車を引き、街を出る。

それから数日、地図を見ながらまっすぐ進み、端に近くなった所で右に曲がり西に進む。
その間に狩りはノアがし、地図に印をつけたり魚を捕ったりできるようになっただけで、なんの進歩もなく先へと進むだけだった。

「奏太様地図を貸してください」

ノアに地図を渡すと周りと地図を見て何やら考えている様子だったので「方向間違えた?」と聞く。

「いえ、合っているはずなんです。現に目印は通過してきましたし、今も目の前の大岩の目印もついていますし……」

「ここからまだ先に進むの?」

「書き込んだ池や川なども私の記憶と一致するのですが、この辺りに村があったはずなのです」

鉛筆を持ち、丸の中に『?』の印を書く。

「この赤いラインがあの大岩です。なのでそこから向こうは行かない様にとの陛下の配慮なのでしょうが……」

「危ないの?」

「境界なので、危険は危険です。今ここです。もう少ししたら夏の場になるのでだんだん暑くなってくると思います。東の先まで来てから、西の方に真っ直ぐ来てるのはわかりますか?」

「うん」

「夏の場は大体ここから……」と線を書き、四つのブロックに分ける。
その後自分たちが通った道を線で結び、これから進む所を点線で書き込んでいく。

「ここに村がないなら、地図に書いたように少し北に向かって進むの?」

「はい。小さな街があったはずですし、半日もかからないと思います」
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