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旅
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「お、俺も手伝う……本当は見たくないし、可愛そうだけど」
「では、尾の方を綺麗に剥いでください」
教えてもらいながら、小さめのナイフでお尻から切れ目を入れ 左右に引っ張りながら毛皮を剥いでいく。何故城を出てすぐにこんな狩りをしなければいけないのか、生き物を殺さなくてはいけないのか……色々考えていると涙が出てきた。
「……最初はみんな同じなんです。私も普通に暮らしていたので気づかなかったことも多かったのですが、旅が終わる頃には理解もできていました。奏太様なら大丈夫です」
「に……肉も切るんだろ?」
「気持ち悪いかも知れませんが、まずは見て覚えてください。その前に毛皮を干しておきましょうか……」と荷台の上の日避け布の上に重しを置いて乾かすように干す。
「次の街まで近く見えますが、明日の朝にしか着かないので、今夜の夕食は幻虎ですね」
「うん」
最初に穴を掘り、解体していきながらいらない部位を穴に捨てながら一塊ずつに切り分けていく。それを布で包み、一部は綺麗にスライスして細い紐に通していく。
紐を通した肉は塩を振ってなじませ、馬車の邪魔にならない影の部分に吊り下げ、乾かす。
「これだけで大分と時間が掛かってしまいました。初めての解体であればもっと時間がかかりますし、幻獣などが出るところでの解体はおすすめできません。川があればそこでした方がいいです。手を洗うにも水は欠かせませんし、貴重ですので、川があればこの樽に常に補充するようにしてください」
「分かった。後は穴を埋めたら終わり?」
「はい。ここの様な何も無い草原ではこのやり方が一般的です。おわかりだと思いますが、野菜を作っている農民もいれば、狩りをして肉を捌き売る者がいて我々は買い物をし、食事を得ることが出来る。人間界と同じです」
「確かに。昔ばあちゃんに、食べ物は粗末にするな、感謝して食えって教えられたよ……」
「生き物を殺し食すのですから、余計に今回は感じるところもあると思います」
「ノアは最初平気だった?」
「実は……出来ずに逃げました」
「逃げた?」
「恥ずかしい話ですが、殺せなかったのです。魔法もほとんど使えずに、火さえも起こせず、水で我慢していたのですが、空腹に耐えられずにやっと。解体も初めてしたので滅茶苦茶で、泣きながら食べたのは忘れられません」
「俺も殺すのは……弓で鳥とか撃つなら……練習しないといけないけど」
「そうですね、まだ最初の街にも着いていません。今夜は野営になりますし、一通りのことは教えられるかと思います。街についたら通貨の説明と、買い物の仕方をお教えしますので」
「うん……」
行きましょうとノアが御者台に乗ったのを見て、自分も横に乗る。
精神を鍛える旅と聞いたが、精神が壊れそうだ。動物を狩って食べ、売れる部分は取って置いて売る。人間界では機械がするのだろうが、こちらでは人の手でしなければいけない。それだけで全然違うと城から出た瞬間に思わされた一面だった。
「では、尾の方を綺麗に剥いでください」
教えてもらいながら、小さめのナイフでお尻から切れ目を入れ 左右に引っ張りながら毛皮を剥いでいく。何故城を出てすぐにこんな狩りをしなければいけないのか、生き物を殺さなくてはいけないのか……色々考えていると涙が出てきた。
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「に……肉も切るんだろ?」
「気持ち悪いかも知れませんが、まずは見て覚えてください。その前に毛皮を干しておきましょうか……」と荷台の上の日避け布の上に重しを置いて乾かすように干す。
「次の街まで近く見えますが、明日の朝にしか着かないので、今夜の夕食は幻虎ですね」
「うん」
最初に穴を掘り、解体していきながらいらない部位を穴に捨てながら一塊ずつに切り分けていく。それを布で包み、一部は綺麗にスライスして細い紐に通していく。
紐を通した肉は塩を振ってなじませ、馬車の邪魔にならない影の部分に吊り下げ、乾かす。
「これだけで大分と時間が掛かってしまいました。初めての解体であればもっと時間がかかりますし、幻獣などが出るところでの解体はおすすめできません。川があればそこでした方がいいです。手を洗うにも水は欠かせませんし、貴重ですので、川があればこの樽に常に補充するようにしてください」
「分かった。後は穴を埋めたら終わり?」
「はい。ここの様な何も無い草原ではこのやり方が一般的です。おわかりだと思いますが、野菜を作っている農民もいれば、狩りをして肉を捌き売る者がいて我々は買い物をし、食事を得ることが出来る。人間界と同じです」
「確かに。昔ばあちゃんに、食べ物は粗末にするな、感謝して食えって教えられたよ……」
「生き物を殺し食すのですから、余計に今回は感じるところもあると思います」
「ノアは最初平気だった?」
「実は……出来ずに逃げました」
「逃げた?」
「恥ずかしい話ですが、殺せなかったのです。魔法もほとんど使えずに、火さえも起こせず、水で我慢していたのですが、空腹に耐えられずにやっと。解体も初めてしたので滅茶苦茶で、泣きながら食べたのは忘れられません」
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