天満堂へようこそ 3

モデル

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「なんで俺がカレー作らないといけないんだよ！」

「お前でおば様連中が釣れるからに決まってるだろう？奏太じゃ子供すぎるし、ノアににこやかに出来ると思うか？ニコルも似たようなもんだし」

「ユーリでいいじゃないか！」

「ユーリではカレーが似合わんからだ！ハゲ！ニッコリ笑って立っててたらいいだけだから簡単だろう！」

「ユーリ、撮影のところまで強制連行しろ。ニコル、逃げない様に監視しておけ」

「了解しました」

「了解すんな！」

「では参りましょうか。姫も立ち会うそうですので」

無理やり車に乗せられ撮影場所に連れていかれる。
中に入るとテレビで見たばかりの早口のおじさんが居り、顔に何か塗られている。

「おい、そこの服に着替えてみろ」

「え？」

差しだされた服はジーンズにＴシャツ。赤いタータンチェックのシャツ。

ノアもいつもと違うシャツにスラックスにニットのベストとカジュアルな感じになり、ルーカスは直接肌にＶネックの黒いサマーセーターにジーンズ。天満マークのエプロンをつけた姿で、セットのカウンターに並ばされる。
その横にテーブルが置かれ、俺が座りノアが給仕をするといった形で撮影が始まった。

「お、カレー出来てるのか」

「こっちも水とご飯とサラダが用意してある。朝食べてないからお腹すいたよ」

監督と呼ばれる人が来て、撮影の流れを教えてくれるが、聞いたままだったのでスムーズに進み、お腹がすいていたのもあり、豪快に食べていた事もあってか、自分の分の撮影はすぐに済んでしまった。

二度とするもんか！と終わり次第すぐに逃げたルーカスを追い掛けてニコルも居なくなり、結月は監督さんと何やら話していたので、ノアと待っている間中を見学して待っていた。

「長いね話し……なんか見られているような気もするんだけど」

「そうですね。何かあるのでしょうか？」

「俺たちも帰る？」

「ですが……」

話が終わったのか、ユーリが呼びに来て監督とスタイリストの人のところへと連れていかれる。

「君……」

「多部奏太です」

「うん、奏太君。この雑誌知ってるかい？」

と1冊の本を渡される。
『通販カタログ　天満』と書かれている。

パラパラと捲ると幾つかの天満堂商品が載っている薄い通販カタログではあったが、特に特徴もなく商品の写真と、繊細が書いてあるだけだった。

「これがどうかしたんですか？」

「つまらん雑誌だろう？」

「でも、こんなもんなんじゃないの？」

「最近はモデルさんとか使う会社も多くてね、社長にも何人か見て貰ったんだが全部ノーでね……でも今日その理由がわかったよ。君が若くして副社長と言うのにも驚いたんだがなかなかいい！」

「いいって言われても」

「奏太、化粧品の方はなんとか決まったんだが、食器や調理器具の方に困っていたんだ。お前の食べっプリを監督が見てな、イメージとして載せたらいいんじゃないかと言ってくれてるんだが……」

嫌な予感しかしなかったのでプルプルと頭を横に振る。
じりじりと寄ってくる結月に反抗できるわけもなく、すぐに壁際まで追い詰められ一言。


「やれ！」
「はぃぃぃぃぃ」