天満堂へようこそ 3

浅井 ことは

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BAR TENMAN

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「奏太くん、僕もそっちに行きたいよー」

「いいけど浸かれないからな?」

そう言い座布団を田中さんに持ってきてもらい、点滴がついたムーを濡れない位置に置く。

「たなかさーん、お人形も」

「はいはい」とブタうさを持って来てもらって横に置いてもらう。

「気に入ったか?」

「うん。また戦うんだ!」

「そうだな。お前が元気になってよかったよ。ご飯は食べたか?」

「食べた。まだ柔らかいものしかダメだって。それに、プリンくれないんだよ?昨日食べたからって!」

「元気になった途端よく喋るなー」

「お薬が効いたって田中さんが言ってたよ?」

「そうだな。お前も頑張ったもんな!」

「そうです。みっともないとこをお見せしてしまって……」

「いいよいいよ。それに喜んでもらえてよかったよ」

「はい。あ、タオル等置いておきます。兄の話では、ムーさんの消毒など済んでいるとの事ですので」

「分かった。ムーまだ染みるか?」

「ちょこっと痛いけど、体温計するの嫌だ!お尻の尻尾掴んで指すんだよ?気持ち悪くって……」

「治るまでの我慢だから。脇で図れたらいいのにな」

「奏太くんはお尻で図らないの?」

「人間は脇だよ?」

「僕だけー?」

「またプリンやるから我慢すること!」

「はぁーい」

逆上せるといけないのでと体と頭を洗い、最後にもう一度浸かってからタオルで拭いて中に入る。

「ムーさんを連れてきます」とノアが連れに行っている間に、服を着て冷たい氷がパンパンに入ったグラスにコーヒーを入れる。

それを飲みながらテレビをつけるものの、隣からムーのぐずった声が聞こえてくるので、ベッドまで見に行く。

「どうしたの?」

「僕もあっちにいくと言いまして……」

「ムー、さっきも立つ練習したし、温泉の湯気でウトウトしてたろ?少し寝たらどうだ?」

「やだ!」

「やだって……」

「せめて今日結月さんに診てもらうまではダメったらダメ!」

「さ、ムーさん寝てください」と毛布をかけると愚図っていたのが不思議な位すぅっと寝てしまった。

「よし、今の内に……」

そう言って残りの物が入った袋をもち、ダイニングへ行く。

「よう!」

「あ、二人共揃ってる!」

「なんだよ?」

袋から箱を二つだし、2人に渡す。

「私にもですか?」

「うん」

箱を開けた2人は驚いた様にこちらを見、箱とくり返し見てくる。

「えっと、何?」

「いや、お前からの依頼……ではないんだよな?」

「違うよ?」

「悪かった。俺たち魔族は取引の時にしかものを貰わないもんで慣れてなかっただけだ。でも俺誕生日じゃないぞ?ニコルも」

「いや、これはムーのことの感謝というか」

「ありがとな!」とペンダントをつけるルーカスと、空いている耳にピアスを付けるニコル。
お互いのつけたものを見て、二人からありがとうと言われる。
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