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BAR TENMAN
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「なぁ、何でみんなあんなにお金あるの?前も聞いたことあるけど」
「ここに来る奴らは何かしら質屋に入れたりして金を作る者もいるが、大半は人間界で仕事してる奴が多い。あの玉藻は高級クラブのママだから金には困らないだろう」
「そんなもんなの?」
「万能薬で1回分が10万。これは常連の値段だが、新規の客はその3倍と手数料をもらう。高いのはやはり材料費だな……私がたまに幻界に帰る約束で定期的に材料を運んでもらえることになった。天魔界も同様にな。ただ、手に入れるのが難しい材料は値段も高くなる」
「何となくわかるけど」
「奏太、これだけはよく覚えておけ。ここは薬屋だ。1つ配合を間違えれば毒にもなる。客の要望は必ず聞かなくてもいい。察しろ!眠る様に死ぬ薬と言われたら、眠剤を出せばいい。文句がきても、人によって効き方が違うとでも言えばいい」
「でもそれってさ、詐欺じゃん」
「ものは考えようだ。ノア、そう言う事だ」
「分かりました」
「俺、ぜんっぜん分かんないんですけど?」
「なぁ……」
「なんだルーカス?」
「俺バーの方行ってくる」
「あぁ。ニコルに後で奏太紹介するから」
「じゃあ奏太もつれてくぞ?ノアも来い」
「ですが……」
「いいから行け。次の客はこちらでしておく」
扉を開けてすぐのカウンターに腰を下ろす。
カウンターは10席程で、丸いテーブルが3つ置いてあり、程よいスペースが取られている奥にはソファ席。
「ニコル、こいつが奏太。ニコルは俺の配下で本来はお付なんだ」
「そう言えばルーカスさんのお付きみたことなかったけど」
こいつだ、と指を指す。
「ご挨拶が遅れて申し訳ありません。いつもこのバカ王子がご迷惑をおかけしまして……」
「バカ王子?」
「はい。ルーカス様の事ですが何か?」
「お付きの人って言わないよね?俺も言われたことないし、結月さんも……」
「そりゃそうだ。こんなこと言うのこいつぐらいだからな」
「そうですね。と言うか、今日の予約。今からくるお客様のこと話したんですか?」
「忘れてた……」
「ボケ王子ですね!いつもそうだから馬鹿だ阿呆だと言われるんです!」
「お前なぁ、一応でいいから敬え!」
「敬ってますよ?あ、奏太様はコーラでよろしかったですか?」
「あ、うん。ありがとう」
「ほら、これが王子です!」
「あーわかったわかった。俺ビールな」
「まだ夜ではありません」
そう言うとコーラの瓶を栓がついたまま置く。
俺にはちゃんとグラスが付いてきたのに。
「ノア様は……」
「ノアで結構です」
「では私のこともニコルと。剣の腕は魔界まで聞こえてます。紅茶でいいですか?冷えたものしかありませんが」
「ありがとうございます。剣の方はニコルさんも同じく噂を……」
「なんだ?お前ら知り合いか?」
「違うが、同じ剣を扱うと各界で名が知れ渡るもんだ。覚えとけバカ王子!」
「あの、今から来るお客って?」
「私が一応受付をし、販売客と買取客と時間の予定を組んでいます。今からは買取ですが、持ち込みといえば持ち込みですが、ちょっと特殊でして」
「どういうこと?」
「見られますか?」
「話だけでいいよ。見たらダメな気がするから」
「ここに来る奴らは何かしら質屋に入れたりして金を作る者もいるが、大半は人間界で仕事してる奴が多い。あの玉藻は高級クラブのママだから金には困らないだろう」
「そんなもんなの?」
「万能薬で1回分が10万。これは常連の値段だが、新規の客はその3倍と手数料をもらう。高いのはやはり材料費だな……私がたまに幻界に帰る約束で定期的に材料を運んでもらえることになった。天魔界も同様にな。ただ、手に入れるのが難しい材料は値段も高くなる」
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「奏太、これだけはよく覚えておけ。ここは薬屋だ。1つ配合を間違えれば毒にもなる。客の要望は必ず聞かなくてもいい。察しろ!眠る様に死ぬ薬と言われたら、眠剤を出せばいい。文句がきても、人によって効き方が違うとでも言えばいい」
「でもそれってさ、詐欺じゃん」
「ものは考えようだ。ノア、そう言う事だ」
「分かりました」
「俺、ぜんっぜん分かんないんですけど?」
「なぁ……」
「なんだルーカス?」
「俺バーの方行ってくる」
「あぁ。ニコルに後で奏太紹介するから」
「じゃあ奏太もつれてくぞ?ノアも来い」
「ですが……」
「いいから行け。次の客はこちらでしておく」
扉を開けてすぐのカウンターに腰を下ろす。
カウンターは10席程で、丸いテーブルが3つ置いてあり、程よいスペースが取られている奥にはソファ席。
「ニコル、こいつが奏太。ニコルは俺の配下で本来はお付なんだ」
「そう言えばルーカスさんのお付きみたことなかったけど」
こいつだ、と指を指す。
「ご挨拶が遅れて申し訳ありません。いつもこのバカ王子がご迷惑をおかけしまして……」
「バカ王子?」
「はい。ルーカス様の事ですが何か?」
「お付きの人って言わないよね?俺も言われたことないし、結月さんも……」
「そりゃそうだ。こんなこと言うのこいつぐらいだからな」
「そうですね。と言うか、今日の予約。今からくるお客様のこと話したんですか?」
「忘れてた……」
「ボケ王子ですね!いつもそうだから馬鹿だ阿呆だと言われるんです!」
「お前なぁ、一応でいいから敬え!」
「敬ってますよ?あ、奏太様はコーラでよろしかったですか?」
「あ、うん。ありがとう」
「ほら、これが王子です!」
「あーわかったわかった。俺ビールな」
「まだ夜ではありません」
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俺にはちゃんとグラスが付いてきたのに。
「ノア様は……」
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