天満堂へようこそ 3

浅井 ことは

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変化

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ほっほっほっ。
そんな感じの笑い声とともにやってきた田中さんに、座ってくれるように頼み、先程の話をする。

「ふむ、そうですな……まず、今の眠気はルーカス様のおっしゃる通りでしょうな。各界それほど変わりはしませんので。それと、魔力にもよりますが、好きな年齢のままいることも可能です。姫様なんぞ、面白いと幼女からやり直したほどですから……」

「田中さんも?」

「はい。私は歳相応のまま生きてきましたが、姫様にせめて爺さんで居ろと言われまして、見た目だけは今の姿に変えましたが」

「顔とかも?」

「それは変わりません。変化などて変えることは出来ますが」

「じゃあ、ルーカスさんやノアも顔はそのまま?」

「そうです。ノアは兄の年齢に合わせておるようですがの。ですがこれは、魔力がある一定以上ないと出来ませんので、大半のものはそのまま歳をとり死んでゆく、人間と同じです。奏太様は今から魔力が増えるのでしょう。その時期はとても眠くなりますが病気ではございません。それに、いつまで続くのかも分かりません。姫様などまだまだ寝られますから」

「俺もムーみたいにできるのかな?」

「今は無理でしょうがいずれは転移なども出来るでしょう。今はよくお休みになり、よくお食べになること。これが一番です」

「ハーフだと何か変わったりとかないの?」

「姫様が特例ですので、この爺に分かるのも姫様基準になってしまいます。確実にこうですと申し上げることはできません。なにか変化があればすぐにノアに言うと良いかと。こんな顔ですが、ユーリよりも優しい子ですので……」

「爺様……やめて下さい」

「何じゃ?照れておるのか?まだまだ可愛いのぅ」

「爺様ってもしかして?」

「ユーリとノアは私の孫です。これらの親は城に上がってますから、私が育てましたがな」ほっほっほっと軽やかに笑っている横で、顔を赤くして下を向いているノアがいる。

「じゃぁ、俺は寝てれば良いわけ?」

「そうですな……今はお好きなようにされるのがよろしいかと思いますが、無理だけはなさらないように。ノアちゃんと奏太様のお言いつけ通りにしなさい、ただ無理はさせぬようにな?」

「分かっております。では奏太様寝室の方に参りましょうか」

「うん。あ、ムーのご飯がまだなんだけど」

「ユーリに言っておきますので大丈夫でございますよ」

そのまま寝室に行くがムーとユーリはいなかったため、またムーが遊び回っているのだろうとそのままベッドに入って休む。
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