天満堂へようこそ 3

変化

.

その日の夕方家に帰ってすぐ、作業小屋に行き文句を言うと、大鍋を混ぜながら、明日はルーカスを連れていけと言われる。

「何でそうなるわけ？」

「社長代理だから！」

「はぁ？聞いてないし！」

「私が立ち回って、お前は副社長室でのんびりしてられるとでも思ったか？大体、猫被っての話しは疲れるんだ。あの親父共もルーカスには意見ができんし、私にも文句は言わん。私とルーカスで社長、副社長してみろ、会社が潰れる。折角の大鍋会社がだ！」

「俺はクッションかよ……」

「ノアには散々社会の事を勉強させたから大丈夫だ。お前はお前の思うとおりにやればい」

「ノアにルーカスさんで社食行ったら大変なことになるな」

「だろうな。就任の時女共が煩かったから面白いかもしれん。楽しめ！」

「ムー、お前今日どうするんだ？」

「んー？待ってね人参運ぶからぁ……えっとね、お手伝いするとおやつ貰えるの！今夜はね、探検に行って、どこかで寝るー！」

「探検？」

「うん。みんなおやつくれるから、僕悩むんだよねー」

「ムー、悩まずに俺の部屋に来い！」

「えー！」

「まずは夕飯に来いよ！」

「分かったよ……意地悪なんだからぁ」

誰が意地悪だ！
おやつくれる人にホイホイとついてったら駄目だろ！と言いたくなる。

「ムー、どこで寝てもいいけどさ、たまには俺の部屋にも来いよ。その、寂しいし」

「うん、分かったー」

また後でな。と言い、
まだ行っていない庭を歩くが、流石に広い。
ムーのお散歩は必要ないくらいだ。
それはそれで寂しいが、暫くは結月にベッタリだろうから任せるしかないかなと、夕飯まで温泉に入ることにした。

部屋の寝室の方でスーツを脱ぎ、ポイポイとベッドの上に置いていく側から、ハンガーにスーツを掛けていくノア。

「何だかさ、俺がスーツ脱ぐじゃん。で、それをハンガーに掛けていくノアって、奥さんみたい……」

え？というような顔でノアはこちらを見るが、初めて人の感情を出した瞬間を見たと言うくらい、今まで表情がなかったのでちょっと嬉しかった。

「わ……私はあくまで奏太様のお付ですので。お付と言っても、執事から秘書、教育係まで様々な……」

「分かってるって。怒ってる顔ではないのは分かってたし、ユーリさんも最近笑うようになってきたからさ、人間らしくないっていうか、人間では無いけど、なんて言うか……淡々としてるっていうか、そんな感じがしたんだよ。ルーカスさんも最初そうだったし」