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大鍋印の天満堂
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車でおよそ30分ほどだろうか。
あそこですと、指をさされた方を見ると、30階はあるビルの一番上に、アルファベットで『TENMAN』と書かれ、会社のロゴらしき、大鍋が付けられている。
駐車場ではなく、入口に既に数名のおじさん達が並んでいて、おはようございますと車のドアを開けられる。
横をみたらノアさんはそのまま指示に従ってと言うので、おはようございますと挨拶をし、中に入る。
降りた時にちらっと見えたが、隣の小さなビルの入口にも天満と書いてあった気がする。
エレベーターホールにはちゃんと受付もおり、多分人間で、俺のことは全く知らないのだろう。不思議な顔をしてこちらを見ている。
そこに一人のおじさんが駆け寄っていき、多分副社長とでも言ったのだろう。
急に立ち上がりお辞儀をされる。
最上階の一番奥が社長室。
そのフロアは広いのに、社長室と副社長室しかない。
取りあえず中を見た第一印象は、ドラマにあるような部屋。
「あの、毎日ここに来たら良いんですか?」
そう聞くと、毎日でなくてもいいとの返事が返ってきた。
ほかのフロアはほかの会社と同じように、商品開発部、企画部、その他は普通の会社と同じではあるが、至る所に大鍋印があるのがとても気になる。
「あの、この大鍋のロゴなんですけど」
「これは、ヒット商品の大鍋セット……」
「ええー?あんな高いもの?」
「高い?まぁ、高いといえば高いんですが、テフロン加工のサビない焦げないコンパクトということで、高いもので10万。これとステンレス製の
大鍋セット5万円はデパート販売で、ネット販売もしています」
「まぁ、結月……社長があれだからいいんですけど、俺は何を?」
「月に一回の会議と、後は印鑑などいただくだけで構いません。ご病気だったと聞いていますので、ゆっくり慣れてください」
俺は病気だったのか!?と横をみると、笑いをこらえているので、おじさん達にありがとうございますと言い、社員食堂や他を見て回ったあと、隣のビルに入る。
「やっぱり……人外の人いるよね?」
「お分かりになりますか?」
「うん、最近だけど。敏感になった感じがするし、耳も良くなったような感じもするよ?」
「その内、他にもわかることが沢山出てくるでしょう。この中は天満堂の人外用のバーと薬の売買の場所になります」
「薬の売買って言い方が……」
「失礼しました。ここの奥に事務所があります。販売の仕方や処方は通常の薬であればそのままここで販売します。調合が必要なものは姫様に書類を渡し後日渡すと言った方法です。姫様はやはりこちらの方が向いておられるのでしょう。受付はこのバーのマスターです」
「でも人間のお客さんも来るんだよね?大丈夫なのかな?」
「確かに、マスターも魔界の人間なので、万一という事も私も思いましたが、ルーカス様の配下の方だそうで、姫様も了承済みですので」
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「あの、この大鍋のロゴなんですけど」
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