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式典

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晩御飯を食べたあと、外の露天風呂に久しぶりに入っていると、ザバンとまたもやルーカスが湯船にダイブしてくる。

「もー!普通に入ってこようよ。それに俺の部屋ね?」

「知ってる。明日ニコルが戻ると連絡があった。その……エールラは……」

と、チラチラとノアを見ている。

「姉の事は聞いてません。祖父なら知っているかも知れませんが、言ってこないということは来ないのではないでしょうか?」

「な・ん・だ・と!」

「結月さんに聞けば?」

「無理無理!あいつに聞いたら笑われて終わりだ」

「幻界の方に水晶とかで連絡とるとか」

「も、持たせてない……」

「田中さんに聞くしかないね」

「でだ、奏太!お前が聞いてくれ」

「何でだよ。自分で聞いてよ……」

「それができたらここに頼みに来てないからな?」

「女性ナンパは出来るくせに、こういったことは奥手なんだから!」

「そうは言ってもなぁ、俺も純粋ってことなんだよ」

「あのさ、今は純粋とかか弱い乙女的なのが流行ってるの?」

なんだそれは?と言われ、先程の話をすると、「歌は置いといて、俺たち王族は伴侶を大臣共から押し付けられての政略結婚か、それなりの貴族の娘を貰うしかない。好きな女とは妾と言った形でどれだけでも持てるが、それは結月も奏太も同じだぞ?」

「それってさ、好きな人と結婚出来ないけど、浮気相手なら恋愛していいってこと?」

「似たようなもんだが、俺はエールラを妃に迎えたら、側室は持たないって言ったんだけどな……」

「もう告白してるじゃん」

「結婚の申し込みだな」

「家の父と母に挨拶されました?」

「へ?」

「一般的に、男性側が女性側の御両親に挨拶して結婚の許可を貰うのです。これは人間界と同じですね」

「やべぇ、して無いよ俺……」

頭を抱えて今からじゃ遅いのかと風呂でじたばたしているが、お湯がかかるので迷惑でしかない。

「ルーカスさん、幻界でノアの両親にあってるよね?」

「あの時は兵も引き連れてたし、俺も怪我してたしな……」

「顔は知ってるんだから大丈夫じゃない?」

「幻界と魔界ってところがダメなんだよ……」

「うちの両親は気にしませんよ?私も幻界人のまま天界に席を置きますし、兄は陛下の側付から、立場的に昇格してますから」

「昇格って聞いてないけど、大臣にでもなったの?」

「また違う役職ですが……」

もうのぼせてしまうと思って風呂を出ると、ルーカスもリビングに来てソファでまったりしながらコーヒーをんでいる。

「あ、あのチケットなんだけどさ……」

「言ってる間にもうすぐだな。お前何着るの?」

「スーツでいいかなって。作ってもらったの沢山あるし」

「俺もだ。幻界に行けばいいんだろ?内容ぐらい教えろっての!多分城の修復が終わったパーティかなんかだろ?」

「そうだと思うんだけど、教えてくれそうにないから聞いてないんだよね。ノア聞いてる?」

「残念ながら。祖父も行くそうです。父と母も呼ばれているとか……」

「あ、前の時に炊き出しとかしてたし、城住みになったんだよね?」

「はい。母は陛下の身の回りの世話などすることになりまして、城にいない時には、女中頭としてやっています」

「じゃあ、家にエールラさん一人?」

「姉も功績を買われて城の方に一部屋頂いてると聞きます。通いでも良いそうなのですが、落ち着くまでは城にいるとは聞いてます」

「とにかく、明日から俺バーだからさ。ニコルさんに準備はしておくって言っておいてよ」

「分かった。俺は会社に顔を出せって言われてるから帰りに寄るが、パーティの時は作業場のゲート使うから一緒に行くか?」

「そうだね。ムー達もお洒落させないとね」
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