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城での生活3日目。

流石にみんなに今のうちにと言われんばかりに、工事がどうのこうの、王子としてのマナーがどうのこうのと、特に大臣は嫁を早くとうるさかったので、スフィの背に乗せてもらい窓から逃走する。

「どこまで行くおつもりですか?」

「あ、ごめん。適当なところで降ろして」

「ならば……」

とスフィが連れていってくれたのは、一面のトウモロコシ畑。

「凄い。俺の背より高いよ」

「ここは城から南西。最も暖かい気候の村。作物を育て近くの街に売りに行き生活をしていると聞く」

「この辺は長閑な感じがするけど」

「たまに畑をあらす獅子が出ると聞いてはいるが、それほど被害もなく、うまく折り合いをつけている。この先の森にも同胞が居るので話しか聞いてなかったが……」

「スフィ、スフィなら皆が何かおかしいってことくらい気づいてるんじゃない?最近薬作りから経営まで任されててさ、クタクタだけど楽しいからいいかなって最初は思ってたんだけど……」

「幻界も魔界ももう落ち着いてると思うが、陛下の考えまでは読めぬ。魔界の王子は王に結婚の許しをと話しているのを聞いたくらいで。ムーがよく情報を仕入れてくる」

「あいつ遊び回ってるだけじゃなかったんだ」

「明日のお触れだが、本当にそれでいいのか?」

「あ、うん」

「民にバカにされてしまうような王子であってはならぬ」

「ならないよ。きっとみんな、最初は戸惑うだろうけど分かってくれるよ」

周りを散歩し、川の近くでのんびりしてから城に戻って、また窓から部屋に戻り、ベッドにゴロンとして頭を整理する。

コンコン

「奏太様?」

「ノア?」

「どちらに行かれてたのですか?私が追いかけられました……行先くらい言ってから行ってください」

「ごめん、毎日追いかけられるのはちょっと……」

「明日ですが拡声の魔法は大臣がすることになりました。ベランダの前の防御壁も他の兵たちが。朝9時からです」

「時間が早くなってない?」

「噂が流れるのは早いですから、もう続々と各地から集まってきているそうですよ?」

「前は逃げるので精一杯だったけど、今回はどうなるかな」

「何も無いと思っています。街を作るにあたり、王子のお陰だと民も言ってましたから」

次の日の朝、全ての準備が整い、ベランダに王とノアと並んでてると、街の人から「王子ー」とたくさんの声がかかったので、拡声魔法を使ってもらう。

「皆さんおはよう。この街にたくさんの人が来てくれてとても嬉しいです。今日は王子としての初勅をださなければならないとのことですが、皆さんにお願いしたいことは、公務以外での伏令の禁止。それだけです。王子としてではなく、俺もひとりの民として街にいる時には普通に接してもらえるととても嬉しい。皆さんと明るくて平和な街にしていきたいと思ってます。堅苦しいのは以上!」

「おいおい、奏太よ。本当に良いのか?」

「うん、これでいい。俺は王子だ!って街を歩くのが嫌なんだ。王子だからこうされる、ああされるって違うと思って」

「それはそうじゃが……」

「次はパレードでしょ?折角だから船に乗らない?」

「警護のものはどうする?」

「付いてきてもらったらいいじゃん。王様でしょ?」
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