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天満堂薬店

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チリン__

「いらっしゃいませ」

そう言ってカウンターに来たのは二人。

「ビール二つ」

そこで会計をして奥の席に行く。

「ラスト会計じゃない分楽だよね」

「はい。纏めてという方は伝票に書きますが、少し飲んで帰られる方は先程のように支払われますね」

「ナッツ出さないの?」

「あ、忘れてました!持っていきます」

ニコルが持って行っている間にご飯を食べ終え、食器を中に戻す。

「今日はどちらも忙しくなりそうですね」

「久しぶりだしね。人間も来るんでしょ?」

「はい。たまに来られる方はカウンターに座られるんですが、雰囲気が警察関係の方のような感じですね」

「ドラマとかで見る感じ?」

「似てはいますが、また独特の雰囲気というか……かなり周りを警戒している感じです」

「でも、届けとか出してあるんでしょ?だったら大丈夫じゃないの?」

「すべて出してありますので問題は無いのですが、たまに敏感な方と言いますか、我々が人間ではないと見抜く方もいるので疑っているのかも知れませんね」

「そんなに簡単にバレちゃうかなぁ?どう見ても外国人にしか見えないけど」

「お客様の方です。どれだけ隠していても完全にとは行きませんので」

「そっちか」

その後も薬を買いに来て帰っていく者や買い終わってから飲むものなど様々で、両方の手伝いをしていると、胃薬らしき商品はあっという間にカウンターからなくなり補充する。

「これ、胃薬モドキ」

カウンターに置くと、結月から「モドキではない!」と怒られ、食事を頼む結月の横で予約表を見る。

「あれ?ガマ親分はまだなんだ。玉藻さんも来るの?」

「あいつらは遅くなるらしい。後はカッパの軟膏だが、半額にしてやれ」

「それでも5万だよ?」

「まぁ、あいつは昔からの常連だし、家族で使うからすぐに無くなるんだろうな。なんて優しいんだ私は!」

「はいはい。で、この人誰?」

横の補足に書いてある、姫という文字が気になって聞くと、山奥に住む雪女の一族の姫のことだという。

「多分もう来る。飯はこの姫が帰ってからだ。気になるなら見に来るか?」

「いい、寒そうだもん」

「たしかに寒いな……」

「何の薬?」

「この一族は特殊でな、代々女が一族をまとめてるんだが、最近ではあまり雪もふらないだろう?だから体温調節の薬が必要なんだ」

「でも東北の方は降るじゃん」

「降るには降るが、拠点としているところから移動するそうで、その際に使う薬だから調合がまた面倒でな……っと、来たな」

まだ誰も来ていないのにだんだんと足元から冷えてきて、ついブルッとしてしまう。
入ってきた人は普通に白い着物で、頭に布をかけているので顔は見えないが、感じからまだ若いのだとはわかる。

結月がすぐに奥へと連れていってくれてので何とかなったが、立ち止まられていたら凍っていたかもしれない。

「雪女の伝説って知ってる?」とニコルとノアに言うと、少しだけ知っているとのことだった。

「これも話したらダメなのかな?」
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