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天満堂薬店
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今まで高笑いばかりして、何を開発していると思っていたら、胃薬……
材料は聞かない方がいいと思い、ひとまず麻袋から出して中を見る。
「くっさ!」
「あ、それは今日の予約の客の薬だ。丸薬はこっち。七日分、一日一粒だ。五万以下で売るなよ?顧客リストの上客……黒のファイルの客には三万で売れ。一月分を三万で十二万にはなるし。それと、その薬の期限は一月と言え。次に買いに来る時どこか悪ければ、ほかの薬も売れる」
「まぁ、適当に売るけど……バラ売りは?」
「無い」
「あのさ、これ売るのはいいんだけど……やっぱり俺が売るの?」
「当たり前だ!ルーカスも一度は向こうに戻らないといけないから私と交代だし、売れるうちに売って置かんとな!ハーッハッハッハ」
先が思いやられると思いながらも作業場に荷物を運んで、リストを見ながら仕分けし、材料の補充をしていく。
新しい粉もあり、それぞれに効能が書いてあったので、ノートに分量など書き写し、いつもの場所にしまう。
終わった!と言ってカウンターからコーラを出して、パンパンに氷を入れたグラスに注いで飲む。
「ただいま戻りました」
「あ、コーラもらったよ。ごめんね、馬鹿な姉で……本当は休みなのに」
「いえ、病院にいてもすることもないので。それに帰ってからのことを話し合って、産後との事もあるので魔界へ帰します」
「ニコルさんはどうするの?」
「着いていきますがすぐに帰ってきます」
「そーたー!この馬鹿者がぁー!」との大きな声に裏へ行くと、前に邪魔だったので万能薬の入った小鍋を違うところに移したからか、妙に怒っている。
「何?」
「これはここなんだ!動かすな!それと、このノートはなんだ!」
「薬の作り方のノートだけど?」
「私のより綺麗に書くなぁ!」
「そんな事言われてもさ……中身は間違ってないじゃん!ちゃんと作ってるんだから文句言わないでよね!」
「ちくしょう!ニコル、私はそんなに雑か?」
「ど、何方かと言えば……細かいことは苦手なのではないかと」
「まぁ、冗談は置いておいてだな……」と次は知らん顔をしながら、あの二人が来る。と言われて身構える。
「へ、蛇の人たち……」
「そうだ。かなり溜まってるらしくてな、毒を出し切っても、顎の腫れを引かせる薬が必要になる。毒出しの間にお前が作れ」
「えー!」
「字が綺麗なバツだ!」
その後もグチグチ言われそうだと一度家に帰って着替え、エールラに晩ご飯はいらないと伝えて家を出る。
車で移動するのは楽だが、スーツではなく普通のジーンズ姿で高級車に乗るのは気が引けるとノアと苦笑いし、結月が来たことによって明るくなったと話している間に店につく。
「ちょっと!何一人だけ食べてるの?」
「ん?腹ごしらえだ。何かと作り置きしたくてな。ここで少し作る」
「あの小鍋で?」
「奥にもう少し大きい鍋があるからそれで。煙は出ないようにするから問題は無いだろう?」
そう言ってエビピラフをガツガツと食べている姿はやはり姫……女王陛下では無い。
材料は聞かない方がいいと思い、ひとまず麻袋から出して中を見る。
「くっさ!」
「あ、それは今日の予約の客の薬だ。丸薬はこっち。七日分、一日一粒だ。五万以下で売るなよ?顧客リストの上客……黒のファイルの客には三万で売れ。一月分を三万で十二万にはなるし。それと、その薬の期限は一月と言え。次に買いに来る時どこか悪ければ、ほかの薬も売れる」
「まぁ、適当に売るけど……バラ売りは?」
「無い」
「あのさ、これ売るのはいいんだけど……やっぱり俺が売るの?」
「当たり前だ!ルーカスも一度は向こうに戻らないといけないから私と交代だし、売れるうちに売って置かんとな!ハーッハッハッハ」
先が思いやられると思いながらも作業場に荷物を運んで、リストを見ながら仕分けし、材料の補充をしていく。
新しい粉もあり、それぞれに効能が書いてあったので、ノートに分量など書き写し、いつもの場所にしまう。
終わった!と言ってカウンターからコーラを出して、パンパンに氷を入れたグラスに注いで飲む。
「ただいま戻りました」
「あ、コーラもらったよ。ごめんね、馬鹿な姉で……本当は休みなのに」
「いえ、病院にいてもすることもないので。それに帰ってからのことを話し合って、産後との事もあるので魔界へ帰します」
「ニコルさんはどうするの?」
「着いていきますがすぐに帰ってきます」
「そーたー!この馬鹿者がぁー!」との大きな声に裏へ行くと、前に邪魔だったので万能薬の入った小鍋を違うところに移したからか、妙に怒っている。
「何?」
「これはここなんだ!動かすな!それと、このノートはなんだ!」
「薬の作り方のノートだけど?」
「私のより綺麗に書くなぁ!」
「そんな事言われてもさ……中身は間違ってないじゃん!ちゃんと作ってるんだから文句言わないでよね!」
「ちくしょう!ニコル、私はそんなに雑か?」
「ど、何方かと言えば……細かいことは苦手なのではないかと」
「まぁ、冗談は置いておいてだな……」と次は知らん顔をしながら、あの二人が来る。と言われて身構える。
「へ、蛇の人たち……」
「そうだ。かなり溜まってるらしくてな、毒を出し切っても、顎の腫れを引かせる薬が必要になる。毒出しの間にお前が作れ」
「えー!」
「字が綺麗なバツだ!」
その後もグチグチ言われそうだと一度家に帰って着替え、エールラに晩ご飯はいらないと伝えて家を出る。
車で移動するのは楽だが、スーツではなく普通のジーンズ姿で高級車に乗るのは気が引けるとノアと苦笑いし、結月が来たことによって明るくなったと話している間に店につく。
「ちょっと!何一人だけ食べてるの?」
「ん?腹ごしらえだ。何かと作り置きしたくてな。ここで少し作る」
「あの小鍋で?」
「奥にもう少し大きい鍋があるからそれで。煙は出ないようにするから問題は無いだろう?」
そう言ってエビピラフをガツガツと食べている姿はやはり姫……女王陛下では無い。
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