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天満堂薬店
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建物はそれほど新しい訳では無いが、床もちゃんと磨かれ、綺麗にされてはいるが、商品が探しにくい難点はあった。
「パンが売ってる……」
「後は日用品が多いですね。飲み物もペットボトル飲料がメインのようです」
「金額はどう?」
「お得商品となっていますが、スーパーやコンビニなどより20円ほど安いかと」
「うち置いてあったっけ?」
「置いてありますが、ここまでの種類はありませんし、店舗によって異なります」
店舗の大きさもあるよねと話しながら、コーヒーを三つ買い、車に戻って運転手にも渡す。
「次うちの店に行ってくれる?」
近くにある天満堂薬店へと行って中を見ると、店内も綺麗に掃除されており、日用品から毛染め薬としっかり充実しており、化粧品コーナーには三社が入っていて、天満化粧品は『売り切れ中』と書いてあった。
「あの大鍋化粧品売れてるんだ……」
「無添加らしいですよ?男性にも人気だとか」
「男が何に使うの?」
「髭剃りの後に化粧水をつけるようですよ?」
「俺洗顔だけだよ!」
「奏太様も一度使ってみては?」
「無理無理、作ってるところ見ちゃったもん。俺、あの鍋かき混ぜてる時の結月さん怖いもん。思い出すだけで薬も飲みたくなくなる。効き目は確かにあるけど」
「あの高笑いさえなければ……」
「そうだよね。ここは薬も充実してるし問題なさそうだね」
「店長に話を聞いていきますか?」
「あっちと近いから何か知ってるかな?」
レジに行って名刺を渡して店長を呼んでもらう。
50過ぎの太ったおじさんだったが、こちらに来るまでにちゃんとお客に「いらっしゃいませ」と言いながら歩いてくる。
「お待たせしました。事務所の方へどうぞ」
そう言われついていき、さり気なく在庫置き場もチェックする。
お茶を出され「連絡をいただければ……」と言われたので、たまたま通りがかっただけだと言い、今日見てきた店舗のことを知っているかと聞く。
「同じ市内ですから噂だけは聞こえてきますが……」
「今、経営破綻しそうな店舗を見て回っておりまして__」
「う、うちですか!?」
「いえ、こちらではありません。こちらはリストには乗っていませんので」
「あぁ、良かった」
「それでですね、あちらの店舗の近くにも新しいドラッグストアが出来ていまして、うちの店と別の店が近いところでもそれ程売上に大きな差を見ることは無かったのですが、あちらの店舗はなんと言いますか……」
「汚かったんだよ。やる気もなかったみたいだし、対応も何も無いって言うか」
「あそこはまだ開店して一年もたっていなかったと思いますが。それに店舗もそれなりに大きかったと」
「でも客が来ない理由は汚いからだと思うんだ。商品にもホコリがかぶってて床も磨いてなければ、在庫も無い。近くのドラッグストアは綺麗にされてたけど」
「パンが売ってる……」
「後は日用品が多いですね。飲み物もペットボトル飲料がメインのようです」
「金額はどう?」
「お得商品となっていますが、スーパーやコンビニなどより20円ほど安いかと」
「うち置いてあったっけ?」
「置いてありますが、ここまでの種類はありませんし、店舗によって異なります」
店舗の大きさもあるよねと話しながら、コーヒーを三つ買い、車に戻って運転手にも渡す。
「次うちの店に行ってくれる?」
近くにある天満堂薬店へと行って中を見ると、店内も綺麗に掃除されており、日用品から毛染め薬としっかり充実しており、化粧品コーナーには三社が入っていて、天満化粧品は『売り切れ中』と書いてあった。
「あの大鍋化粧品売れてるんだ……」
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「奏太様も一度使ってみては?」
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「あの高笑いさえなければ……」
「そうだよね。ここは薬も充実してるし問題なさそうだね」
「店長に話を聞いていきますか?」
「あっちと近いから何か知ってるかな?」
レジに行って名刺を渡して店長を呼んでもらう。
50過ぎの太ったおじさんだったが、こちらに来るまでにちゃんとお客に「いらっしゃいませ」と言いながら歩いてくる。
「お待たせしました。事務所の方へどうぞ」
そう言われついていき、さり気なく在庫置き場もチェックする。
お茶を出され「連絡をいただければ……」と言われたので、たまたま通りがかっただけだと言い、今日見てきた店舗のことを知っているかと聞く。
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