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夏休み~狐一族温泉観光ツアー前編~
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「お待たせしましたねぇ」
「うわっ!いつ乗ったの?」
「さっきです。森の中の方が隠れられますし。ちゃんと術はかけてありますよ?」
「一言言ってよ……僕びっくりしちゃった」
「雪翔気づかなかったのか?」
「何を?」
「冬弥さん達普通に乗ってきたんだけど……」
「動いてたのに?」
「このバスゆっくりだから乗れないことは無いよ?開けてもらわないといけないけど」
「僕外見てたから……」
「航平君は気配に敏感みたいですねぇ」
「昔からです。後、さっき旅行中兄弟交換するって言ってましたけど」
「馬鹿か!なんで俺の兄貴が京弥さんなんだよ……」
「嫌なんですか?」
「そうじゃなくてですね……」
「那智は兄上には口でも勝てないですからねぇ」
「そうなの?だったら僕も見てみたいから交換賛成!」
「だそうですよ?私は夏樹さんでも構わないですけど。那智と思えばなんにも変わりませんし」
「冬弥、一応俺の方が歳上なんだけどな?」
「知ってますよ?でも那智とそっくりじゃないですか」
「「似てない!」」
ほらね?と面白そうにからかっているが、アナウンスでもうカバとワニの近くに来ていると聞いて、みんなを無視して窓から探すと、京弥もスケッチブックを抱え、夏樹までも窓からキョロキョロと探していた。
カバもワニも暑いからか水の中にいてあまり見えなかったが、それでも係の人が餌かなにかをポイっといくつか置いた瞬間ノソノソっと歩いて出てきたのには驚いた。
「雪翔、カバさんですよ!ワニは思ったより大きいですねぇ」
「うん。本当に汗の色がピンクなのか見てみたかったなぁ」
「流石にそばまではいけませんからねぇ。那智行ってきてくれます?」
「アホかお前は!」
ワニの口は何かで縛るとあかないと聞いたが、それでもそれをする人はショーだとしてもすごいと思うとボソッと言ったつもりが聞こえていたらしく、航平に思いっきり笑われてしまった。
「笑うところあった?」
「真面目な顔で言うから。テレビかなにかで見たんだろ?」
「うん。噛まれた人もいるって。頭突っ込んでる人もいたんだよ?僕見てるだけでドキドキしちゃってて、それが目の前にいるんだもん」
「最後の赤ちゃんライオン抱っこする時どうするんだよ」
「え?赤ちゃんだから噛まないんじゃないの?」
「怒らせたら噛むだろ?」
「そんな事しないもん」
次々と進んでいき、いよいよライオンなどの猛獣エリアに進んだ時、ガクッと車が止まってしまった。
「溝にでもハマったのかな?」
「何か変な匂いしません?」
「金、銀。姿消してみてきてよ」
スっといなくなったと思ったら、すぐに戻ってきて、前からも後ろからも煙が出ているという事だった。
「故障か?」
「那智、私達後部座席ですけど、逃げた方がいいですかね?」
「こんなに人数いたら抜けるとまずいだろう?」
そうこう言ってるうちに、アナウンスで金網に近寄らないように、係の指示に従って降りるようにと言われる。
『餌やりのエリアまでは金網が張ってあるのでライオンは来ません。安心して降りてください。車からなるべく離れてください』
夏樹がおんぶしてくれたので、航平が車椅子と荷物を持ち、降りて離れてから車椅子に座らされる。
「故障にしては大げさだよな?」
「ものすごくガソリンくさいんですけど……」
「うわっ!いつ乗ったの?」
「さっきです。森の中の方が隠れられますし。ちゃんと術はかけてありますよ?」
「一言言ってよ……僕びっくりしちゃった」
「雪翔気づかなかったのか?」
「何を?」
「冬弥さん達普通に乗ってきたんだけど……」
「動いてたのに?」
「このバスゆっくりだから乗れないことは無いよ?開けてもらわないといけないけど」
「僕外見てたから……」
「航平君は気配に敏感みたいですねぇ」
「昔からです。後、さっき旅行中兄弟交換するって言ってましたけど」
「馬鹿か!なんで俺の兄貴が京弥さんなんだよ……」
「嫌なんですか?」
「そうじゃなくてですね……」
「那智は兄上には口でも勝てないですからねぇ」
「そうなの?だったら僕も見てみたいから交換賛成!」
「だそうですよ?私は夏樹さんでも構わないですけど。那智と思えばなんにも変わりませんし」
「冬弥、一応俺の方が歳上なんだけどな?」
「知ってますよ?でも那智とそっくりじゃないですか」
「「似てない!」」
ほらね?と面白そうにからかっているが、アナウンスでもうカバとワニの近くに来ていると聞いて、みんなを無視して窓から探すと、京弥もスケッチブックを抱え、夏樹までも窓からキョロキョロと探していた。
カバもワニも暑いからか水の中にいてあまり見えなかったが、それでも係の人が餌かなにかをポイっといくつか置いた瞬間ノソノソっと歩いて出てきたのには驚いた。
「雪翔、カバさんですよ!ワニは思ったより大きいですねぇ」
「うん。本当に汗の色がピンクなのか見てみたかったなぁ」
「流石にそばまではいけませんからねぇ。那智行ってきてくれます?」
「アホかお前は!」
ワニの口は何かで縛るとあかないと聞いたが、それでもそれをする人はショーだとしてもすごいと思うとボソッと言ったつもりが聞こえていたらしく、航平に思いっきり笑われてしまった。
「笑うところあった?」
「真面目な顔で言うから。テレビかなにかで見たんだろ?」
「うん。噛まれた人もいるって。頭突っ込んでる人もいたんだよ?僕見てるだけでドキドキしちゃってて、それが目の前にいるんだもん」
「最後の赤ちゃんライオン抱っこする時どうするんだよ」
「え?赤ちゃんだから噛まないんじゃないの?」
「怒らせたら噛むだろ?」
「そんな事しないもん」
次々と進んでいき、いよいよライオンなどの猛獣エリアに進んだ時、ガクッと車が止まってしまった。
「溝にでもハマったのかな?」
「何か変な匂いしません?」
「金、銀。姿消してみてきてよ」
スっといなくなったと思ったら、すぐに戻ってきて、前からも後ろからも煙が出ているという事だった。
「故障か?」
「那智、私達後部座席ですけど、逃げた方がいいですかね?」
「こんなに人数いたら抜けるとまずいだろう?」
そうこう言ってるうちに、アナウンスで金網に近寄らないように、係の指示に従って降りるようにと言われる。
『餌やりのエリアまでは金網が張ってあるのでライオンは来ません。安心して降りてください。車からなるべく離れてください』
夏樹がおんぶしてくれたので、航平が車椅子と荷物を持ち、降りて離れてから車椅子に座らされる。
「故障にしては大げさだよな?」
「ものすごくガソリンくさいんですけど……」
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