96 / 112
夏休み~狐の国の異邦人
.
しおりを挟む
「僕は血が繋がってないし」
「それは関係ないんですよね?私の子、現役の天狐の子と言うだけで狙われます。子供やめます?」
「やだ!やめないし、赤ちゃんも守るもん!」
「ホホホッ!おじいさんの負けですねぇ。私達は先に上がって、東屋におりますからね」
「腹の子は冷やすなよ!」
「ほほほほほ」
「あの笑い方の時、おばあちゃんの勝ち!って感じがするんだけど」
「婆さんには儂も勝てん……」
「私も栞さんには負けますね……」
「二人共お酒ばっかり飲むからだよ……幸さんの赤ちゃんに、お爺ちゃんお酒くさいって言われたらどうするの?冬弥さんもパパ臭いって言われたら、栞さんと僕達で赤ちゃんに会わせないからね?」
「そ、それは困ります!」
「雪翔の勝ちじゃな。それより、雪翔よ。あの髪の色は外国人じゃからか?」
「お母さんがね、外国の人なんだよ。お父さんは日本人。航平ちゃんはお母さんに似てるよ?髪の色は薄目だと思うけど」
「染めておるのかと思うたわ」
「抜いたらダメだからね?痛いんだから」
「雪翔とよく似た力か……となると、昴がここに連れてきたのも分かるのぅ」
「僕もうのぼせそう。出てもいい?」
「ひとりで行けるのか?儂等も出よう!」
ゴシゴシと体を拭いて服を着て、なにか飲み物ないかなとキョロキョロしていたら、周太郎がペットボトルの冷たい水をくれた。
「ありがとう、これどうしたの?」
「那智様が大量に送ってくださいまして、浮遊城にも何本か持ってきて、ここの裏の川で冷やしておきました」
「儂等にもくれ。茶はないのか?」
「ございます。少しお待ちください」と走って出ていく。
「那智も気が利くようになりましたねぇ」とお茶を飲みながら冬弥が言うと、祖父は早く嫁を貰わんと……と見合いの話があると冬弥に言っている。
「那智さんて、なんで結婚しないの?」
「那智はですねぇ、狐の国ではアイドルですよ?『アレ』がアイドル!」
「お爺ちゃん……意味わからない……」
「この国は四つに分かれておって、数年に1度各地で美男美女コンテストとか言うものが昔からあるんじゃ。各エリアから選ばれた四人の男女で中心の城の前で決めるんじゃが、那智は幼少・少年・青年の三冠王者よ」
「凄い。カッコイイもんね!」
「栞さんも、少女の部で一度優勝してますよ?」
「えーと、幼少は幾つまで?とかあるの?」
東屋に向かって進みながら話を聞くと、幼少は6~12歳。少年少女が13~18歳。青年が20~25歳と分けられているという。
「冬弥さんは出なかったの?」
東屋に着いて、お婆ちゃん達もペットボトルを持っていたので、ちゃんと水分はとっているんだと安心してから栞さんを見る。
「冬弥はねぇ、違う年に参加させて、ちゃんと五冠王ですよ?」
「母上!」
「いいじゃないの。昔のことでしょう?」
「五冠王って、えーーー!」
「那智と違う年に無理やり応募されていましてねぇ、家の一族で総取りだなどと父上たちに巻き込まれたんですよ。私と那智は」
「その時の冬弥は凛々しかったのにねぇ……那智も可愛かったのに」
「私の出た少女の部と、冬弥様の出た青年部が同じ年で、それで私お父様にお願いして見合いを……」
「栞さんの一目惚れだったのー!なんですぐ結婚しなかったの?冬弥さん待たせるだけ待たせるなんて酷い!」
「そう言われてもですねぇ……総合優勝で那智も私も三冠王者と五冠王ですよ?終わったあとは逃げるんです。それに人間界にすぐ帰りましたから、最初全く知らなくてですねぇ……」と頭をかいている。
「じゃあ、狐の国一番の美男美女の夫婦って事?」
「そうなるの?」
「だから那智のところにもお見合い写真だけは売るほど来てますよ?」
「美男美女だなんて……ふふっ」
「栞さん……」
「あ!忘れてました。私、那智様の追っかけ隊をお祭りの時に見ました。また増えたなぁって思っていただけなんですけど、そんなにこちらに来れるものなのでしょうか?」
「何ですかそれは!私のところにはきませんよ?」
「来てました!お酒を飲んで後ろ向いてるからわからなかったんじゃないですか?」
「全く、女に興味が無いのぅ。お主ら二人は……」
「お爺ちゃんが浮気者みたいに聞こえちゃうよ?」
「はっはっは!ばぁさん以上の美人しか相手にせんわ!」
「居なかったんでしょう?ほほほ」
「お婆ちゃんが怖い!」
「それは関係ないんですよね?私の子、現役の天狐の子と言うだけで狙われます。子供やめます?」
「やだ!やめないし、赤ちゃんも守るもん!」
「ホホホッ!おじいさんの負けですねぇ。私達は先に上がって、東屋におりますからね」
「腹の子は冷やすなよ!」
「ほほほほほ」
「あの笑い方の時、おばあちゃんの勝ち!って感じがするんだけど」
「婆さんには儂も勝てん……」
「私も栞さんには負けますね……」
「二人共お酒ばっかり飲むからだよ……幸さんの赤ちゃんに、お爺ちゃんお酒くさいって言われたらどうするの?冬弥さんもパパ臭いって言われたら、栞さんと僕達で赤ちゃんに会わせないからね?」
「そ、それは困ります!」
「雪翔の勝ちじゃな。それより、雪翔よ。あの髪の色は外国人じゃからか?」
「お母さんがね、外国の人なんだよ。お父さんは日本人。航平ちゃんはお母さんに似てるよ?髪の色は薄目だと思うけど」
「染めておるのかと思うたわ」
「抜いたらダメだからね?痛いんだから」
「雪翔とよく似た力か……となると、昴がここに連れてきたのも分かるのぅ」
「僕もうのぼせそう。出てもいい?」
「ひとりで行けるのか?儂等も出よう!」
ゴシゴシと体を拭いて服を着て、なにか飲み物ないかなとキョロキョロしていたら、周太郎がペットボトルの冷たい水をくれた。
「ありがとう、これどうしたの?」
「那智様が大量に送ってくださいまして、浮遊城にも何本か持ってきて、ここの裏の川で冷やしておきました」
「儂等にもくれ。茶はないのか?」
「ございます。少しお待ちください」と走って出ていく。
「那智も気が利くようになりましたねぇ」とお茶を飲みながら冬弥が言うと、祖父は早く嫁を貰わんと……と見合いの話があると冬弥に言っている。
「那智さんて、なんで結婚しないの?」
「那智はですねぇ、狐の国ではアイドルですよ?『アレ』がアイドル!」
「お爺ちゃん……意味わからない……」
「この国は四つに分かれておって、数年に1度各地で美男美女コンテストとか言うものが昔からあるんじゃ。各エリアから選ばれた四人の男女で中心の城の前で決めるんじゃが、那智は幼少・少年・青年の三冠王者よ」
「凄い。カッコイイもんね!」
「栞さんも、少女の部で一度優勝してますよ?」
「えーと、幼少は幾つまで?とかあるの?」
東屋に向かって進みながら話を聞くと、幼少は6~12歳。少年少女が13~18歳。青年が20~25歳と分けられているという。
「冬弥さんは出なかったの?」
東屋に着いて、お婆ちゃん達もペットボトルを持っていたので、ちゃんと水分はとっているんだと安心してから栞さんを見る。
「冬弥はねぇ、違う年に参加させて、ちゃんと五冠王ですよ?」
「母上!」
「いいじゃないの。昔のことでしょう?」
「五冠王って、えーーー!」
「那智と違う年に無理やり応募されていましてねぇ、家の一族で総取りだなどと父上たちに巻き込まれたんですよ。私と那智は」
「その時の冬弥は凛々しかったのにねぇ……那智も可愛かったのに」
「私の出た少女の部と、冬弥様の出た青年部が同じ年で、それで私お父様にお願いして見合いを……」
「栞さんの一目惚れだったのー!なんですぐ結婚しなかったの?冬弥さん待たせるだけ待たせるなんて酷い!」
「そう言われてもですねぇ……総合優勝で那智も私も三冠王者と五冠王ですよ?終わったあとは逃げるんです。それに人間界にすぐ帰りましたから、最初全く知らなくてですねぇ……」と頭をかいている。
「じゃあ、狐の国一番の美男美女の夫婦って事?」
「そうなるの?」
「だから那智のところにもお見合い写真だけは売るほど来てますよ?」
「美男美女だなんて……ふふっ」
「栞さん……」
「あ!忘れてました。私、那智様の追っかけ隊をお祭りの時に見ました。また増えたなぁって思っていただけなんですけど、そんなにこちらに来れるものなのでしょうか?」
「何ですかそれは!私のところにはきませんよ?」
「来てました!お酒を飲んで後ろ向いてるからわからなかったんじゃないですか?」
「全く、女に興味が無いのぅ。お主ら二人は……」
「お爺ちゃんが浮気者みたいに聞こえちゃうよ?」
「はっはっは!ばぁさん以上の美人しか相手にせんわ!」
「居なかったんでしょう?ほほほ」
「お婆ちゃんが怖い!」
0
お気に入りに追加
70
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
下宿屋 東風荘 5
浅井 ことは
キャラ文芸
☆.。.:*°☆.。.:*°☆.。.:*°☆.。.:*゜☆.。.:*゚☆
下宿屋を営む天狐の養子となった雪翔。
車椅子生活を送りながらも、みんなに助けられながらリハビリを続け、少しだけ掴まりながら歩けるようにまでなった。
そんな雪翔と新しい下宿屋で再開した幼馴染の航平。
彼にも何かの能力が?
そんな幼馴染に狐の養子になったことを気づかれ、一緒に狐の国に行くが、そこで思わぬハプニングが__
雪翔にのんびり学生生活は戻ってくるのか!?
☆.。.:*°☆.。.:*°☆.。.:*°☆.。.:*☆.。.:*゚☆
イラストの無断使用は固くお断りさせて頂いております。
後宮の記録女官は真実を記す
悠井すみれ
キャラ文芸
【第7回キャラ文大賞参加作品です。お楽しみいただけましたら投票お願いいたします。】
中華後宮を舞台にしたライトな謎解きものです。全16話。
「──嫌、でございます」
男装の女官・碧燿《へきよう》は、皇帝・藍熾《らんし》の命令を即座に断った。
彼女は後宮の記録を司る彤史《とうし》。何ものにも屈さず真実を記すのが務めだというのに、藍熾はこともあろうに彼女に妃の夜伽の記録を偽れと命じたのだ。職務に忠実に真実を求め、かつ権力者を嫌う碧燿。どこまでも傲慢に強引に我が意を通そうとする藍熾。相性最悪のふたりは反発し合うが──
下宿屋 東風荘
浅井 ことは
キャラ文芸
神社に憑く妖狐の冬弥は、神社の敷地内にある民家を改装して下宿屋をやっている。
ある日、神社で祈りの声を聞いていた冬弥は、とある子供に目をつけた。
その少年は、どうやら特異な霊媒体質のようで?
妖怪と人間が織り成す、お稲荷人情物語。
※この作品は、エブリスタにて掲載しており、シリーズ作品として全7作で完結となっております。
※話数という形での掲載ですが、小見出しの章、全体で一作という形にて書いております。
読みづらい等あるかもしれませんが、楽しんでいただければ何よりです。
エブリスタ様にて。
2017年SKYHIGH文庫最終選考。
2018年ほっこり特集掲載作品
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる