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発覚
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昼前に帰ってきた冬弥にそのことを告げると、昴に迎えに来てもらえるようにするから待ってほしいと言われる。
「今日リハビリでしょう?その時に診察の予約も取ってきてくださいね?」
「うん、終業式まで栞さんいるよね?」
「ええ。雪翔と一緒に行かせるつもりでしたので」
「冬弥様……」
「何も心配いりませんよ?私も顔を出しますし、父もいますから。それに栞さんのお父様もお母様もそれなりのお力をお持ちですから、心配してませんよ?」
「私より雪翔君が……ほら、離れるとまた勉強ばかりしちゃうから」
「そっちですか!?なら、周太郎によく言っておきますし、雪翔も父に連れ回されると思うのでいい休憩になると思いますよ?」
「ならいいんですけど」
「宿題はしてもいいよね?」
「それはしないとダメでしょう?それ以外ですよ。雪翔はやり始めるととことんやるタイプですから」
「だって、みんな夏期講習行くし、休み明けテスト気になるし……」
「お盆明けには何とかしておきます。二人共何も心配ないですからゆっくりしてきて下さい」
病院に終業式が無事終わり、その間はラインなどのやり取りはしていたものの、学校や病院以外では外に出ることがなくなり、夜の勉強も調子が悪いのでと行かなくなってしまった。
おかしく思われないかな?と心配もしたが、行かない分は家で勉強をして、向こうでは夏休みの課題だけでもやろうと終業式の後、筆記用具とともにカバンにしまう。
「冬弥さん、昴さんくるの?」
「私も一緒に向こうへ行きます。父の家で待ち合わせにしてありますので、栞さんを送り届けてから浮遊城に向かいます。預かった本も持ちましたし、もう行けますか?」
「みんなにはお爺ちゃんの家に行くって言ってあるんだけど」
「それでいいですよ。調子が悪いと言っていたそうですねぇ。皆さん心配してましたよ?」
「嘘は嫌だったんだけど、なんて言ったらいいのかわからなくって。それに、あのお土産のキーホルダーにも冬弥さんが力を入れてくれたんでしょ?」
「隆弘・賢司・海都・堀内さんのには、お守りがわりになるように。航平君のもちゃんと守りを入れておきました。あれからも何度か雪翔限定で守りの術をしていたようです。彼なら話してもいいかもしれないですねぇ」
「久世くんは?」
「彼は記憶を一部消しました。どうも野狐が絡んでいるようで、操られていた可能性も否定できません。憑かれていたとしたら、下宿程度の結界は入れたでしょうし、なにか目的があったのだと思います」
「冬弥さん……ごめん。僕……」
「来てますね。話してきますか?」
「いいの?」
「雪翔は話したいんでしょう?」
「うん」
まだ時間もあるので行ってきなさいと言われ、栞もうなづいていたので外に出ると、航平がインターホンを押すところだった。
「航平ちゃん!」
「雪翔……」
「ぼ、僕……話さないといけないことがあって」
「俺もそうなんだ……出掛ける所だったか?」
「お爺ちゃんの家に……三週間行くんだ」
そこまで言って黙っていると、冬弥が中に入りなさいと言ってくれたので、リビングに通す。
「悪い、遅くなった……って何かあったのか?」
と那智さんが来て、航平と自分の顔をじっと見ている。
「今日リハビリでしょう?その時に診察の予約も取ってきてくださいね?」
「うん、終業式まで栞さんいるよね?」
「ええ。雪翔と一緒に行かせるつもりでしたので」
「冬弥様……」
「何も心配いりませんよ?私も顔を出しますし、父もいますから。それに栞さんのお父様もお母様もそれなりのお力をお持ちですから、心配してませんよ?」
「私より雪翔君が……ほら、離れるとまた勉強ばかりしちゃうから」
「そっちですか!?なら、周太郎によく言っておきますし、雪翔も父に連れ回されると思うのでいい休憩になると思いますよ?」
「ならいいんですけど」
「宿題はしてもいいよね?」
「それはしないとダメでしょう?それ以外ですよ。雪翔はやり始めるととことんやるタイプですから」
「だって、みんな夏期講習行くし、休み明けテスト気になるし……」
「お盆明けには何とかしておきます。二人共何も心配ないですからゆっくりしてきて下さい」
病院に終業式が無事終わり、その間はラインなどのやり取りはしていたものの、学校や病院以外では外に出ることがなくなり、夜の勉強も調子が悪いのでと行かなくなってしまった。
おかしく思われないかな?と心配もしたが、行かない分は家で勉強をして、向こうでは夏休みの課題だけでもやろうと終業式の後、筆記用具とともにカバンにしまう。
「冬弥さん、昴さんくるの?」
「私も一緒に向こうへ行きます。父の家で待ち合わせにしてありますので、栞さんを送り届けてから浮遊城に向かいます。預かった本も持ちましたし、もう行けますか?」
「みんなにはお爺ちゃんの家に行くって言ってあるんだけど」
「それでいいですよ。調子が悪いと言っていたそうですねぇ。皆さん心配してましたよ?」
「嘘は嫌だったんだけど、なんて言ったらいいのかわからなくって。それに、あのお土産のキーホルダーにも冬弥さんが力を入れてくれたんでしょ?」
「隆弘・賢司・海都・堀内さんのには、お守りがわりになるように。航平君のもちゃんと守りを入れておきました。あれからも何度か雪翔限定で守りの術をしていたようです。彼なら話してもいいかもしれないですねぇ」
「久世くんは?」
「彼は記憶を一部消しました。どうも野狐が絡んでいるようで、操られていた可能性も否定できません。憑かれていたとしたら、下宿程度の結界は入れたでしょうし、なにか目的があったのだと思います」
「冬弥さん……ごめん。僕……」
「来てますね。話してきますか?」
「いいの?」
「雪翔は話したいんでしょう?」
「うん」
まだ時間もあるので行ってきなさいと言われ、栞もうなづいていたので外に出ると、航平がインターホンを押すところだった。
「航平ちゃん!」
「雪翔……」
「ぼ、僕……話さないといけないことがあって」
「俺もそうなんだ……出掛ける所だったか?」
「お爺ちゃんの家に……三週間行くんだ」
そこまで言って黙っていると、冬弥が中に入りなさいと言ってくれたので、リビングに通す。
「悪い、遅くなった……って何かあったのか?」
と那智さんが来て、航平と自分の顔をじっと見ている。
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