下宿屋 東風荘 4

浅井 ことは

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修学旅行

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テストの結果は前と同じ一位。
今回は992点だったが、二位とかなりの差がついていたので、すぐに冬弥と栞に報告し、勉強を見てくれたみんなにも報告をして、修学旅行の準備に入る。

「雪翔!なぜ俺に報告がないんだ?」

那智が来たと思ったら、いきなり言われたので、素直に「忘れてた!」と答えてしまった。

「ごめんね、点数もよかったし嬉しくて。少し前より下がったけど……また漢字間違えちゃって」

「落ち着いてやれば満点だろう?」

「そうは言っても見直す時間が無くって……僕、テストの時緊張しちゃうんだ」

「で、修学旅行とやらは一人で大丈夫なのか?何なら俺の狐をつけてもいいんだぞ?」

「大丈夫だよ。みんな優しいし、分かってくれてるから。それに、見た目は不良に見える子達も色々手伝ってくれるんだ!クラスの人ともだいぶ仲良くなったんだよ?」

「それはいい事だが、飛行機で行くんだろう?」

「うん。飛行機初めてだからドキドキしてる」

「そうじゃなくてだな……」

みんな心配しすぎだよと言って、荷物を詰めていく。

「那智さんは北海道って行ったことある?」

「一度だけな。雪のひどい時期で、近くの社から出られなくなった事がある」

「どうやって出たの?」

「埋まってない壁を壊した!」

「それダメなことだよ?」

「ちゃんと直してきたからいいだろう?まぁ、今の時期なら涼しいかもしれんな」

「うん。雨とか降らないといいんだけどなぁ」

「天気予報は見てないのか?」

「見たけど、最近降ることが多いから気になっちゃって」

「暫くは降らないだろ。行く時に学校までついて行くから忘れ物の無いようにしろよ?薬は入れたのか?」

「入れたよ。他にも湿布とかテーピングとか、いりそうなものは入れておいた。あとは鞄におこずかい入れるだけだよ」

「いくらだ?」

「三万円。もう財布に入れたから。お土産買ってくるね」

「やっぱり狐を……」

「要らないってば!もう、みんな心配性なんだから!」

「何を騒いでるんです?わらび餅貰ったんで食べませんか?」

「食べる!」「あいっ!」

「なんで翡翠が手あげてるの?おやつになると出てくるんだから」

「たくさん頂いたのでいいですけど、旅行の時翡翠どうします?」

「それなんだけど、冬弥さん預かって……出てこられたら僕困るし……金や銀は言う事聞いてくれるからいいんだけど……」

「分かりまし……」「やー!いくのー!」

「ダメなの!翡翠はお留守番だよ?」

「むむむー!」

「翡翠、漆たちが遊んでくれますから……わらび餅も二つあげます!ほら、機嫌直してください」

翡翠を捕まえてリビングに行き、下宿に来た子の親から頂いたというわらび餅を食べる。

「美味しい。どの子から貰ったの?」

「京都から来た子です。親御さんがこちらに様子を見に来ましてねぇ。それで頂いたんです」

「あ、学ランの……」

「ええ。あまり話さないのでちょっと気になってますけど、時間やルールは守ってますから何も言えないんですよねぇ」
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