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水の神

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こんな風に封蝋がしてあるのは初めてだということと、花の印と言うのが気にかかるが、花屋に勤めてたから花言葉は分かるだろうとでも思ったのだろうか?

「中は……同じ黒の布ですな。ただ四角く切り取った布ならば何も思わなかったでしょうが、これは何かの形になるかもしれません」

「形?」

「確かに一枚は大きいけど……」

「これを」とレントゲンを見るようなライトの着いたところに布を置くと、うっすらと何かの絵のようなものが見える。

「布の生地に編み込まれてるってことか?」

「かなり古いものでしょう。あと何枚か集まればおおよその事はわかってくると思いますが、生地的に着物ではないかと」

「着物で黒って喪服とか?」

「そうとも限らんが……柄はどうだ?」

「これだけでは」

「引き続き頼む」

次に連れていかれたのはパソコンの置いてあるデスクとソファセットがあるだけの殺風景な部屋。

「ここは何?」

「俺の仕事部屋」

「何にもないのね」

「壁見てみろ」

そう言われても棚も何も無い白い壁。

真ん中より少し下に木で出来た横の棒のようなものはあるが、見た感じは特に何も無い。

でも「ここ、風がきてる?」と少し下の端っこを手で触る。

「床のタイル左から二つ目踏んでみろ」

言われるまま踏むと、カチッと音がして人一人通れる程度に壁が動く。

「もっと広くしてもらいたかったんだが地下だろ?」

「研究室は広いのに」

「中覗いていいぞ」

電気も通ってると言うので付けてもらい、中を覗くと入口は狭いものの入ったら自分程度の身長ならば何とか立って歩ける広さ。

「ほら、進んでくれ。腰が痛くなる」

どんどんと進むと広い空間に出る。

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