栗花落と姫と妖と……

仮題

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「後六つ揃えたら終わり？」

「一応。元々は全てが玉だと言う話もあれば、それぞれ異なる形のものだとの話もある。その記憶は栗花落にしかないんだが、あいつも曖昧らしくてな。ただ、今は見つけたら回収という事になってる。稀に古物商やその辺の屋台から見つかることもある」

「持っていたものはどうしたの？」

「八握剣は元々あったらしい。死返玉は姫愛の学校。沖津鏡は山の中だったそうだ」

「大変そう……」

「それで苦労してる」

味噌汁が美味いとおかわりをしていたが、「昼まで寝る」とまた寝に行ってしまった。

「葉子さんたちも手伝ってるの？」

「私より主人の方が。中々見つからないと聞いてますが、根気よく探すしかないとも聞いてます」

「そうなんだ。今日って、どこか行く？」

「いつも通りスーパーには行きますが」

「着いてく……元気なのに暇なんだもん」

「では、片付けたら行きましょうか。今日は野菜の安い日なんですよ」とご機嫌。

車でスーパーに着くとこの前のスーパーとは違うスーパー。

「あれ？いつもと違うスーパー？」

「このスーパーは農家さんがお野菜を週に一度販売に来てまして、新鮮だし安いんです」

「うわ、大根が大きい！葉っぱもついてる！」

「この葉も食べれるんですよ。立派なの選んでください」と葉子さんは隣の白菜を吟味している。

「全部大きいけど、これかな？」

「姫愛様、このカートに三本お願いします」

「わ、わかった」

玉ねぎとじゃがいも、人参は何故か小さめのダンボールごと頼んでいて、ちゃんと底まで確認している。

「この白菜と大根とカブ……あとはニンニクと……」と大量にカートに入れたものを届けてくれと頼んでいるが、農家さんも分かっているのか、お会計を済ませた後に、中では普通に魚や揚げなどを買い込んでいる。

「お野菜腐らない？」

「大丈夫です。漬物にもしますので今回多かっただけですし」

お肉なども買い込んで一旦置きに戻ったが、袋二つ引き受けたのはいいものの腕が吊りそう。

「重いぃぃ」

「買い物もいい運動になりますよ」

「葉子さん重くないの？」

「この位は。いつも四袋持って帰宅してますよ」

「腕が筋肉痛になっちゃう」

冷蔵庫にしまいながらも、冷凍するものはテキパキとしているのを見て、「お母さんもしてたけど、みんなしてるものなの？」と聞く。

「節約には冷凍保存がいいんです。作って冷凍してもいいですし」

「覚えとく」

手伝えるだけ手伝ったあと、新聞の番組欄にドラマが載っていたのでテレビをつける。

「最初から見たかったなぁ」

「時代劇ですよ？」

「漫画では読んだの。王様の奥さんが、後宮の下働きの女の子をいじめちゃうの。でも、王様はたくさんお妃様がいて、その女の子を気に入っちゃうんだけど……今ちょうどその辺かな？」

「姫愛様、ネタバレはなしでお願いします」とコーヒーを飲みながら二人で見る。

「はぁ、続き気になりますね」

「でしょ？学校の日は見れないから残念！」

「録画しておきましょうか？」

「うん。テレビ見る時の操作がまだ慣れなくて。リモコンは普通なんだけど、DVDとか入れる場所も分からないし」

レンタルできないと言うと、離れたところの棚の中にディスクを入れる場所があると教えてもらう。

しかも、あるだけで誰も使ってないという。

かなり勿体ない……